二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.53 )
- 日時: 2012/12/16 13:27
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第15章 ますます深まりつつある最大の謎・・・そこで掴んだ重要な手掛かりとは?
(ストーリーモード:バン)
翌朝、チュンチュンと雀の鳴く声が外から聞こえる。
カーテンの隙間から光が漏れているが、その証拠に太陽が昇ったのだろう。
「・・・・・・んー・・・」
眠そうに上半身を起こし、ボーッとしながら周りを眺める。
ふと、隣で寝ていたはずのハルがいないことに気づく。
(あれ、いない・・・・・・)
もしかして、彼女は1階の居間で料理しているのだろうか。
まぁ、朝飯を食えば大丈夫だなっていうのが率直な感想だろう。
「・・・何も考えられねぇや・・・」
リンが誘拐された事といい、望月(幸介&優)たちの安否も気になる。
それに謎の組織が残した暗号メッセージを解かなきゃいけないため、慎重に調べなければならないというのが現状だ。
「こんな時、何をすりゃ良いんだよ・・・」
ふわぁーと欠伸しながら、枕元に置かれているCCMを見つめる。
そういや、リンたちはどうなったんだろうか・・・その後、気絶させられていたみたいだから攫われた可能性も有り得る。
(とりあえず、ヒロにも聞いてみた方が良いかもしれない)
彼なら何か知っているかもしれないし、昨日は部活で行けないって言っていた。
俺が酒を飲んで寝ていた頃には、部活から戻ってきていたはずだ。
「昨日、酒飲んだのが効いたかなぁ・・・」
少しだけ頭痛がする・・・2日酔いにはなっていないが、親譲りの酒強さと言ったら良いだろうか。
頭を抱えながら溜息をついていたその時、CCMの着信音が鳴った。
「・・・ん?」
眠そうに枕元に置いてあるCCMを取り出し、テレビ電話の通話ボタンを押した。
画面に映し出されたのは・・・幼馴染のハルだった。
「おはよ、バン! 今、起きてるー?」
「あぁ、おはよう・・・うん、起きたところだよー」
眠そうに立ち上がり、部屋を出た。俺は階段を降り、居間に向かった。
そこに行くと、運よく料理していたハルが俺に気づいて、手を振ってくれた。
「おはよー!」
「おはよ、ハル・・・・・」
笑いながら、手を上げて返す。彼女の姿を見て、溜息をつく。
「おまえなぁ・・・こんな朝早くから起きなくても良いじゃないか」
「えへへ、何か料理したくなってさー」
ハルは笑いながら、俺を見て答えてくれた。
そういえば、ハルの料理はいつ食べてもおいしいんだよな。
(ハルは料理ができるから良いんだよな。俺の嫁になっても良いくらいだけどなぁー)
居間で椅子に座りながら、眠い目を擦って朝飯ができるまで待っていた。
朝飯はご飯とスクランブルエッグだ。
「はい、できたよ」
ハルがスクランブルエッグを乗せた皿とご飯を乗せたお茶碗を持ってきた。
その2つがテーブルに置かれたのと同時に挨拶した。
「いただきます・・・」
ふわぁーと欠伸しながらうとうとしつつ、ゆっくり食べる。
そんな俺の様子を見たハルは苦笑しながら溜息をつく。
「まだ眠いの?」
「ぅん・・・」
モグモグ食べながら言う俺を見て思わず苦笑した。
ハル、そこまで苦笑しなくて良いのになぁ・・・っていうか、このスクランブルエッグおいしいな!
