二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去 ☆番外編☆ ( No.576 )
日時: 2013/05/12 11:29
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第3章 幽霊屋敷探検Ⅱ 駅前で起きた出来事とは…ハル・ヒロ・ナオ参上!

ミソラタウン駅前まで突っ走って、そこに辿り着いた頃には息苦し紛れに肩を上下に揺らしていた。

「ゼェゼェ…ここまで来れば大丈夫かな」
「優…あんた、幽霊屋敷探検に巻き込ませといて、何がしたいの?」
「リン、それ言うなら…バンさんに話さなくて、大丈夫なの?」

優の言葉に思わず絶句。兄のバンは家で待っているはずだ。それなのに…言うことができない。
ハルやヒロたちのことも含めて考えれば、自分たちを探すのも容易に想像できた。
どうすることもできないのが嫌だったが、リンは優に向かって捉えた上で冷静に言い放つ。

「優、そこまで拘る暇があったら…幸介さんに言わなくていいの?」

望月幸介は優の兄で、バンの同級生に当たる人物…大の仲良しだが、リンは幸介と話したことがある。
優の自由奔放な性格を考えれば、幸介が怒るのも時間の問題だ。自宅まで歩くのもいいと思うが、夜遅くになってしまった。

(…兄さんに言うのも、どうだかな…)

その時、リンのCCMが鳴った。着信音が鳴っているところを見れば、開いてみたら…兄のバンだった。
テレビ電話のようで、すぐに通信を繋いだ。画面にバンの顔が映り、よく見れば顔が赤くなっている。
その様子だと酒を飲んで、帰りを待っていたところなのだろう。兄に心配かけたくないのに、何も言えない。

『リン、帰るの遅いけど…何してんだぁ?』
「いや…ちょっとね、理由は家で話すよ。優と一緒に居るんだけどさ」
『ふぅん…優ちゃんに付き合わされた…っていうところかぁ?』
「まぁ、そんなとこ…健太たちは?」
『寝てるよ。あいつら、お前が帰ってこないこと心配してたぞ』

バンはリンのことを思って、心配していたのだ。それに健太と直太も帰ってこないことを気にしていた。
優のことも含めて考えてもしょうがないと思っていた矢先だった…どこからか、聞き覚えのない声が聞こえた。

「こんなところでほっつき歩いてたら…襲われちまうぜェ?」

振り返ると、5〜6人くらいの不良グループがいた。帰れるどころか、逃げ切ることができない。
バンとの電話を終わらせて、CCMをポケットにしまう。2人で対抗するにも、どうにかなる状況ではない。

(こいつら…いったい、何者?)

不良グループの手下が一気に襲い掛かってきた。なす術もなく、守りきるしかないのだということに…。
やられると思ったその時…どこからか、何かがビュンッと飛び出してきて、不良グループの4人の顔に当たった。

「ギャッ!」
「あでっ!」
「がっ!」
「ぐはっ…」

一気に倒れこみ、うつ伏せたまま眠り込む。残された不良グループの2人を見ると、顔を青ざめていた。
ボキボキと腕を鳴らす音が聞こえ、後ろを振り返ると…見覚えのある人物が立っていることに気付く。

「あっ…」

大空ヒロ・小野奈緒美・人見晴香の3人がこちらに歩み寄り、不良グループの2人を見て睨みつける。

「リンたちに何するつもり?」

ハルがその目つきを睨み利かせながら、腕をボキボキと鳴らす。空手部のキャプテン、流石に容赦しないという感じだ。
不良グループのリーダーらしき人物はズボンのポケットからナイフを突き出し、襲い掛かろうとした。

「うらぁぁぁっ!」

襲い掛かってきたのを見計らった瞬間、ハルはすかさず左手でリーダーの右手を掴んだ。
右手を使って、男の首を狙って殴った。その瞬間、仰け反りこむように気を失って倒れ込んだ。
さぁ、残る1人は…リーダー格が倒れこんだのを見て、やむを得ずに逃げ切ろうとした。

「逃がさないよ!」

ナオが1人の青年の前に立ちはだかるように、キッと鋭い目で睨みつけた。
男が怯んだのを見て、ナオは絶対に逃がさないというオーラを纏った。その迫力に怯んだ男は腰が抜けてしまう。

「う…あぁ…」

男が逃げようとしたのを見計らって、ナオは容赦なく右足を繰り出す。
得意の回し蹴りで男の頬にキックを食らわせ、気絶させた。男は仰け反った後、オーバーリアクションを見せたかと思えば…リーダー格の背中に乗る形でうつ伏せるように倒れた。

