二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.522 )
日時: 2013/04/30 21:21
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第60章の続き(ハル視点)

翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が聞こえる。カーテンの隙間から太陽の光が差し込まれていた。
目を覚ますと、バンの腕の中にいた…眠そうに起きて、バンの腕から離れて見つめる。

(バンはいつも優しい…誰に対しても、明るく接してくれるんだよね)

気持ち良さそうに寝息を立てながら、口を半開きにしたまま涎を垂らしている。
このまま起こすのも気が引ける。いつも寝ているバンはいつだって爆睡していることが何度もあった。
私がバンの家に行くたび、強引に起こしてあげているのに…なかなか起きてくれない。

「全く…本当によく寝るヤツだなぁ」

右手でバンの髪を弄りながら、バンを見て思い出す。ジョーイのことが懐かしく思い出されてしまうのもある。
幼馴染とはいえ、バンはいつも眠そうに私の話を聞いてくれた。愚痴っても頷きながら聞いてくれる彼を見ていて、心強いと思っていた。

「…んー…」

バンは眠そうに震わせながら、転寝していた。眠りこけているバンを見て安心できるって思ったのは何年ぶりだろう。
ジョーイのことが忘れられずにいたのは確かだったし、記憶が吹き飛んでもおかしくなかったはずだ。
幼馴染だったジョーイの顔を思い出して、バンと重ね合わせた。やっぱり優しいところはあまり変わらなかった。
彼が死んでから、辛い思いしたのもあった…周りには、バンたちがついていてくれるから寂しくない。

(バン…いつもありがと、これからも私を支えてくれるよね…)

その思いを馳せて、バンの頭を弄りつつも笑みを浮かべた。幼馴染という存在があってこそ、辛い思いをしなくて済んだ。
その時、気持ち良さそうに寝ていたバンの目が少し開いて、ボンヤリと私を捉える。

「…起きたのかぁ?」
「おはよ、バン」
「…あぁ、おはよ…」

だるそうに挨拶を返した後、バンは枕元に置いてあったCCMを取り出して開く。
時計を見ると、朝8時ちょうど…起きるには早い。もう少し寝ていたい気分だった。

「起きんの…早くねぇ?」
「えーだって、朝御飯食べてないし…」
「んー…俺は後で食べよっかなー。もう少し寝ていたいからさぁ…」
「ちょっと寝るの早いよ。さっさと起きて、一緒に食べようよー!」

タダを捏ねていた私の声に気付いて、ドアを開く音が聞こえた。振り返ると、母がいた。
母の人見由佳は部屋に入った後、人懐っこく笑顔を見せる。私に挨拶して駆け寄った。

「ハル、おはよう」
「おはよ、バンのヤツ…もうちょっと寝たいって言ってんのよ」
「そっか…やっぱり、そろそろ起きた方が良いんじゃないの?」

由佳の声を聞いて振り返ると、バンは気持ち良さそうに寝ていた。由佳は呆れながら溜息をつく。
幼馴染だからと言って、久しぶりに起こす役目を果たす時が来るとは思わなかったもので…。
とりあえず、バンを起こすのは後にして部屋を出た。1階の居間にある食堂で朝御飯を食べた後、由佳が歩み寄る。

「ねぇ、ハル」
「ん…どうしたの、母さん?」
「ハルはバン君とLBXバトルしたいって言う気持ちはあるの?」
「うん、バトルしたい気持ちはあるよ。バンのことはいつも気にかけてたし、幼馴染として見極めてみたいって思ったね」

バンはいつも社交的で素直だし、授業中は私のことを気にかけてくれた。
授業中は寝ていることが多かったけど、いざと言う時は頼りになる兄貴的存在だった。
そんなバンのことを思い出すのも懐かしく感じた。由佳は上で寝ているバンのことを思い出しながら気遣う。

「そういえば、バン君…いつまで寝てるつもりでしょうね?」
「…ったく、あのバカ…しょうがない、そろそろ起こした方がいいかな」

ふと、時計を見れば10時になっていた。もう少し寝ていたいというバンの気持ちは分かるが、LBXバトルはどうしたのか。

「とりあえず、部屋に行ってくるね」

リンに手を振って、居間を出た。2階に通じる階段を上り、バンの部屋に向かう。
部屋のドアを開けて入ると、ベッドに横たわるバンの姿が目に映った。
毛布の中に蹲って寝ているバンの顔を見ると、起こす気になれない。それでも踏ん張ったが、起こすしかないと思った。