「おいしい・・・」
「でしょ? だてに料理してないからね」
ハルは笑いながら、ご飯を食べる。
確かに料理の上手さには舌を巻かれてしまう。
「そっかぁ・・・」
朝飯をゆっくり食べながら、ハルと楽しく話せた。
しばらくして、ご飯を食べ終えて食器を下げる。
「ごちそうさまでした!」
食べ終えた後、洗面所で顔を洗ったり、歯磨きしたりして用意を整えた。
大学で授業に出すレポートもあって、その準備もちゃんとしていたのだ。
「バン、学校に行く用意できた?」
「あぁ・・・そろそろ行こうか」
眠そうに目を擦りつつ、玄関のドアの鍵を閉めた。
ハルと一緒にトキオ大学へ向かった。
大学に着いた途端、1限の授業がもうすぐ始まることに気付いた。
ハルに促され、講義室に入った俺は一番後ろの席に着く。
「バン、眠いなら寝たら?」
「ふわぁー・・・うん、そうする。始まったら起こしといてくれないか?」
「うん、分かった。1限が始まったら起こすね」
机に突っ伏したのと同時に睡魔が迫ってきたので、目を閉じた。
深い眠りに落ちた瞬間、転寝してしまいそうになるほど爆睡した。
数分後、ハルが俺の肩を優しく叩いて起こしてくれた。
「バン、先生が来たよ」
「んぅ・・・」
眠そうに身じろぎながら、ゆっくり顔を上げる。
ふと、教壇に教授が立っていることに気付いた俺は眠そうに欠伸する。
「ふぁ・・・」
「バン、授業のレポートできた?」
ハルが授業に出す課題レポートを机に置いて呟く。
俺も飲み会に行く前、ちゃんとやってきたから大丈夫だ。
「うん、飲み会に行く前にやってきたから大丈夫だぜ」
バッグから課題レポートの入ったファイルを取り出し、机に置いた。
何とか仕上げたものの、しっかり課題をこなさなきゃならないことには驚いた。
大学進学してから約3年が経つのか・・・そういや、立向居も教育学部で一緒だったな。
「バン、おはよう」
隣の席から聞き覚えのある声がしたので、振り返ると直紀だった。
直紀もギリギリでここに着いたのだろうか。
「直紀、おはよっ!」
「うん、ハルもね! バン・・・今も眠いのかい?」
直紀は苦笑しつつ、バッグから課題レポートを取り出して机に置く。
結構、そのことを言われるのが嫌なんだけど・・・まぁ、そこはしょうがない。
「うん、ちょっとな・・・ノートテイカーの人は?」
「もうすぐ来るはずなんだけど・・・あっ、来た!」
ノートテイカーは立向居だった。
暇な時に直紀とコミュニケーションを取りたいという理由で自らノートテイカーになったという。
「立向居も結構、気合が入ってんな」
「そうか? 俺は直紀のために役立ちたいと思えば、何でもできるんだよ」
手書きで通訳しながらサポートするという役割を担っている。
直紀に頼み込んだ方がやりやすいかな・・・と思いながら問いかける。
「俺が途中で寝てたら・・・そのノートテイクの紙を見せてくれない?」
「良いけど・・・先生の言ってること分かるの?」
直紀に指摘され、思わず苦笑しながら頷く。
何とかなりそうだから大丈夫だと思っていたのだ。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.54 )
- 日時: 2012/12/16 13:29
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
2時間目を終えた頃には昼休みになっていた。
まだ爆睡していた俺は気持ち良さそうに寝ていた。
「バン、起きてよ」
「・・・・・・んー?」
ハルに強く揺すられ、徐々に意識が覚醒したのと同時に起き上がる。
周りを見回すと・・・ガラーンとしていて、いつの間にか知らない間に終わっていたようだ。
「・・・んが・・・?」
眠そうに顔を上げ、隣の席に座っているハルを見つめる。
彼女は呆れながら、俺の頬を軽く叩いた。
「バン、いつまで寝てんのよ。2限の授業はもう終わったよ」
ハルに促され、CCMを取り出して画面に映っている時計を見る。
気付けば、12時30分になっていた・・・そっか、昼になってたんだ。
「・・・昼か・・・?」
眠そうに呟きながら問いかける。彼女は苦笑して頷いた。
「何度も起こしたんだけど、なかなか起きなくてさ」
「俺、そんなに爆睡してた?」
「うん、かなり寝てたよ」
やっぱり起きなかったのか・・・どうりで爆睡しちまったな。
