二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.48 )
- 日時: 2012/12/16 13:10
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第12章の続き
(ストーリーモード:バン)
2人の弟を見送った後、俺たちは部屋に佇みながら見つめていた。
「ったく、しょうがないヤツらだな」
「バンが酒を飲んでるから、そう言うんじゃない!」
「仕方ないだろ、気分転換に飲んで寝ちまったからさぁ」
「それのどこが仕方ないの!!」
ハルがツッコミながら呆れつつも、俺の左手の中に入っている赤いお守りらしきものを見つめている。
赤いお守りは元々、リンが持っていたのだろうか。それとも幼い頃から大切にしていたものなのか。
「このお守り、健太が見覚えあるって言ってたよな」
「そう言ってたね。その事と関係しているのかな?」
「さぁな・・・・・・・とりあえず、開けてみようか」
赤い布巾着を開けて、その中から取り出した。試しに取り出してみると、1枚の写真が入っていた。
見る限り、プリクラのようだが・・・・・・1枚の写真にはリンと少年が写っている。
「あれ、彼氏いたのか」
「まさか! リンが彼氏を作るとは有り得ないけど?」
ハルが俺の言葉を聞きながら突っ込む。
そのプリクラには、キラという文字が入っていて愛情が込められたようになっているようだ。
「キラって言うのかな、このガキは」
「多分、そうなんじゃない?」
ハルがプリクラを見て可愛いと言いながら笑った。
プリクラかぁ・・・・・・っていうか、俺たちも撮ったような気がする。
(確か、ハルと一緒にプリクラを撮ったなぁー)
思い出しながら考え込んでいたその時、ハルが首を傾げていた。
彼女の様子がおかしいことに気づき、訝しそうに問いかけた。
「ハル、さっきから様子がおかしいけど・・・・・・気になることでもあるのかぁ?」
「ちょっと貸して」
プリクラを引ったくり、写真を握って眺めている。
キラという少年のことが気になったらしく、何か引っかかるのだろう。
「やっぱり、そうか・・・・・・」
「何がやっぱりなんだよ?」
ハルがだんまりとうなだれながら、写真を返してくれた。
どうやら、何かありそうだと察する。リンの身に何かあったようだ。
「バン、キラっていう子のこと聞いたことがあるような気がする」
「どっかで聞いたのか?」
「いや、テレビのニュースで聞いたんだ。確か、5年前に行方不明になったって言うのがあったじゃん?」
ハルに指摘され、5年前の事件が関係している可能性が高まる。
テレビのニュースで聞いたことがあった。確か、早間綺羅って言っていた。
「早間綺羅という少年が行方不明になったんだよな?」
「そうだよ。何かおかしいよね、リンのスポーツバッグが落ちてたか分からないよ」
ハルは納得がいかないような顔をして、俺を見つめ返して言う。
なぜ、スポーツバッグが置かれているのかも分からない。
(どういうことだ?)
目の前にリンのスポーツバックが置かれているということは、何かあると見て間違いない。
それでも、何か嫌な予感がするのは気のせいか。あるいは何か事件に巻き込まれたかもしれない。
「んー・・・・・・このガキ、知り合いみたいだな」
「何で分かるの、バン?」
「バーカ、リンの幼馴染とか有り得るだろォー」
リンの幼馴染という関係もその1つであることには変わらない。
ただ、リンが俯く姿を見ていたことが何度かあったから覚えていたのだ。
「あいつがそのお守りを握って、何度か俯いていたからな」
「俯いていたって、まさか・・・・・・」
「そのまさかだ、空手部の練習が終わってからまっすぐ帰ってくるはずなんだけど・・・・・・今日に限って、遅すぎるんだよな」
いつもはまっすぐ帰ってくるはずなのだが、今日は帰りが遅いということで心配していたのだ。
それに何かあったかもしれないし、CCMを使いながら連絡してみないことには分からない。
「でも、リンには何か理由とかあるんじゃないの?」
「まさか、あいつがそんな理由を持って行動すると思うかぁ?」
「ううん・・・・・・私は何となく気になるんだよね」
ハルはリンのお守りを見つめながら、顔をしかめていた。
5年前の事件と関連しているようだが、気になる展開でもあったのかと思いながら考える。
(5年前、早間綺羅という少年が誘拐されて、どこかに連れ去られてしまった。その行方は今も分からぬまま・・・・・・キラという少年がもし、どこかで生きていたとしたら?)
キラ=早間綺羅という少年は同一人物である可能性が高いことから捜査するしかないのだろう。
その少年のことも気になるが、健太たちの記憶が戻らないようでは成り立たない。
「バン、さっきから何を考え込んでんの?」
「なあ、ハル・・・・・・この写真に写っているキラというガキのことが気になると思わないか?」
写真を見る限り、人懐っこそうな笑顔を浮かべているこの少年が誘拐されているとなると・・・・・・その行方が掴めていれば、何か分かるかもしれない。
「でも、この子の行方が分からないってことはさ・・・・・・」
ハルが心配そうに俺を見つめながら、その場に佇む。
その時、CCMの着信音が鳴った。
『プルルル・・・・・・』
俺のCCMだ。こんな時間に誰だろうと思いながら、ズボンのポケットを取り出す。
「はい?」
『あっ、バン! 望月の妹、知らないか?』
大学でも一緒で幼馴染の樋田優雅(とよだ ゆうが)からだった。
優雅は結構優しいヤツで、何かと気にかけては電話してくれることが多い。
「優ちゃんのこと? 知らないなー」
『やっぱり? 望月のヤツ、酔いつぶれちゃって。電話したんだけど、出なくてさ』
望月家に電話しても出ないということは、優も何か事件に巻き込まれたかもしれない。
もしかしたら、グレースヒルズ近くに住んでいるヒロなら何か見かけそうな感じがする。
「望月を起こせるか?」
『起こせないんだよ、爆睡しちまってるんだ』
「爆睡? ったく、のんきに酒を飲んでる暇なんかないだろォ!」
『そう言うなって・・・・・・だが、妙なのはここからだ』
「妙なことってなんだよ?」
優雅が言う、妙な事とは何か?
そこが気になって仕方がないのだ。
『あの1台の車が駐車場に止まってる。黒い車のようだけど、その中に誰がいたと思う?』
(1台の車・・・・・・駐車場・・・・・・・)
この状況は【怨炎の幻想】事件に似たような状況に酷似している。
まさか、リンと優がその1台の車に乗せられているのか?
「おい、ちょっと待て・・・・・・まさか、あの2人が乗せられてんのか?」
『ああ、そのまさかだよ・・・・・・』
優雅は顔をしかめながら、ため息をついた。
リンと優が何者かに攫われてしまったことを悟った瞬間、ようやく状況を把握することに至った。
「そんな・・・・・・」
少し酔いが覚めてきたのと同時に顔を俯いてうなだれる。
ようやく状況を飲み込めたバンたち、リン&優に何があったのか?