二次創作小説(紙ほか)

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.80 )
日時: 2012/12/16 15:16
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

第30章 輝姫&ティアラ&一ノ瀬心愛の3人組、登場!

(ストーリーモード:ハル)

ある日の休日、午前中に部活を終えた私は大学からの帰り道を歩いていた。

「はぁ・・・・・・」

幼馴染の山野バンに会えないのが辛く、苛立ちを隠せない。
最近、大学で見かけないからどうしているのか。楓が言うには、朝まで飲んでいるところを目撃したという話を聞いたそうだ。

(実際、その居酒屋に来たわけじゃなさそうなのに・・・・・・何で?)

幼馴染って言うよりも、何か彼氏に近いといったところか。
それに嫉妬してたら、埒が開かなくなるのでは・・・バンに何度か連絡したけど、なかなか繋がらない。

「うーん、どうしよう」
「ハル!」

その時、聞き覚えのある声がして振り返る。ふと、見覚えのある青年が走りながら駆け寄ってくるのが見えた。
そこに現れたのは・・・大学の同級生であり、幼馴染の船津直紀だった。
聴覚障害を持っており、多少のハンディはあるものの・・・両親の支えを糧に乗り越えていった。
ちなみに手話の他に口話ができるので、私たちと会話するときはそれを駆使しながら話してくれる。

「直紀、どうしたの?」
「ハルを見かけたから、声をかけようと思って。今、帰り?」
「ああ、そんなところよ。はぁ・・・・・・直紀、どうしよう」
「おい、ハル・・・・・・急にどうしたんだよ、悩み事があるなら相談に乗ってあげようか?」

直紀は躊躇いながらも、私を見て思わず首を傾げる。
きっと、バンのことで悩んでいるのだろう。それを察したのか、直紀はあることを閃いた。

「そうだ、あそこに行ってみるか」
「あそこって?」
「うん、僕の知り合いがやってるレストランなんだけど・・・・・・気分転換に行ってみるか?」

彼の提案により、その知り合いがやっているレストランに立ち寄ることにした。

(どんなレストランなんだろう?)

知り合いの方がどういう人なのかも分からなかったので、まずはそこに行ってみた方が良いだろう。
直紀に連れられて、レストランに向かうことにしたのだった。



数分後、駅から少し離れた場所に到着した。
そのレストランは分かりづらい場所にあって、『Le Jardin Secret』という名前の店である。

「うわぁ・・・・・・」

まるで隠れ家のよう・・・・・・しかも落ち着いた雰囲気を醸し出していて、ログハウスになっている。
中に入ると・・・店内は天井が高くなっているし、天井には扇風機がついていて涼しくなった。

「直にぃ!」

聞き覚えのある声を聞いて、席の方を見た。そこには、見覚えのある2人がいることに気づく。
直紀はその2人の元に駆け寄って、4人専用の席に座る。

「輝姫じゃないか! それにティアラさんまでいるし・・・・・・」

白炎輝姫という少女は直紀を見て頷き、ニッコリ笑う。
髪型は腰辺りまである白髪の超ロングヘアーになっている。左目が水色、右目が黄色のオッドアイになっており、背は低い。
身長は太陽の肩より少し低いくらいで痩せている。肌は透き通るように白い。
サッカーをする時は赤いリボンでツインテールに縛る。太陽から貰ったオレンジの石と黄色の石がはめ込んであるペンダントをいつも首につけている。

「あっ、ハルさんも来てたんですか! お久しぶりです」
「うん、久しぶり・・・輝姫、元気そうだね」
「ハルさん、何か元気がないんですけど・・・・・・どうしたんですか?」

輝姫が心配そうに気遣いながら話しかけてくれる。
その様子を見ていたもう1人の女性が私を見て挨拶してくれた。

「ハル、久しぶりー! 私のこと覚えてる?」
「ティアラさん、久しぶりです」

もう1人の女性はティアラ・クルーガー。アメリカ代表の選手を務めていたマークの妻である。
髪型は肩にギリギリつかないくらいの金髪になっており、目は太陽のような赤い瞳で明るく感じる。
髪の上の両サイドに赤いリボンをつけており、背は低い。身長は輝姫より少し高い。
ルビーが埋めこまれた天使の羽の形をしたペンダント、結婚指輪で貰ったルビーの指輪をいつもつけている。服装は元気系に関するファッションを好んでいる。