「フーッ…」

ナオは溜息をつき、ハルたちの方に振り返った。ヒロはコクリと頷き、CCMを取り出して警察に連絡する。
その間にハルとナオはリンと優のところにやってきて、駆け寄るように優しく声をかけた。

「リン、優…あんたたち、こんな時間まで何してたの?」
「ゲッ…ハルさん、それにナオさんまで…」
「こらっ、笑い事じゃない! バンと幸介が心配してたか分かってんの?」

ハルに突っ込まれ、リンと優は動揺を隠せなかった。兄が心配するのは当然か。
説教をしようとしたハルを見たナオが気遣いながら、リンと優に優しく語り掛ける。

「ハルさん、落ち着いてください。2人とも、こんな時間まで何してたの?」
「いや…その、お2人には言えないこともあるんで…ねぇ、リン?」

優も流石に空手部の先輩であるハルとナオに逆らうことができず、リンも何と言えば良いか分からなかった。
先輩である2人に事情をかいつまんで、説明しようにも…どうやって話せばいいのか悩んでいた。

「…幽霊屋敷探検してました」
「えっ、ちょっ…リン、それ言わないでー!?」

リンの言葉を聞いた優が怯えながら、あたふたと動揺しつつも慌てる様子が見て取れた。
ハルとナオは首を傾げながら、顔を見合わせる。こんな夜に幽霊屋敷探検って…高校生がするものではない。
つまり、優が言いだしっぺで…リンは彼女につき合わされただけなのだと察した。電話を終えたヒロが歩み寄る。

「お待たせ、みんな…って、どうしたの?」
「ヒロ、この辺に幽霊屋敷ってあったの?」

ナオの台詞を聞いて、目を見張る。幽霊屋敷といっても、郊外にあるところでしか見られない。
そういえば、町外れの森の奥にそんな場所があったのを思い出す。ヒロはリンと優を見て考え込んだ。

「ねぇ、2人とも…怒らないから、本当のこと話して?」
「えっ…ヒロさん、それ言っちゃっていいんですか?」

リンは優と顔を見合わせながら、ヒロたちに何を説明すれば良いか分からない。
とりあえず、話してみて信じてもらえるかどうか…ヒロたちの反応を見て、バンたちに話すのもありだ。
2人はコクリと頷きながら、覚悟したようにヒロたちの方に向けた。ようやく、勇気を振り絞って話し始める。

「町外れの森の中に洋館みたいなのがあって…ヒロさんたちは知ってますか?」
「そういえば、そういうのがあったなぁ…確か、あそこはリンちゃんのおじいさんが建てたものだったよね?」

ヒロは腕を組みながら、リンを見て思い出す。リンの祖父が建てたものだったらしく、その屋敷は洋館っぽいイメージがある。
リンの祖父が建てたものだということを知らされていなかったハルとナオはビックリ仰天して驚く。

「…は?」
「えぇ、どういうこと?」

ハルとナオはヒロに突っかかって、どういうことなのかというような顔を見せて問い質す。
ヒロは溜息をつき、これは話す必要がありそうだと判断した。ようやく、リンたちの方に向けて頷く。

「あの幽霊屋敷の2階にある部屋の中に何かが隠されているという噂が出るようになったんだ」
「隠されているってことは…もしかして、あんたたちは例の噂が本当かどうか確認するために行ったの?」

ヒロの説明を聞いたナオがリンたちを見て話しかける。例の噂を確認しに行ったのは言うまでもない。
リンと優は顔を見合わせながら、無言で頷く。その様子を見かねたヒロが2人に質問した。

「その部屋の奥に何があったの?」
「はい。壁のところに回転扉が施されてて、そこを開けて入ったら…滑り台になってました」
「つまり、2人はそのトンネルを潜って隠されているところに辿りついた…?」
「はい…信じてもらえますか?」

ヒロの言葉を聞いて頷きながら、2人は固まったまま動揺していた。その先に何かがあったということは言えない。
ハルたちは腕を組みながら、顔を顰めた。信じてもらえることになったので、ハルはリンを見て話しかけた。

「分かった…バンが待ってるから、家まで送ってくよ。ヒロ、ナオは優ちゃんを送ってあげて」
「はい、分かりました。それじゃあ、気をつけて帰るんだぞ」

ヒロはナオと一緒に優を連れて、立ち去っていった。リンはハルと一緒に住宅街にある自宅へと歩き出し、帰路についたのだった。