二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.65 )
- 日時: 2012/12/16 14:34
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
第17章 立向居勇気&月島楓の幼馴染コンビ登場!
(ストーリーモード:立向居)
その夜、1人の青年はミソラタウン駅前で誰かを待っていた。
(そういえば、兄貴・・・・・・来るのが遅いな)
俺の名前は立向居勇気。トキオ大学サッカー部でGKを務めている。
自宅に居た時、携帯がなったかと思えば・・・・・・次兄からの連絡だった。
長兄の涼気(りょうき)は聴覚障害のサッカークラブの打ち合わせがあるとかで出かけたのだ。
【勇気、代わりに直毅を迎えに行け。僕は行けないから】
涼気は苦笑しながら、慌てて自宅を出て行った。どうせ、またサッカーだろう。
そう思いながら、複雑な思いを抱きつつも駅前まで迎えに行ったというわけだ。
(兄貴、どこをほっつき歩いているんだか・・・・・・)
兄の直毅のことが心配で迎えに来たのはいいとして、帰宅時間を過ぎているようにしか思えない。
どこかで酔い潰れて寝ていたなんてことはないだろうか。
「おーい、勇気ィ!」
改札口を通り過ぎ、手を振りながら歩いてきた青年を見て駆け寄る。
紛れもなく、兄の立向居直毅だった。その様子を見る限り、酒を飲んだのだろう。
「酒臭いよ、兄貴。どれだけ飲んだの?」
「んー・・・・・・飲んだって言うか、かなり? へへへ・・・・・・」
「兄貴、飲み過ぎだよ。さっさと帰ろう」
そう言いながら、直毅の右手を肩に乗せて背負う。
直毅は顔をしかめながら、不満そうに俺を見て呟いた。
「なんだよ、俺のこと・・・・・バカにしてんの?」
「は? そんなこと言ってないのに、勘違いすんな。このバカ兄貴」
「なんだよ、その言い方・・・・・・ムカつくんだけど、マジで」
「あーそんなこと言ってる暇があったら、涼気兄さんに言っといてよ」
酒浸りの日々を送って過ごしている直毅兄さんはいつも面倒くさがりで酒を飲むことしか頭にないことが多い。
それでも、涼気兄さんは直毅のことを誰よりも理解していた。その時に3人で東京暮らしを楽しみながら過ごそうっていう話になった。
(直毅があれだけ飲むなんて・・・・・・何か嫌なことでもあったのか)
直毅が酒を飲んでいる時は何か嫌なことがある場合だった。
それに限らず、関わることのない両親とは微妙な仲だと思う。
もしかして、酒場で何か言われたのかと思いながら考えつつも首を傾げた。
「兄貴」
「あぁ? なんだよ、勇気ィ・・・・・・」
直毅はヒックと呻きながら、顔をしかめる。もしかしたら、何かあったのだろうか。
何かありそうな感じがしてならなかったので、無言で直毅を見つめた。
「兄貴、酒場で何かあったの?」
「あん? 嫌なことなんてねえよ」
「ないなら、何で飲んでるわけ?」
「飲みすぎて、何が悪いんだよー飲ませてくれたって良いじゃねえかよォ・・・・・・」
涼気からメールが来て、俺を迎えに行かせたからって言い出す始末。
それでも、家族という存在を改めて認識したらしい。就職してからも酒浸りになって帰ることが多くなった直毅は仕事先でも人間関係が難しいようだ。
「兄貴、仕事先で飲み会があるなら言ってよ」
「おー悪い、涼気兄さんには言ったからいいけどなー」
「いや、良くないよ。そういう時は俺にも言ってよ。メールしてくれていいから」
涼気だけ話しやすいらしくて、俺はとっつきにくいということか。
まあ、直毅にとって涼気は大切な兄だという存在だと認めているのだろう。
「・・・・・・兄貴?」
ふと、直毅が大人しくなったかと思えば・・・・・・様子を見たら、穏やかな寝息を立てながら熟睡モードに入っていた。
「マジかよ・・・・・・」
いつの間にか知らない間に寝入ってしまうとは・・・・・・本当に参ったなぁーと思いながら背負いなおす。