「2人とも、こっちに来たってことは何かあったの?」
「ハルのヤツ、最近になって元気ないからね。ここのことを思い出して、気分転換に食べようかってことになったんだ」

直紀は苦笑しながら、私を気遣いつつも2人を見て答えてくれた。
確かに元気がないことが伺えたので、フランス料理を堪能しつつも食べる気になることができた。

「直紀、ここにはよく来るの?」
「うん、悩んだりした時とかに来ることが多くてさ。ところで、何を食べたい?」

直紀はメニューを開いて、フランス料理の数々を見て考え込む。
輝姫とティアラはさっき食べたばかりだから大丈夫だという。

「フランス料理といっても、順番に出されるんだよね」
「えぇ、どんな風に?」
「たとえば、前菜が出るとするよね。それ食べ終わったら、肉料理が食べられるんだ。あとは、デザートくらいかな」

直紀の説明を聞きながら、メニューを見る。フランス料理っていろいろあるのか。
メインは前菜、次は魚or肉料理のどちらか1つを選ぶことができる。最後はデザートと紅茶入りである。

「じゃあ、私は肉料理にしようかな」
「やっぱり、ハルも? じゃあ、僕もそれにしようかな。飲み物は?」
「紅茶でいいわ。直紀も飲む?」
「ああ、そうするよ。すみませーん!」

直紀が右手を上げて、女性に向かって叫ぶ。その女性は直紀を見て、ゆっくり駆け出してきた。

「はーい、いらっしゃい。あら、輝姫ちゃんとティアラも来てたのね」
「ここ、元気そうね。仕事は楽しい?」

ティアラが笑いながら、『ここ』と呼ばれた女性に向かって言う。
女性はティアラを見て、満足そうに頷く。

「そりゃ、楽しいよ。直紀君もいらっしゃい、彼女と一緒に来たの?」
「いやいや、彼女って言うほどじゃないですよ。僕の幼馴染で、大学の同級生だよ」

直紀が紹介してくれたので、その女性を見て特徴を把握する。
髪型は背中の真ん中あたりに黒のロングヘアーをしていて、目は茶色の瞳になっている。
背は低く、肌は白い。紫の蝶のヘアピン、アメジストが埋め込まれた蝶の形をしたペンダント、結婚指輪でもらったアメジストの結婚指輪を身につけている。
服装はクール系を好んでいるようだ。

「ようこそ、『Le Jardin Secret』へ。この店でシェフを務めている、一ノ瀬心愛と言います。私のことは『ここ』って呼んでね」
「初めまして、人見晴香です。直紀の幼馴染ですが、よろしくお願いします。私のことは『ハル』って呼んでください」

ここさんに紹介することができたので、フランス料理のメニューを見て注文した。

「肉料理でお願いします」
「うんうん、肉料理ね。OK」

ここさんはコクリと頷きながら、私と直紀を見た。ふと、直紀が思い出したかのように、私に話してくれた。

「ここさんは心理カウンセラーの資格も持っているんだよ。悩み事があるなら話してみると良いよ」
「そうなの!? うーん、話してもいいのかな?」

その様子を見かねて、ここさんが私に優しく話しかけてくれた。

「うん、私でよければ話してくれる?」
「でも・・・・・・」
「とりあえず、ランチを食べてからにして聞きましょうか。料理ができるまでゆっくり寛いでね」

ここさんはそう言いながら、慌てて調理場に戻っていった。
結構、落ち着くなーと思いながら、周りを見回した。

「ここは本当に落ち着くね」
「うん、僕もここの雰囲気が気に入ってね」
「そうなんだ・・・・・・・」

悩みを聞いてくれそうな人がいて、安心したのも束の間に目を閉じた。

Re: 【ダンボール戦機W】バン×ハルと失われた過去(改) ( No.81 )
日時: 2012/12/16 15:20
名前: レッド ◆mAzj/Mydf. (ID: hSo8a19A)

