二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂と】銀魂単体で黒月編スタート【コラボ】第一弾表紙絵up ( No.25 )
- 日時: 2013/02/05 11:32
- 名前: 万事屋シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
その五
「黒月様」
月の光で照らされた部屋の一角に一人の男がひざまずいた。
もう一人の男は窓際に座り、酒をちびちびと飲んでは月を楽しんでいた。
「きたか……隆重……」
しわがれた声が部屋に響いた。
殺し屋の隆重は頭を垂れたまま、銀時を殺し損ねたことを報告した。
黒月の眉はピクッと動く。
「ほう、隆重が失敗するとはな」
「初めて殺るような人種でしたので」
黒月はだいぶ怒りを押し殺してるような声音だが、隆重は笑いを押し殺してるような声音だった。
黒月はそれに気づき、立ち上がった。
「何がおかしい?」
「血が騒ぐのです」
「なぜだ?」
「私の血は私自身よりも、敏感なレーダーでして。私と同じぐらい強い者、あるいはもっと強い者にはこのように血が騒ぐのです。このような感覚はご無沙汰なもんで……嬉しくなった次第です」
黒月は隆重のすぐそばまで歩み寄ると、隆重は頭を上げていた。
顔は黒い布で覆ってるが、片目だけが見えた。
隆重が説明したとおり全てを物語っている目だが、それだけではなく楽しげな殺意にあふれていた。
「お前と同じくらい強いというのであれば……この仕事は少し難しいかね?」
「今までにした仕事と比べて難易度は上がります」
「ならば、その万事屋を殺せないのではないか?」
とんでもありません、と隆重は首を振った。
「必ず息の根を止めますよ」
黒い布に顔は覆われてるが、よほどこの血が騒ぐのかニヤニヤしてるのが瞬時にわかる。
「では、次回は必ず息の根をとめ、あの書類を奪い返すのだ。良いな?」
「御意」
隆重は忍者のごとく音もなく消え去った。
黒月は窓際に置きっぱなしになっていた残りの酒を飲み欲し、部屋を出た。
廊下を渡り、薄暗い中鉄の戸をあけ中に入る。
鉄製エレベーターが動きだし、下に降りてゆく。
そして一分たったところで、鉄の戸はゆっくりと開いた。
「黒月様。異常はありません」
「うむ」
二人の番人がいつものように報告をして、黒月は二人の間を抜けて鉄格子の前で止まった。
「雪よ」
鉄格子の内側に、姫がいたが、もともと白い肌に更に不健康な青白さが加わったせいで、ひどく不気味だった。
名前を呼ばれ、雪はゆっくりこちらに振り向いた。
酷い仕打ちをされても、気高く自分を見失っていない強い意志のある目はこの薄暗い檻から黒月をまっすぐ見つめた。
「隆重はお前の頼んだ万事屋とやらに会って、ひどく血が騒ぐと言っておった。万事屋が殺されるのも時間の問題だろう」
しばらく姫は答えなかったが、それはあえてしたことだと黒月は思った。
姫は口を開いた。
「いいえ。あの方々はそう易々と殺されるような方達ではありません」
「お前のその根拠のない自信はどこからくるのか不思議だな」
黒月は見下したような笑いをした。黒月はどうしてもこの雪から感じる内側の強さを弱めたかった。
しかし、一行に弱まる気配はなくむしろなじればなじるほど強くなるような気がした。
「私はあの娘の言葉を信じているからです。万事屋さんなら必ず、あなたの陰謀を阻止するでしょう」
「いい加減にしろ!私のこの計画は誰にも邪魔させやしない!万事屋は必ず消される!」
しびれをきらし、黒月は怒鳴ったが雪はびくともしなかった。
ただ真っ直ぐな瞳で黒月を見据えていた。
「あなたは……必ず、この間違いに気づきます。あなたは間違っています」
「ほざけ!もう幕府のいいようにはさせん!私の気持ちがお前にわかるか!」
「わかりたくもないです」
黒月は言葉に詰まった。
一つ一つの言葉に信念を貫いている姫に何かプレッシャーを感じ、言葉を返せなかった。
そして酷い形相で睨んでから、鉄のエレベーターに乗り込み最上階までのぼった。
最上階の扉があくやいなや、女の声が聞こえた。
「その顔じゃ、不安になったようだねぇ」
「風月か」
暗闇から月の光が当たるところまで、風月と呼ばれる女は出てきた。
夕焼けの空のように真っ赤な髪に、滑らかな真っ白い肌、抜群なスタイルに腰には二本の刀が差してあった。
「どうする?隆重を信用するのかい?それとも、私達を信用するかい?」
風月は前に進む黒月の後ろについてゆき、ニヤニヤしながら言った。
「風月」
「何だい?」
「隆重がへましそうになったら……殺せ」
風月は喜びの叫びを短くあげて答えた。
「御意」