仕方がないと思った俺はため息をつく。直毅を背負いながら、帰路についた。
数分後、やっとの思いで自宅に着いた。酔い潰れて寝ていた直毅を起こす。
「直毅、起きて。家に着いたよ」
「んぅ・・・・・・」
「直毅ってば、いい加減に起きろよ」
「ぅぅん・・・・・・」
少し身じろいでから目を覚ました直毅。
家に着いたようだと察したのか、俺から離れて歩く。
「ちょっ、ふらつきながら歩くの止めろよ」
「良いじゃん、自力で歩けるからさー」
玄関前まで歩いたかと思えば、見事な酔っ払いになっていた。
そこで仕方なく、玄関のドアの鍵を使って開けた。
「ほら、さっさと入りなよ」
「ただいまー・・・・・・っとォ」
ふらつきながら、靴を脱いで上がる直毅の背中を見送った。
居間に入ると、サッカーの打ち合わせに行っていたはずの長兄・涼気が待っていた。
「お帰り、直毅。勇気もお疲れ」
「うん、ありがとー」
涼気は溜息をつきながら、直毅を見やって言い放つ。
「直毅、少しは懲りたか?」
「あー? 何のことォ?」
前に起きたことはすっかり忘れているらしく、記憶力のない直毅を見くびらないようにしていた。
涼気も呆れながら、腕を組んで突っ込んだ。
「おまえ、前に何かしでかしたの忘れたの?」
「何もしてねーよ、俺は寝るからいいや」
面倒くさそうに言いながら、ソファベッドに寝転んだかと思えばすぐに寝てしまった。
そんな兄の様子を見て呆れた俺たちは顔を見合わせた。
「本当に困ったな、もう・・・・・・」
「参ったな、直毅は面倒くさがりだからな。何もしたがらなくて嫌がるかもな」
サッカーする時は別に嫌がらずに相手してくれるのだが、サッカーや酒以外のことになると、必ずと言っていいほど面倒くさがりなのだ。
(あれで困らせたらどうしようもないもんな)
そう思いながら考え込んでいたその時、携帯が鳴った。
慌てて携帯を取り出すと、ミソラ高校の西園信助からだった。
「こんばんは、勇気先輩。お久しぶりです!」
「おお、信助か。急にどうした?」
後輩の信助が電話してきたのは、他でもない用件があってきたのだという。
サッカーに関する件なのかと思いながら考えた。
「はい。今度の週末、空いてますか?」
「空いてるけど、それがどうかしたのか?」
話を聞くと、雨宮太陽・松風天馬・狩屋マサキ・信助の4人で誰かとサッカーバトルしたいっていう話が出た。
その時に俺のことを思い出して、わざわざ電話してきたというのだ。
「なるほどね・・・・・・うーん、俺も暇だから相手してやるよ」
「えっ、良いんですか?」
「ああ、その代わり・・・・・・俺のチーム編成もあるから、4対4でいいかな?」
「はい、それでお願いします」
「ああ、分かった。週末って言っても、土日のどっちか空いてる?」
「土曜日ですね。午後が空いてたので、大丈夫ですよ」
土曜日にサッカーバトルしたいというのなら、お手合わせできそうだ。
こっちは誰を連れて行くか悩むけど、とりあえず聞いてみた方が良いかもしれない。
「ふうっ・・・・・・」
「勇気、どうした?」
「涼気兄さん、直毅を連れてっていい?」
「週末のサッカーバトルか?」
「ああ、それもあるけど・・・・・・酒が抜けていれば良いだけの話だけどね」
「なるほどな・・・・・・・」
後は直毅を連れて行ったほうが良さそうだ。
(でも、直毅はサッカーやってないから鈍ってるかもしれない)
それでも、引き受けてくれたら良いという話があれば大丈夫だ。
涼気と直毅がいれば楽勝かもしれないが、涼気はサッカークラブの試合があるらしくて行けそうもない。
(誰か知り合いはいたかな・・・・・・)
ふと思い出しながら、バスケ部の後輩に知り合いがいたことに気づいた。
青峰太陽がいることを思い出し、後輩なら引き受けてくれるかもしれないということだ。
「青峰なら大丈夫かもしれないな」
「誰だ、その青峰っていうのは?」
「青峰太陽だよ。あいつはバスケやってんだけど、運動神経が抜群だから大丈夫だぜ」
青峰太陽は俺と親交が深く、その弟の大輝も仲良くしてくれている。
