二次創作小説(紙ほか)

Re: メカクシ団 〜全てが終わったその時に〜 ( No.11 )
日時: 2013/07/11 18:36
名前: rival (ID: pqUQa2Av)

あれから数日が経った。
 そう、数日が経ってしまったのだ。
 何も起きずに、ただ日々はだらだらと過ぎていく。
 そんな中で俺は秘かに焦りを感じていた。
「こんなに何もなくていいのか……?」
 誰にともなく呟いた。
 すると、頭上から馬鹿にしたように、ケラケラと笑い声が降ってきた。
 見上げると、そこには確かジュビという名の男が経っていた。
 年齢の割には身長が、絶望的に小さいが、彼はどこかカノによく似ていた。
「じゃあキドが何かを起こせばいいんだよ」
 ニヤリと口元を歪ませて、そう言う。
 その言葉がぼんやりと耳に入ってきて、そのままするりとすり抜けた。
 その顔を見るたびに、脳裏に浮かぶのは血に汚れたカノの笑顔。
 ……どうしてアイツはあんなことをしたんだ。皆大事な仲間だろう。
 血の海におぼれた皆のことを思うと、今でも怒りと苦しみ、そして迷いが心の中を支配した。
 どうしてあんなことを。
 ここ数日そればかり考えていた。
 ぐるぐるぐるぐる同じことばかりを考えていた。
 どうして、どうして。そればっかり。
 でも、その答えは多分、一生かけても出ないのだろうと。俺は心の中で秘かに感じていた。
 カノは本当は、あの人の葬儀の時号泣したくらい。根は優しい奴なんだ。
 だから、大切な仲間を、ましてや小さなころから傍にいた。俺を、セトを裏切るはずはない。
 そう彼を信じようとするたび、思い上がるのは、血の海におぼれたセトの姿。
 ピクリとも動かない。皆の姿—。
 背筋が一気に凍りつくのが分かった。
 どうしてこうなってしまったのだろう。
 いや、何が彼らをああしてしまったのだろう。
 何か重大な悩みを、独りで抱え込んでしまっていたのだろうか。
 そしてそのもやもやとした感情を、爆発させてしまい。あの時の凶行に……?
 それでも、すべては俺の責任だ。
 俺がアイツらの悩みを、感情を読み取ってあげられなかった。
 気を回せてあげられなかった。
 幼馴染の心に気付けなかった……俺の責任だ。
 気が付くと、俺は爪が手に食い込んでしまうくらい。強く手のひらを握っていた。
「……そんなに自分を責めなくてもいいんじゃない?」
 ジュビが頬杖をついて、ため息交じりにそう言った。
「でも俺は……俺のせいで皆は……」
「そう思うなら。何かしてみれば」
「……え?」
 驚いて顔をあげると、そこにはリヴァがいた。
 もう一つのメカクシ団の、団長だ。
 相変わらずの無表情で、たんたんと続ける。
「キドが何かを起こせばいい。そしたらきっと何かが変わる」
「俺が……?」
「あぁ……」
 リヴァはゆっくりと俺に近づいてくると、ずいと顔を近づけてくる。
 そのすべてを見透かされそうな瞳に、思わず釘付けになった。
「キドは……どうしたい?キドは皆をどうしたい?」
「オレの能力で死人も生き返らせることが出来るしね」
 そうへらりと笑うジュビ。
「キドは皆を生き返らせたいか?またキドのメカクシ団を作りたいか?」
 ……俺は。
 俺はどうしたいのだろう。ふと疑問に思った。
 そう言えば、俺は過去の事ばかり、ずっと考えていた。
 俺はこの先を、未来をどうしたいのだろう。
 皆とまたメカクシ団を再結成したい?
 こいつらの力を使って?
 でも俺は……それよりもまず最初に。
「どうしてカノたちが裏切ったのか。知りたい?」
 驚いて顔をあげると、リヴァが「あたり?」とでも言いたそうに、自慢げに笑っていた。
 俺は大きくため息を吐くと、ゆっくりと頷く。
「あぁ……俺は知りたい。どうしてカノが、エネが、コノハが……皆を殺したのか」
「……そうか」
 リヴァはふっと微笑むと、実にゆっくりとした動作で俺から離れていった。
 まだ慣れない連中に、無意識に緊張していたのか、大きくため息が出た。
 その時だった。
「リヴァ……」
 ガチャリと扉が開いて長身の男性が姿を現した。
 その後ろには女の人と、女……?みたいのが一人。
 リヴァはその三人に気が付くと、声をかけた。
「どうした?ジェイド、リズ、レンク??」