二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ☆番外編☆ ( No.572 )
日時: 2013/05/11 20:46
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第2章 幽霊屋敷探検Ⅰ リンと優が気になりだしたものとは?

その日の夜、リンは同級生の望月優(もちづき ゆう)と一緒にミソラタウンの町外れにある森の中に向かった。

「優、あんた…いったい、今度は何を企んでるの?」
「フフッ、ちょっと気になるネタを見つけたのよ。それで、行って見なきゃ分かんないよ」
「ネタって…」
「まぁ、そこに行ってみてからのお楽しみということで♪」

優が何を企んでいるのかは容易に想像できた。どこに行くかは聞かされていなかったが、森の奥にあるらしい。
もう少し、突き進んでいくと…屋敷らしき建物が建てられていた。そこで幽霊屋敷の中を探検することになった。

「これ…幽霊屋敷?」
「何言ってんの、当たり前でしょ!」

幽霊屋敷を見てみると、古いようだが…洋館っぽく見える。それに不気味なオーラを纏っているということが伺えた。
優がその幽霊屋敷の情報を持っていたので、バッグから懐中電灯を取り出す。

「優、いったい何を企んでんの?」
「まぁ、御託はいいから。そろそろ、中に入ろう!」

優に促され、屋敷のドアを開ける。ギギーッと大きな音を立てながら開けて入ると、中はもう真っ暗。
懐中電灯の明かりをつけると、居間に続く廊下が存在していた。エントランスホールに繋がるのだろう。
その廊下をゆっくり歩きながら、突き進んでいくと…電気はつけられていないため、余計に暗闇を感じてしまう。

「優、ここで何をしようって言うの?」
「いいから…2階に行ってみれば分かるよ」

2階に通じる階段を上り、一番奥にある部屋を目指して進みながら歩く。
幽霊が出るとは限らないが、ここで佇むのも良くない。ということで、リンは優と共に屋敷の中を探検することに至る。

「2階に何かあるわけ?」
「問題なのは、この部屋よ。ちょっと気になるんだけどね…」

優によると、この幽霊屋敷は数年前に建てられたものでリンの父親の曽祖父が住んでいたと思われる場所。
その部屋の奥に何か隠されているという噂が出るようになったのは、5年前だったという。

「5年前に探検した人が目撃したらしいの…そこからは何も書かれてなかったらしいのよね」
「へぇ…でも、おじいちゃんはそんなこと言ってなかったよ?」

祖父は何も言って居なかったような記憶がある…その時に何か呟いてたのは覚えていた。
優がそこまで拘る理由は屋敷に隠された、その謎を解き明かしたいという気持ちに駆られていたのだと想像できる。

「でも、幽霊屋敷を探検するのって…ホラーサスペンスみたいじゃない?」
「優…あんた、どれだけ拘ってんのよ。そこまで拘る必要がないなら、しょうがないじゃない」
「まぁ、そう言わずに…あっ、見えてきた」

優の懐中電灯に照らされた明かりの前に大きな扉があった。そこが例の部屋だろうか。
慎重にドアを開けて入ると…部屋の中は暗くなっていたので、懐中電灯を照らしながら電気のスイッチを押す。
すると、パッと明るくなった。部屋全体を見回すと、書斎のようだった。リンの祖父が住んでいた場所ではないか。

「この部屋…書斎のようだけど、何か理由がありそうね」
「そうみたいね…ん?」

優が何かに気付いて、その奥の方に歩いて向かう。その奥の壁には、何か仕掛けが施されていた。
奥の壁に何か秘密がありそうだということが分かり、優はようやく推理モードに突入した。

(そこが気になる…もしかすると、これは何かありそうかも)

リンは部屋の周りに設置されているものを見回しながら、ゆっくり見つめていた。
その写真立てを見ると…父親の修一に似た子供が映っている。その後ろに居る男性は祖父だということが分かった。
この屋敷の謎はますます深まりそうだ…リンは優を見つめながら、何かを見出せないものかと考え込む。

(もしかすると、ここは祖父が住んでいた場所なのかもしれない…)

ただ、推測できてもバンたちに信じてもらえるかどうかはまだ分からない。
なぜなら、幽霊屋敷探検しに行くっていうことを話していないのだから…どこかで会うこともあるはずだ。