ハルに申し訳ないことをしたなと言いつつ、1限の課題レポートはもう出したから良いかということで食堂に向かうことにした。
「食堂に行こうか」
「うん、大丈夫?」
「何が?」
眠そうに立ち上がり、机の下にあったショルダーバックをしょって講義室の階段を降りながら言う。
ハルが俺の頬を人差し指でゆっくり突きながら話してくれた。
「この前みたいにドアにぶつからないようにしなさいよ」
「俺だって寝惚けてるわけじゃないんだよ?」
そう言いながら歩いていたその時、ドアに手をかけようとしたのと同時に顔をぶつけた。
「いでっ!」
寝惚けながら歩いていたせいでまた講義室のドアにぶつけるなんて・・・俺は情けないことに顔を覆いながら溜息をつく。
そんな俺を見た彼女は呆れながら、腰に手を当てて言った。
「またぶつかっちゃうなんて・・・バン、しっかりしなさいよ!」
ハルに背中を叩かれ、一緒に講義室のドアを開けて出た。
結局、食堂で昼飯を食べることになった。
「何を食べようか?」
「そうだなぁ・・・俺は牛丼にするよ」
「私も同じで良いや」
ハルと一緒に牛丼を注文し、席が開いているテーブルに着いて座る。
その時、聞きなれた声が聞こえた。
「こんにちは、バンさん! 僕たちも一緒に座っていいですか?」
ヒロが食器を乗せたトレーを持ちながら、ナオと一緒にやってきた。
ナオもハルの後輩ということもあって、空手部のチームメイトとして接している。
「ああ、いいよ」
向かい側の席に座り、俺と対峙しながら食べ始めた。
ナオも同時にハルと話しながら食べているようだ。
「ヒロ、おまえに聞きたいことがあるんだけど・・・大丈夫か?」
「うん? 別に良いですけどォ・・・」
ヒロは怪訝そうに首を傾げながら、俺を見る。
ちょ・・・そんな目で見つめられても困るじゃないか。
そう思いながら溜息をつき、昨日のことを聞き出す。
「昨日、河川敷で何か騒がしいことはなかったか?」
「うーん・・・騒がしいって言えば、何か騒いでたかなぁ・・・」
ヒロは腕を組みながら、思わず首を傾げる。
やっぱり、ヒロたちも気付いていないのか。
「そっかぁ・・・何時頃に聞いたか覚えてる?」
「確か、夜の8時頃か9時頃だったはず・・・っていうか、何でそんなこと聞くんですかぁー?」
ヒロに問い詰められ、なんて答えたら良いのか分からずにいた。
彼のことだから、鋭い洞察力を発揮する可能性が高い。
「いや、質問しただけだから気にすんなよ」
「・・・? それなら良いんですけど、何かあったんですか?」
「何でもないよ。ただ、質問しただけだからな」
ヒロは首を傾げていたが、すぐに納得してくれた。
それよりも気になるのは謎の組織から出された暗号・・・その謎を解き明かさなきゃいけないのだ。
(うーん・・・・・・何か暗号の謎を解くことができればなぁー)
だが、暗号の謎を解くことができるのか?
手掛かりを掴むにも、なかなか聞く時間が取れそうにない。
目の前にハルがいるのは良いとして、問題はトキオシアのどこかにある廃工場を探さなければならない。
「うーん・・・廃工場か」
そう言いながら呟いた瞬間、ヒロを見つめる。
廃工場の場所さえ掴めば、楽なんだけど・・・どうやって掴んだら良いのか分からない。
頭を抱えながら、顔をしかめた俺はメモ帳を取り出す。
「・・・・・・」
「バンさん?」
ヒロの呼びかけに気付き、すぐに応答する。
「なんだ?」
「メモ帳を取り出して、急にどうしたんですか?」
「あー・・・うん、ちょっとな。気にしないで良いよ」
答えるのが面倒だったので、彼に言うのはどうかと思った。
手掛かりを掴まなければならないことに変わりはない。
(リンや優までもがキラード団に攫われた可能性があるなら・・・望月たちと一緒にいるかもしれない)
そう考えれば、キラード団という謎の組織が事件の鍵を握っている。
もし、そうだとしたら・・・キラード団という謎の組織を作ったのは誰なのか気になる。
それに電話で聞いた男の声・・・その特徴を考えると直紀に似た大柄な男だろうか。
(もしかして、リンたちも事件に巻き込まれた可能性が高いだろうな)
リンたちも何か事件に巻き込まれた可能性があると見ている。
しかし、有力な手掛かりをつかめないでいるのは確かだ。
「バン、さっきから何を考え込んでんのよ?」