それならば、翌日に持ちかけてみた方が良さそうだということで決まった。
- Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.66 )
- 日時: 2012/12/16 14:37
- 名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)
翌日、トキオ大学でいつものように授業を受けた後の昼休みに楓を連れて行った。
「勇気、急に私を連れてきてどうしたの?」
「あいつのところに行くんだよ」
「ああ、太陽ね。それがどうかしたの?」
「実は・・・・・・・」
昨夜、信助から電話がかかってきたことを話した。週末の土曜日にやることが決まり、一緒にやってくれそうな人を思い出しながら考えた上で苦渋の決断を下すしかなかった。
「だから、青峰しかいないということになるんだ」
「なるほどねーそれで、体育館にいる太陽を呼び寄せるってことね」
つまり、スポーツ万能である青峰太陽しかいない。彼はなんたって、奇跡の世代の1人である青峰大輝の兄だ。
「そういうことだ。太陽に頼むしかないから、俺の話を聞いてくれるかどうか分からないな」
「太陽なら大丈夫じゃない?」
楓は笑って、俺を見る。青峰ならできそうな感じがしてならなかった。
なぜなら、あいつはバスケ馬鹿なのだ。大輝もその1人であるが、バスケの実力は持ってしても、俺の実力を上回るほどの能力を発揮してしまう。
(太陽も大輝もなかなか実力はあるけど、サッカーできそうなのが太陽しかいないっていうのはどうだかな)
そう思いながら、楓を連れて体育館に向かった。
数分後、体育館に着いた俺は周りを見回しながら探す。
ふと、キュッキュッと音を鳴らしながら動く青年の姿が目に入った。
「あれは・・・・・・」
紛れもなく、青峰太陽だった。顔は大輝よりはマシだけど、ちょっと肌が黒い。
髪型はボーイッシュな感じになっていて、青い髪を靡かせている。目は両目ともに太陽の色に近い黄色になっていて、綺麗さを感じさせないオーラを醸し出している。
(太陽のヤツ、よくやってるなー)
キュッキュッと音を鳴らしながら、ダムダムとバスケットボールを叩きつつも見事なボール捌きを操ってからシュート体勢に入った。
「おっ・・・・・」
同時に太陽はボールを持ったまま走りこみ、ジャンプした後に左手で置くようにしてレイアップシュートを決めた。
「凄い、太陽!」
「あっ、バカ・・・・・・」
楓が急に声を出したので、すかさずフォローしようとした。その時はもう既に遅し。
とっくに気づいた楓は顔を青ざめながら、俺に向かってうなだれる。
「勇気、太陽に気づかれちゃった・・・・・・」
「はぁ・・・・・・ったく、しょうがないな」
2人で苦笑しながら、顔を見合わせていた。その様子に気づいた太陽がボールを持ったまま駆け寄る。
「よっ、たちむー。急に来て、どうしたの?」
「太陽、週末の土曜日は空いてる?」
「週末の土曜っすか? 空いてますけど・・・・・・」
太陽は俺を見ながら、怪訝そうに首を傾げる。
楓が突っ込みながら話しかけてくれた。
「サッカーバトルやってくれない?」
「俺が? 何で?」
「4対4のチームバトルでやるんだけど、おまえもどうだ?」
「チームバトル? 面白そうだな、大輝も一緒に連れてきてやろうぜ」
「そう言うと思っていたよ。太陽、サッカーはどれくらいできそう?」
「まあ、ある程度はできますよ。たちむーがそこまで言うなら、俺も協力してやるぜ」
太陽もあっさり受け入れてくれたので、快く引き受けてくれることに感謝した。
青峰兄弟をチームに入れることができたのは良いとして、もう1つの問題が深まる。
それは兄の直毅についてだ。直毅が承諾するかどうかも分からないまま、聞けそうにもなかったのだ。
「うーん・・・・・・」
「どうしたんすか、何かあったの?」
「直毅のことで悩んでるんだよなぁ・・・・・・」
その台詞を聞き逃さなかったのか、楓が俺を見て突っ込みをかける。
「なんで悩んでるの?」