「バン起きてよ、もう!」
「ん……ぅん…」

肩を揺さぶりながら起こすと、バンは眠そうに目を開ける。どうやら、寝惚けているらしい。
バンの頬を引っ張って、目覚めさせようかと思ったその時…いきなり、右腕を引っ張られた。
身体を寄せた後にバンは眠そうに私を見て笑いながら、寝惚け眼で優しく話しかける。

「なぁ、ハル…もう少し寝ようぜ」
「えっ…ちょっと、朝御飯はどうすんのよ!?」
「眠いんだよ、もう少し寝てから起きる…」
「ちょっと待ってよ、LBXバトルはどうすんの!?」

寝惚け気味のバンを起こして、顔を顰めた。バンは眠いのか、だるそうに私の身体を腕の中に入れて呟く。

「午前中は雨降ってんだしさぁ…そういうのは、午後になってから行こうぜ」

冗談っぽくからかうバンの様子を見て、怒りが沸々と沸いてきた。勢いよく、両手でバンの頬を引っ張りながら怒って言う。

「爆睡し・す・ぎ! あんた、いつまで経っても寝てること多いから、起きないんじゃない!!」
「いでで…なっ、何すんっ…」
「寝惚けてたのが悪い! 今、何時だと思ってんの!!」

バンに突っ込みを入れながら、拳を握った。怒りが収まらない私の様子を見て、眠そうに上半身を起こす。
だるそうに大きく欠伸した後、CCMを開いて時計を見た。午前10時半ちょうど…そろそろ起きなければならない。

「ふわぁ…眠いや、朝飯食べてくるー」

そう言って、だるそうに手を振りながら起きた。いい加減に起きるのが、こいつの醍醐味だ。
やっぱりLBXバトルしなければならないから、こうでもしないと気が済まない。

(ったく…こいつはホントに世話の焼けるヤツだ)

そう思いながら考え込んでいたその時、数分たった後にバンが部屋に戻った。
朝御飯はちゃんと済ませたらしく、だるそうにベットの上に倒れ伏す。やっぱり眠りたがり屋だな…って思った。

「なぁ、ハル…」
「んー何、バン?」
「バトルするからには、手加減しないからな?」
「よく言ってくれるじゃない、私の本気を見せ付けてやるからね!」

意気込みをかけながら笑う私の様子を見て、微笑みかける。バンはふと思い出したのか、CCMを開いて着信が来ていたことに気付く。

「…もしもし?」

バンがCCMに耳を当てて、声をかけると…レオンの声が聞こえた。

『バン、今どこ?』
「ハルんちだけど…」
『やっぱり、そこにいたのか。午後1時からLBXバトルするぞ!』

レオンの元気そうな声を聞いて、張り切っているということが伺えた。
バンは溜息をつき、やる気なさそうに私を見る。本気の私を見たことがないから分からないはず…そうでもしないと明らかにされない。

「んーまぁ良いんじゃない?」
「…そうだよな、LBXバトルの場所は?」
『ブルーキャッツだよ。そこでやろうぜ!』

ブルーキャッツと来ましたか…。そこはバンが闇のバトルに出たことで知られる、有名な場所だ。
いつか、私もそこでLBXバトルしたいと思っていたところだったから良かった。

「…ああ。分かった、俺はハルと一緒に行くから…」
『おう、ブルーキャッツで会おうな!』
「うん、また後でな」

そう言いながら切ると、バンはCCMを閉じた。その後にバッグからオーディーンMk−2を取り出す。

「これ…俺の最高のパートナーだ。オーディーンで叩きのめすからな!」
「ふっ…よく言ってくれるじゃない、そろそろ本気で行くよ!!」

ブルーグリーンライトを持ちながら、バンに意気込みを見せつける。バンは笑いながら頷く。
午後12時半ちょうど、自宅を後にした私たちはミソラ商店街にあるブルーキャッツに向かった。