二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.45 )
- 日時: 2012/12/16 13:00
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第12章 ハルが河川敷で見つけたものとは?
(ストーリーモード:健太)
自宅でリンの帰りを待っていた健太と直太は2人揃って、首を傾げていた。
「そういえば、遅いな・・・・・・」
リン姉さんが帰ってくる時間はたいてい、9時or9時半ちょうど。
いつもはまっすぐ帰ってくるはずなのに、遅くまでいるはずがない。
「遅いのは、いつものことじゃないの?」
「いつもどころか、遅くないか?」
「でも、バン兄ちゃんは隣の部屋で飲んでんじゃない?」
「まさか、兄貴がそんなことをするわけないだろ」
兄のバンは部屋で気分転換に酒を飲むことがある。
今日に限って、それはないと思うが・・・・・・念のため、見に行くことにした。
「とりあえず、行ってみるか」
「そうだね」
2人で楽しそうに話しながら遊んでいた時だった。
ドアの方から聞きなれた声がした。
「2人とも、何の話をしてんだー?」
振り向くと、隣の部屋に居るはずのバン兄さんが突っ立っていた。
しかも腕を組みながら、俺たちのところに歩み寄る。
「リン姉ちゃんが帰ってこないけど、どうしたのかな?」
直太がヒョコッとバン兄さんに駆け寄りながら甘えた。
人懐っこい笑顔を見せる直太はいつも明るい。
「そういやぁ、遅いな・・・・・・」
「だろ? 迎えに行ったほうが良いんじゃ・・・・・・」
リン姉さんの身を案じて、迎えに行くという手もあったはず。
でも、迎えに行くには暗いし、歩くのもやっとだろう。
「兄貴」
「んー?」
「酒を飲んでないの?」
「少し飲んだ。少しくらいなら平気だろ、ハハッ」
そう言って笑う兄のバンを見て、直太と顔を見合わせる。
飲んだかもって言うからには、怪しすぎるけど・・・・・・兄貴のことだから、きっと飲んだのだろう。
「でも、リンが戻ってくるまで待ってれば良いじゃないか」
「兄貴・・・・・・それを言うなら、ハルさんに聞いた方が良いんじゃないの?」
兄貴の幼馴染である人見晴香さんに聞いた方が手っ取り早い。
空手部の先輩であるわけだし、話を聞くのは遅くないと思うのだ。
「ああ、ハルかぁ・・・・・・・」
「何、ハルさんが嫌なわけ?」
「バカ言ってんじゃねーよ、ハルのことは別に嫌いじゃないんだぞ」
バン兄さんは俺を見て呆れながら、苦笑していた。
ハルさんに何度か怒られたことがあるくせに、酒を飲んでは寝てしまったことなんかもあって大変だった。
今、思えば苦労しなかったのかもしれないなとつくづく思う。
「へぇ、兄貴のことだから嫌ってんじゃないのかと思ったよ」
「きらっ・・・・・!?」
カアーッと頬を赤らめながら、顔をしかめる。
その姿を見て、ニヤリと笑う俺と直太。兄さんをからかうのも面白い。
「お・ま・え・らなぁ〜」
「あはは、ごめんー」
そう言いながら謝っていたが、バン兄さんは苦笑しながら撫でた。
まあ、兄貴がいるから楽しいけどね・・・・・・直太も兄貴のことが大好きなわけだ。
「ったく、からかうのはいい加減にしろよー」
「あはは・・・・・・」
「しょうがねぇな、俺は隣の部屋に戻るから」
隣の部屋に戻った兄のバンを見送った。直太が本棚に入っていた1つのアルバムを取り出した。
「そういえば、リン姉ちゃんのアルバムに載ってた男の子って・・・・・・誰だろ?」
直太が指差したその先にはリンと見知らぬ少年が一緒に並んで写っていた。
この人とは知り合いなのかと思いながら、何度か聞こうと思っていたのだ。
(しかし、リン姉さんがいないから聞き出せそうもない)
帰ってくるまで待つことにしようかと思いながら、考え込んでいた。
そのとき、インターホンが鳴った。
『ピンポーン』
こんな時間に誰だろうかと思いながら、階段を降りる。
玄関のドアを開けると、バンの幼馴染・ハルさんが1つのスポーツバックをしょっていた。
「こんばんは、リンちゃんのバッグでしょ?」
ハイと左手でスポーツバッグを差し出しながら渡してくれた。
なぜ、リン姉さんのスポーツバッグが落ちていたのだろう?