「あっ・・・いや、別に何でもない」
余計に考えたら、ハルやヒロたちと一緒に居る時間を失ってしまいそうで怖い。
隣の席に座っていたハルは俺を見て思わず首を傾げる。
「さっきから様子がおかしいよ?」
「そ、そうかぁー?」
ハルに指摘された瞬間、リンのことを思うあまり、謎解きに熱中したようだ。
まぁ、そこまで熱中するのは良いけれども・・・今は3限から始まる授業に専念した方が良いだろう。
「牛丼も食べ終えたし、そろそろ片付けちまおうぜ」
「うん、そうだね!」
ハルは満足そうに頷き、食堂の返却カウンターに牛丼を乗せた皿を戻しに行った。
同時に片づけを終えた瞬間、俺たちは3限の講義室に行くことにした。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.55 )
- 日時: 2012/12/16 13:31
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
放課後、帰り道をゆっくり歩いていた。
俺は昨日の出来事を思い返してみる。
(そういや、リンがいないんだったな・・・)
昨日は酒飲んだり、お互いに健太たちとふざけあいながらも楽しく話すことができた。
酒を飲んで寝た頃には、既に戻ってこなかった・・・気付けば、やっと起きたのが11時ちょうど。
(その時、俺はベッドにダイブして寝転がっていた・・・)
その後に優雅から連絡が来て、リンが誘拐されたことをやっと知った。
現時点で何が起きたのかという状況を飲み込めないでいたし、優雅から聞いた話だと大学近くの駐車場に止められていたんだよな。
(あの時、酒を飲まなければ済んだかもしれないのに・・・)
頭を抱えながら、酒を飲まなきゃ良かったとつくづく思う。
そんなことを思っていても仕方がない・・・誰か目撃した人はいないかな。
そう思いながら考え込んでいたその時、後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
「あら、バン君じゃない!」
後ろを振り返ると近所に住むお喋り好きの白井さんだった。
この人は女の人だけど、よく喋るんだよね・・・俺も結構、仲良くしてもらっているから話しやすいんだ。
「白井のおばさん、こんにちは!」
「バン君、大学の帰り?」
「うん、そうだよ。ところで、おばさん・・・」
俺は頭をポリポリ掻きながら、白井さんを見て聞くことにした。
この人が見た可能性も高いし、話を聞けるかもしれない。
「んー?」
「昨日の夜、河川敷とかで何か起きなかった?」
試しに聞いてみると・・・白井のおばさんは腕を組みながら思い出していた。
おっ、その様子だと何か知っていそうだ。
「そういえば、2人組の男女がリンちゃんの前に立ちはだがっていたのを見かけたわ」
「それ、何時頃だったか覚えてる?」
「確か、9時〜10時頃だったと思うな」
俺が起きる2時間前か・・・ということは河川敷とかで何か起きた可能性が高いということになる。
白井のおばさんはその時に雑音らしきものを聞いたという。
「そういえば、河川敷で見てたんだけど・・・あの2人組のうち、1人はリンちゃんより背が高くて、体格がガッチリしていたわ。もう1人は女みたいで、背は低いはずだよ」
2人組の男女?
そいつらがキラード団の一味だという可能性が高まってきた。
当時はどんな服装をしていたかも気になってきたので、おばさんに聞いてみることにした。
「あのさぁ・・・そいつらがどんな服装してたか覚えてる?」
「確か、黒ずくめだったなぁ・・・暗くて分かんなかったけど、後ろに何かのマークがつけられていたのは間違いないわ」
黒ずくめねぇ・・・当時は夜だったから、どんな服装を着ていたのか分からなかったんだ。
じゃあ、服の後ろにつけられていたマークはキラード団という謎の組織を示すものなのか?
「犯人がスタンガンを使ったところは見た?」
「あ、それ見た! リンちゃんたちの首にスタンガンを突きつけて気絶させたところなら目撃したわ」
「本当か? その時、リンはどうしてた?」
「確か、男のことを『キラ』って呼んでた」
キラという名前に聞き覚えがあった。リンの知り合いなんだろうか。
(リンのお守りに入っていた写真に写っていた少年か。あの子が何らかの理由で事件に関与しているのか?)