「酒浸りになってる兄貴の状態を考えれば、サッカーできるかどうかも分からないよな」
「あーそれは一理あるかもね。太陽、誰か知り合いはいない?」
「あっ、黄瀬ならどうですかね? あいつ、模倣できる能力を持ってたから運動神経は抜群だぜ」
青峰の知り合いに奇跡の世代の1人である黄瀬涼太がいたことを思い出す。
そういえば、前に会ったことがあったのを思い出した。確か、大輝が連れてきてくれたんだ。
その時にバスケの練習相手になって付き合ってあげたのを覚えている。
「じゃあ、直毅がダメになったときのことも考えて・・・・・・黄瀬も呼び寄せるしかないな」
「そういうことなら、俺に任せときな! 大輝には俺から言っておく」
「悪いな、太陽。大輝にもよろしく言っといてくれ」
「おう、じゃあなー」
そう言って、太陽はバスケの練習に戻った。後は直毅に話してみるだけか。
ちょっと複雑かもしれないが、夜になってから自宅で待ち伏せて聞くしかない。
やがて、時間が経って・・・・・・夜11時ちょうど。
寝静まる頃、俺は部屋で直毅が帰ってくるまで待っていた。
すると、どこからか物音がして振り返ると・・・・・・部屋のドアが開いたかと思えば、直毅がふらつきながら帰ってきた。
「ウーイ、勇気ィ・・・帰ったぞォ〜」
「やっぱり飲んだんだな。ほら立って」
「んー・・・・・・」
直毅を背負いながら、ベッドに寝かす。どこで飲んだのかも知らないし、きっと飲みすぎていたのだろう。
へべれけに酔っ払って帰ってきて、聞きたいことがあるのになーと思いながら顰めた。
「直毅」
「んー・・・・・・なんだよ、俺は眠いっつーの」
「週末の土曜、空いてる?」
「土曜日ィ? 何なんだよ、もう・・・・・・」
「サッカーバトルやるんだけど、直毅も一緒にやらない?」
直毅に話しかけたら、うとうとしつつも眠そうに見つめた。
何か目が据わっていて、あからさまに俺を見ているかのような目つきをしている。
「な、直毅?」
「サッカーやってねーし、そんな俺が出ていいのかぁ?」
「別に良いよ。直毅のやりたいポジジョンで良いし、俺は直毅と一緒にやりたいんだ」
直毅に直訴しながら頼み込んだ。もちろん、予定がないことを祈っている。
すると、身じろいだのかと思えば・・・・・・直毅は眠そうに上半身を起こす。
「こんな俺でいいの? 本気を出しても知らねーぞォ?」
「別に良いよ。直毅が一緒にいてくれたら、俺はそれで十分だよ」
「そういうことなら引き受けても良いぜ」
直毅はヒックと呻きながら、俺を見て頷いた。
想像以上に快諾したことが良かったのか、直毅は上機嫌になっている。
思ったよりやってくれそうな予感がしてならなかったのは気のせいか。
「そうか。ちょうど良かった、4対4のチームバトルやるんだけどさ」
「あーそっか、チームバトルやんのかぁ・・・・・・」
「何、やりたくないの?」
「いや、別にそう言ってるわけじゃねえ。俺が言いたいのはなぁ・・・・・・」
ヒックと呻きながら言う直毅は顔を顰めつつも、俺を見て呟く。
同時に突っ伏して、深い眠りに落ちてしまった。直毅の寝入りを見たら驚くのは久しぶりだった。
「直毅?」
「すー・・・・・・すかー・・・・・・・」
酒を飲んだのが効いたらしく、睡魔に襲われて寝入ってしまったのか。
あるいは飲みすぎていたのかもしれないが、週末の土曜日の決戦が楽しみになってきた。
(よーし、信助たちに勝たないとダメだな)
気合を入れなくてどうする!
自分がチームをまとめなきゃいけないので、しっかりやるだけ。
(週末の土曜日の決戦が楽しみだな)
俺は窓の外に映った光景を見つめながら、土曜日のチームバトルに思いを馳せた。
勝負することはサッカーも楽しむこと、それが唯一の救いだ。本気を出し合っていかないといけないので、全力を出し切っていくつもりでいる。
(やるからには頑張らないと!)
その思いを胸に入れ、気持ちを高めようとしていた。
勝負の時が迫ろうとしている・・・・・・サッカーバトル対決を制するのはどちらなのか?