フランス料理を堪能しつつ、直紀と一緒に食べた後にデザートが現れた。

「はい、ショートケーキよ。あと、紅茶も入れておくわ」

2つの皿に乗せたショートケーキを見て、上手く作られているのが伺えた。
なぜか、お菓子作りもなかなか上手いような気がする。

「さて、ハルちゃん・・・・・・その悩みを聞かせてもらっていいかな?」
「は、はい。実は-----------------------」

幼馴染の山野バンについて、ここさんに詳しく話した。
最近、学校に来ていないことや家に閉じこもりっきりであることもかいつまんで説明した。

「うーん、なるほどね・・・・・・」

ここさんは腕を組みながら、私と直紀を見て呟く。
ふと、何か思い出したのか・・・・・・私たちを見て、あることを話してくれた。

「バン君といえば、数日前に見かけたわ」
「えぇ、本当ですか?」
「直紀君と一緒にいたから、その時に見かけたよ。ね?」

直紀に問い詰めると、ここさんを見て頷いた。直紀もなかなか言えないでいたのだろう。
私を見て観念したようで、バンのことを思い出して話す。

「ハル、実は僕もバンに相談されたんだ。ハルには何も言うなって言われてたんだけど・・・・・・・」
「バンに何を言われたの?」

直紀は眉を潜めて、私を見て考え込んだ。何か言いづらいことでもあるのだろうか。
その様子を見て、納得が行かない私は直紀を見て問い質す。

「何を言われたか教えてよ」
「その前に質問して聞くよ。数日前、誰かに後をつけられてなかった?」
「えっ・・・・・・!?」

私が何者かに後をつけられていた?
そういえば、夜道を歩いていて感じたことはこれだったのか。
どうりで何も気づかなかった・・・・・・何となく違和感を感じていた。

「確かに後をつけられていたような気がする」
「やっぱり、そういうことか」

直紀はここさんを見て頷きながら、話を進めた。
ここさんは私を見て、優しく話しかける。

「ハルちゃん、何者かに後をつけられていたっていうのは・・・・・」
「はい、本当です。けど・・・・・・」
「けど?」
「バンに話しても信じてくれるかどうか分からなかったので、直紀だけなら話してもいいかって思いました」
「うーん、ハルちゃんの後を追いかけている人物がいたとしたら・・・命が危うくなりそうだね」
「ええっ、どういうことですか?」

私はここさんを見て、あんぐりと口を開いたまま見つめた。
ショートケーキを食べながら思ったけど、心理カウンセラーの資格も持っていたとは思ってなかった。

「でも、ハルちゃんの知り合いだと思う。いつか現れてくるのを待つしかないけれど・・・・・・その時は空手で叩きのめしたら?」
「何で私が空手やってること知って・・・・・・」
「あぁ、直紀君から聞いてたの。空手部のキャプテンやってるんだって?」
「はい、そうですけど・・・・・・よく知ってるなぁー」
「しかも優勝したって聞いたよ。挨拶が遅れたけど、優勝おめでとう」
「ありがとうございます、ここさん!」
「バン君も悩んでいたのかもしれないね」
「えっ、どういうことですか?」

バンの悩みを聞いたことがなかったという。その話は直紀から聞いて知ったので、酒浸りになる気持ちが分からなくもなかった。
自分なりに考えて、導き出された結論はただ一つ。バンは何か事件に巻き込まれている可能性が高い。

「もし、そうだとしたら・・・・・・バン君は事件に巻き込まれている可能性が高いわ」
「ええっ、バンが事件に巻き込まれている?」
「よく分からないけど、間違いないよ。直紀君の話を聞く限り、前に居酒屋で起きた事件と妹が何者かによって誘拐された事件の2つを追って調べているのかもしれない」

流石、ここさん。何か推理力が冴えているというか・・・・・・うん、2つの事件が関係していると見て間違いないだろう。
それほど気にすることもなかったのだが、ここさんの推理力もなかなかのものだ。

「確かにそうですね・・・・・・」
「でも、バン君に会いたいなら・・・・・・帰りにでも寄ってみたら?」
「はい、そうします。紅茶が飲みたい・・・・・・」
「フフ・・・そろそろ、紅茶を入れましょうか」

ここさんはそう言うと、紅茶を入れてくれた。すると、何か匂いがしたので気になった。
まるで、花のような匂い・・・・・・見るからに、美味しそうな感じだ。

「これは?」
「ラベンダーティーよ。リラックスもできて、気持ちが凄く落ち着くの。良かったら、輝姫ちゃんとティアラもどうぞ」

あと2つのティーコップに紅茶を入れて、輝姫とティアラに差し出した。
試しに飲んでみると、美味しく感じられた。

「・・・・・っ、こんなに美味しい紅茶を飲んだの初めてだわ!」
「うん、なかなか美味しいね。ここはね、ランチも充実していて、凄く美味しいんだよ」

直紀の言うとおり、今日のランチもなかなか美味しかった。
輝姫とティアラも一口飲んでから、それぞれ感想を述べる。

「うーん、相変わらず美味しいです!」
「そうだね、輝姫。なかなか美味しいわ、ここ」

2人の感想を聞いて、ここさんは満足そうに頷いた。

「そう、良かったわ」
「ここさん、ありがとうございました。また来ます!」
「ハルちゃん、本当に元気が出たね。元気そうな姿を見れて安心したわ」
「はいっ! 直紀も本当にありがとね!!」

その様子を見て、直紀もコクリと頷く。直紀たちのおかげで立ち直れそうだ。

「ハル、良かったな。後はバンに会って聞くだけだね」
「うん! そろそろ出ようか」
「ああ。また来ますね」

バンに聞く決意をして、直紀と一緒にレストランを出た。
ハルは直紀と共に帰路について、バンの自宅へと向かったのだった。