リンは首にスタンガンのダメージを受け、気絶させられた。
ということは計画的に犯行を企て、その車の中に入れて連れ出そうとしていたのか。
「やっぱり・・・この時点でリンたちは誘拐されたということになるのか」
「そうみたいね。バン君、これからどうするつもり?」
「大丈夫、俺が事件の謎を解き明かしてやるさ」
リンを救い出すために謎を解き明かさなきゃいけない。
あの4人を救出するのは時間がかかると思うが・・・その前に暗号の謎を解き明かすしかない。
そう考えれば、4人が囚われている場所を特定することができる。
「おばさん、俺の話を聞いてくれてサンキューな!」
「えっ・・・」
「じゃあ、俺は帰るからさ!」
白井さんと別れた俺は自宅に向かって走り出した。
何としても解き明かしてやる!!
(リン、待ってろよ。必ず助け出すからな!)
意気込みながら、自宅に戻ったところまでは良かったが・・・その前に謎解きしなきゃいけないかもしれない。
まず、今までの出来事と白井さんから聞いた目撃証言を元にして考えよう。
(昨夜、俺が起きたのは夜中の11時ちょうど・・・)
俺は酒を飲んで寝てしまった。その時、声がして眠そうに目を覚ますとハルたちがいたんだ。
スポーツバッグを持ってきてくれたハルから話を聞いて、リンが攫われたことを知るのに時間がかかった。
(その後、優雅から連絡が来たんだよな)
その時に優雅から連絡が来て、リンと優が誘拐されたことを知る。
(その時、優雅は望月と一緒にいた・・・近くの駐車場に止められていた1台の不審な車の中に2人が入れられていることに気付いた)
1台の車が止められていたのは確かなはずだ。
しかし、その証拠を掴むにはどうしたら良いか考えた。
更に優雅たちを襲ったとされる人物・・・同一犯の可能性が高いと見て良いだろう。
(白井さんが目撃したとされる時間は夜9時〜10時までの間だったな。俺が起きる1〜2時間前ということになる)
白井さんが目撃した時間とヒロがどこかにいた時に騒音らしき雑音を聞いた時間が一致しそうだ。
確か、2人組の特徴について聞いたけど・・・1人はリンより背が高くガッチリしていて、もう1人はその男よりも低いというが、身長はリンと同じ感じだと言っていた。
(それにキラード団とかいう謎の組織の存在が気になるな・・・)
確か、白井さんはこんなことを言っていた。
黒ずくめの服を着ていて、当時は暗くて分からなかった。
しかし、服の裏に何かデザインしたものがつけられていたことから考えると・・・キラード団の一味そのものがデザインした可能性が高い。
(じゃあ、何のためにリンたちを狙おうとしているんだ?)
リンたちを狙おうとしているのには、何らかの理由があるはずだ。
キラード団はいったい、何を目論んで企てようとしているのか?
(キラード団は何の計画を企て、リンたちを攫ってまでどうするつもりなんだ?)
そこが掴めなくて、事件のキーワードとなるものが全くない。
何か重要な手掛かりになるものがないか・・・そこをどうにかすることができないのか。
(くそっ・・・リンはスタンガンを押し付けられて、気絶させられたんだ)
この2人を誘拐するのには時間がかからなかったのかもしれないが・・・どうやって場所を特定できたのか気になる。
ハルたちにも心配かけさせたくないので、1人で調べるしかない。
「うーん・・・目撃証言が出たのは良かったけど、問題はあの暗号メッセージとたった1つだけのヒントかぁー」
腕を組みながら考え込んだ俺は溜息をついた。
確かに目撃証言が出されたのは良かったとして、問題はその場所を示す暗号に関する謎を解き明かさないといけない。
「くそっ・・・何としても謎を解き明かさないといけないんだ!」
そう言って呟きながらも、リンのことが気掛かりでならなかった。
でも、この謎は深まりつつある・・・なんて言えば良いんだろうか、今までにない史上最大の謎と言っていいのではないか。
「とにかく考えなくては・・・」
俺はベッドに横たわりながら、謎解き手帳と呼ばれるメモ帳に記された手掛かりに関するメモを見て謎解きに取り組むことにした。