「ハルさん、これをどこで見つけたんですか?」
「詳しい話は中でするから。それより、バンはいるの?」
「いるんだけど・・・・・・とりあえず、上がって」
ハルさんを促しながら、家の中に招き入れた。
2階に通じる階段を上りながら駆け上がっていく。
「バンを驚かせてやろうかな」
「えー無理だって」
そう言って話しているうちに部屋の前にたどり着いた。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.46 )
- 日時: 2012/12/16 13:03
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
ドアを開けようとしたとき、ハルさんが肩を叩く。
「私が開けるから」
「うん、分かった」
退かして、ハルさんに譲った。彼女は慎重にドアノブを回して開ける。
『ギギーッ・・・・・・』
ドアを開けて入ると、バンはベッドの上に横たわったまま寝ていた。
その様子を見たハルさんはため息をつきながら、思わず苦笑する。
「やっぱり、寝てたんだなぁー」
ベッドの下に4本の缶ビールが転がっている。どれも空だ。
少し飲んだ限りじゃ酔わないだろうと思っていたが、もうちょっと飲むのを自制してほしい。
「とりあえず、中に入ろうか」
部屋の電気をつけ、床に座って話すことにした。
ハルさんはリン姉さんのバッグを置いてから語り始める。
「このバッグを見つけたのは、部活の帰りに河川敷を通った時だったわ」
「河川敷で見つけたの、それ!?」
「間違いないわ、それに名前が記されていたからバンのところに届けてあげなきゃって思ったんだ」
ハルさんによれば、河川敷で落としていたのを見つけたらしい。
そのときに見覚えのあるものを拾ったというのだ。
「見覚えのあるものが落ちてたから、それを拾ったんだけどね」
「拾った!?」
「ええ、これを見て」
ハルさんがスポーツバッグから取り出して見せた。
その前に現れたのは、1つのスタンガンだった。
「す、スタンガン!?」
「何でこんなものが?」
俺と直太は顔を見合わせながら突っ込んだ。ハルさんは顔を顰める。
スタンガンも一緒に落ちていたのを見つけ、リンに何かあったのだと察したそうだ。
「もしかしたら、誘拐されたんじゃないかって思うの」
「誘拐された?」
「それは有り得ないとでも言いたいんでしょ?」
ハルの言うとおり、リンが誘拐されたとは思えない。
いつもなら空手部から帰ってくるはずだ。なぜ、いつまでたっても帰ってこないのか分からない。
「うん、いくらなんでも遅すぎると思ったんだよ」
「誘拐された可能性も含めて捜査しといたほうが良いんじゃない?」
「でもさぁー・・・・・・・」
言いかけたそのとき、ベッドの方から眠そうな声がした。
「おまえら、何の話をしてんだ?」
「酔っ払いには関係ないでしょ」
ハルさんが兄貴のところに歩み寄り、ツッコミを入れながらかます。
それに対し、バンは眠そうに顔を顰めて言い放つ。
「うんにゃ、関係あるんだよ。リンのスポーツバッグを届けてもらったのには何か理由があるんだろォ?」
さすが、酔っていても状況を把握できるなんて凄いけど・・・・・・って、感心している場合じゃない!
バン兄さんはいつから聞いていたのか知りたいくらいだ。
「うっ・・・・・・・いつから聞いてたの?」
「最初からだけど・・・・・・・寝てたら、声が聞こえたんだよ」
ベッドで寝ながら、話を聞いていたということになる。
つまり、これは狸寝入りしていたということだ。
「狸寝入りしてたんだな、兄貴?」
「んー・・・・・・・そういうことになるか」
ふぁーと眠そうに欠伸しながら答える兄貴。
事件があったということは、リンの身に何があったのか。
ハルさんが怒りを含めたツッコミをかましながら言い放った。
「狸寝入りすんな、このバカ!」
「うっせーな、酒を飲んでたんだからしょうがないだろ」
「それが良くないの、私が来た時くらいは酒を飲むことを自制しなさいよ」
「も〜う無理だって、さっき飲みちまったんだからよぉ〜」
ウイーッと酒臭い息をついて呟いたのと同時にゆっくり立ち上がる。
フラフラと千鳥足で歩いたかと思えば、リンのスポーツバックに合わせてしゃがみこんだ。
「このスポーツバッグは河川敷で見つけたんだよなぁ?」
「うん、そうだよ・・・・・・でも、お守りみたいなものが入ってたけど」
「お守りだァ?」
「そこのポケットに入ってる」
ハルさんに指摘され、言われた通りにしたバン兄さんがポケットを開けて取り出す。
その中からお守りらしきものが現れた。赤い布巾着でリンの手に収まるほどになっている。
「このお守り、どっかで見たような・・・・・・」
記憶を手繰り寄せようとするが、未だに思い出せない。
そのお守りを大事にしているのかもしれないリンの姿が思い浮かぶ。
「健太、見覚えがあるのかぁ?」
「いや・・・・・・あるような気がするんだ。でも、思い出せない」
「そうか、あの頃の記憶が戻ってないんだな・・・・・・・」
バン兄さんは納得しながら、腕を組んだ。
彼を見たハルさんは俺を見て驚く。
「もしかして、記憶喪失?」
「いや、催眠療法によってすりかえられた記憶がそのままになって残っているだけさ。いつか本当の記憶が戻ると思って信じるしかないんだ」
バン兄さんによれば、記憶がすりかえられていたという。
催眠療法を施したことによって、記憶を新しくさせたというものだった。
記憶が戻る可能性はまだ何ともいえないが、バン兄さんたちと一緒にいることで少しずつ戻れそうな気がしたのだ。
「そっかぁ・・・・・・・・」
「ああ、ガキはさっさと寝ろよ」
「ガキって・・・・・・・・・」
「こんな夜遅くまで起きてるんじゃないぞ。おまえらは先に寝てろ」
「ちぇっ・・・・・・分かったよ。俺たちはそろそろ寝るから」
隣の部屋に戻って、ベッドの中に入った。
こうして、俺と直太は転寝しつつも深い眠りに落ちた。