「リン、ちょっと来て!」
「何?」

優に促されて、奥の方に進んだ。そこに向かうと、壁に何か仕掛けが施されているようだった。
その壁を見つめること数秒間…リンはあることに気付いて、壁に触ろうとする。

「ちょっ、リン!?」
「しっ、黙って!」

リンが力を込めて、壁を押すと…一気に反転するようになって、仰け反りこむように滑り込んだ。

「うぉわっ!?」

仕掛けが施されていたことには気付いていたが、反転するような回転扉があったとは…。
扉を潜ると、滑り台のようになっているトンネルを滑っていく。リンはその展開についていけず、絶叫しまくるしかなかった。

「ぎゃああああ!」

一気に滑り台のようなトンネルを抜け出した頃には、気を失っていた。
少し経って、意識が戻った頃…心配そうに顔を覗き込む優の姿が目の前に映った。

「うっ…」

リンはゆっくり上半身を起こしながら、頭を抱えるようにして顰めた。
周りを見ると、結晶の洞窟みたいなものになっている…ここは地下洞窟なのだろうか。

「ここ…地下洞窟だよね?」
「そういえば、インターネットを調べたときに言ってたな。地下洞窟になってたって…」

優が追い討ちをかけるように思い出しながら、その時の記憶を探って答えた。
地下洞窟になっていたとは…しかし、何か引っかかることもある。ここが地下洞窟だったとしたら、何かが隠されていそうだ。

「何か変じゃない?」
「えっ…どういうこと、地下洞窟だったなんて思わなかったの?」
「いや、思ったよ…でも、これは何かありそうね。慎重に歩いてみましょうか」

リンは懐中電灯を照らしながら、優と一緒に進みながら歩き出す。少し経って、奥に着いた。
その奥に照らし出された明かりを見ると、骸骨が散らばっていた。優はビクッと怯えながら、リンに縋りついた。

「ぎゃああああ、ガイコツ-------------------!?」
「優、落ち着いて。でも、待てよ…何かおかしい」

その辺りに散らばっている遺体を見る限り、行方不明になっていた人物ではないか。
優が調べていたのは、幽霊屋敷に関する噂だった。その噂の1つにガイコツのようなものがあったということが書かれていないのでは?

「ねえ、優…あんた、インターネットでこの屋敷の噂みたいなこと聞いたんでしょ?」
「うん…でも、ガイコツがいるなんて知らなかった。これ、警察に通報した方が良いんじゃないの?」
「そうだとすると…その噂の1つにガイコツの遺体が出たという話は出ていないっていうことになるね」

そもそも、何か怪しい。ますます、ホラーサスペンスみたいな感じになってきた。
遺体を見ると、激しく損傷しているせいで年が経っていた。随分、ここで暮らしていたように見えるが、行方不明になっていた人ではないか。

「うーん…バン兄さんたちに知らせても分かるはずがないよね…」

そう言って、リンが呟いたその時…優があることに気付く。ガイコツの傍に何かが落ちていた。
優がハンカチを使って、拾ったもの…それは古い写真のようだった。だいぶ昔の写真だが…何年前のものかは分からない。
それが手掛かりになるとしたら、警視庁の奈良警部たちに事情を話した方が良さそうだ。

「この写真…どうやら、手掛かりになりそうね。どう見ても明らかに変だと思うわ」
「でも、この遺体を見つけたら…誰かに殺されるとか…」

優が不安そうに呟いたその時、どこからか微妙な音が聞こえる。誰かが歩き出すような音…それを聞いて、身震いした。

「何かヤバい…そろそろ逃げよう!」
「うん、一気に逃げるよ!!」

リンはスポーツバッグに写真を入れて、一気に走り出す。それに続いて、優も出口に向かって走り出した。
出口に繋がるドアを見つけ、そのドアを開けて入った。一気に駆け出すように階段を上る。
階段を駆け上り、そこに戻ると…さっきまでいた例の部屋だった。その部屋から脱出を試みた。

「行くよ!」

1階に通じる階段を駆け下り、ドアを開けて出た。何かに襲われたら、まずい。
リンと優は顔を見合わせながら、アイコンタクトを取って頷き合う。とにかく、急いで逃げ切ることだけに集中するしかなかった。

「駅まで逃げよう!」

ミソラタウン駅前まで駆け出しながら、走り出していったのだった。