二次創作小説(紙ほか)

第五話「武器と職人」 ( No.14 )
日時: 2013/01/02 13:28
名前: 時橋 翔也 (ID: cFLcjEJH)


辺りには時空間とでも呼びそうな色んな色が混じった世界が広がっていた

海音はその中で、実体もなく光速で進んでいる感じがした
『いつになったら着くのかな?』
海音は呟く

他の皆の姿はない
見えていないだけなのか、もう先に着いたのかは海音には分からない

すると先に光が見えた
『出口だ!』
海音が言うと同時に、辺りは光に包まれた

——————

「……!…っかりしろ!」
声がした

海音は目を覚ます
倒れていたのは、冷たい石畳の地面だった
上を見ると、白い髪の少年が海音を除き込んでいた

海音は起き上がる
「あれ…?」
「ようやく気付いたか」
少年は言った
年は海音と同じくらい 少し大人びているようにも見える

海音は少年を見た
「あの…ここは?」
「アメリカのデスシティーだ」
少年は言った

デスシティー?
アメリカにそんな街あった?
いや…ここは別の世界だしありえるか

「…お前日本人?」
「うん…ボクは雪雨海音」
「俺はソウル・イーター…お前もしかして死武専に来たのか?」
ソウルと名乗る少年は言った
「死武専?」
「…え…お前死武専知らないのか?」
「あ…えっと…ボクはなんというか遠いとこから来たから…」

まずい 絶対怪しまれてる
「…とにかくお前怪我してる、手当してやるから俺の家に来い」
ソウルは言った
怪我?
よく見ると、海音の腕には長い傷があり、血がぼたぼたと流れていた

時空間の移動の時に出来たのかな

海音とソウルは路地から出た
アメリカらしい西洋風な街並みで、異世界という感じはほとんどしない

「…というか、なんで海音はあんなとこに倒れてたんだ?」
「あはは…何でだろ」
海音は何とかごまかす
「…ソウル、他に倒れている人見なかった?」
「ん?見てねーな」
皆はこの辺りには居ないのかな?

人気がない暗い路地を通る
ソウルの家ってどんなとこかな…海音が思っていた時だった

突然、体格のいい大人たちが出てきた
「ソウル・イーターだな?」
「………」
ソウルは立ち止まる

「ソウル…知り合い?」
「いいや…くそっ トレーターか」
ソウルは言った
すると海音の手を掴む
「こいつらは無視するのが一番だ…いくぞ」
そして二人は走り出した

だが、囲まれてしまう
「おいおい、ソウルさんよぉ…パートナーと一緒じゃないとは随分余裕だな…」
「………」
ソウルは海音の前に立った

「こいつは関係ない…見逃してやれ!」
「そいつは出来ねぇな…武器にはわかんねぇかもしれないが…そいつは職人だ」
男は海音を指差した

職人…ボクが?
ソウルは海音を見た
「海音本当か?」
「え…職人ってなに?」
するとソウルは頭を抱えた

だが大人たちに向き直る
「パートナーが居なくても戦える…俺が相手してやるよ」
すると ソウルの腕が鎌に変わった

「え…!?」
腕が鎌に!?

「じゃあ俺らもやりますか」
次は何人かの者達が次々に剣や銃に変わり、残った者の手に収まる

武器に変身できる人間がいる世界…
いよいよ異世界って感じがしてきた

路地に刃物が交わる音や銃声が鳴り響く
相手は三人…圧倒的にソウルは不利だが、何とか戦っていた

しかし、相手は体格のいい大人だ
ソウルが圧されているのが海音にはわかった

サッカーボールがあれば必殺技出せるのに…

「がはっ!」
するとソウルが地面に倒れこむ
「ソウル!」
「…くそ…トレーターなんかに…」
ソウルは立ち上がる

すると海音を見た
「おい…お前職人なんだろ?」
「そうらしいけど…」
「俺が魔鎌になる…海音はそれで戦え」
魔鎌で…戦う?ボクが?

恐らくこの世界には武器と職人と呼ばれる者がいる
武器は武器に変身し、それを扱うのが職人というわけか…

「…わかった やるよ」
海音は頷いた
「そうこないとな」
ソウルは言った

ソウルの身体が人間から魔鎌に変わる
そして海音の右手に収まった

少し重いが、何とかなる

「おもしろい!」
すると海音に向かって銃が打ち付けられる
海音はそれを魔鎌の刃で弾いた
「ソウル痛くない?」
『問題ない』

「なんだと!?」
大人達は驚愕する
海音はその隙に銃を空に弾いた
「くそっ!」
次に二人が同時に剣を振り回す

海音はそれをかわし、剣を二つとも弾いた
海音は大人達に魔鎌を向けた
「もう勝ちは見えてます…まだ戦いますか?」
「…ちっ」
舌打ちをし、仕方なく大人達は退散した

ソウルは人の姿に戻ると海音を見た
「お前何者だよ…あんなに俺を使いこなすなんて」
「……職人だからかな?」
海音は言った

「…まぁいい…行こうぜ」
ソウルに言われ、海音は歩き出した