二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂と】銀魂単体で黒月編スタート【コラボ】第一弾表紙絵up ( No.26 )
- 日時: 2013/02/07 17:15
- 名前: 万事屋シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
- プロフ: なんかノリで作りました←
まさかの本編ほったらかしで、こんなの作りましたー←
約束アルヨ
「ん……ぐらちゃん……神楽ちゃん!」
名前を呼ばれ、神楽はハッと目を覚ました。
声の主は姉御と呼んで慕っているお妙だった。
お妙は呆れた顔で神楽の顔を覗き込んでいた。
神楽は大きな欠伸をして、首を回した。そしてふと気づく。
「姉御、私なんで喪服着てるアルか?」
「神楽ちゃん、忘れたの……?」
お妙は悲しげな表情を浮かべた。
だが、神楽にはその意味がわからず、必死に思い出そうとするがわからなかった。
「姉御も喪服アルね。誰のお葬式アルか?新八も銀ちゃんもいないネ」
「その銀さんのお葬式よ」
お妙の目には涙をいっぱいに浮かべて、こらえてるような顔だった。
神楽は思わず笑ってしまった。
「姉御〜!銀ちゃんのお葬式とか冗談もキツいアル!ギャハハハハ!」
神楽は立ち上がった。
よく見れば奥に遺影と棺桶があるのが見えた。遺影は光で反射してよく見えない。
神楽はニヤニヤしながらその棺桶に近づいた。
「銀ちゃんはどんなにしても死なないたまネ」
「神楽ちゃんっ」
お妙が呼び止めるのも聞かず、神楽は歩みをやめなかった。
「みんなで私をハメようとしても、無駄アルヨ!」
神楽はおなかをおさえながら、口元をヒクヒクさせながらどんどん棺桶に近づいた。
「その棺桶から銀ちゃんが出てきて『ドッキリ大成功!』みたいに言うんでしょ?銀ちゃ———」
棺桶にはまだふたがされていなくて、顔がしっかり見れた。
まぎれもなく銀時の顔だった。
神楽はピタッと足を止めた。
神楽は心臓を握りつぶされそうなそんな感覚になった。
そして、また笑い出した。
「手が込んでるアルな!銀ちゃん〜、でも私は騙されないアルよ〜。ちゃんとメイクして血の気が本当にないみたいアルね!ほんと、銀ちゃん……冗談も……ほどほどにして……ヨ……」
神楽は口元に笑みを浮かべたまま目から涙をボロボロ流した。
唇や頬には血の気がなく、胸元に綺麗に手を揃えて、一見本当に寝ているようだった。
棺桶のふちに両手をおいて、床にひざをついて神楽は銀時の死に顔をジッと見つめた。
手の甲に涙が落ちてきて、また流れて行った。
「銀ちゃん……」
神楽は立ち上がって、盛大に銀時を睨み付けた。
「銀ちゃんの馬鹿!阿呆!聞こえてんなら返事しろよコノヤロー!何のんきに寝てるアルか!起きやがれ!銀ちゃ———」
「神楽ちゃん!」
両腕をお妙に押さえつけられて、神楽は身動きがとれなくなった。
そして頬にたくさんの涙が流れた。鼻水も沢山流れた。
しばらくしてから葬式が始まった。
銀時は広く交友を持っていたせいか、沢山の人がこの葬式に現れた。
服部全蔵、さっちゃん、月詠、日輪、清太、吉原の女たち、真選組、柳生家、ヅラ、エリザベス———。
びっくりすることに、誰から聞いてきたのか頭を輝かせながら海坊主もきていて、坂本辰馬と陸奥も来ていた。
今まで一回しか会ったことがない人も、目に涙を浮かべてやってきた。
家族兼友人代表でお登勢がマイクを持ち、葬式は執り行われた。
いたるところから涙ぐむ声が聞こえ、とくにさっちゃんのところはすごかった。
お登勢はマイクをもって、涙など微塵もせず挨拶をした。
「えー……銀時も自分の葬式にこれだけ人が来てくれるとはビックリしてると思います。えぇ、銀時の死因は不慮の事故でして。ジャンプを買いに原チャリで向かったところ、トラックにはねられて空中ではずれたヘルメットが着地した銀時の頭に落ちて……亡くなったのですが。まぁ彼らしいといえば彼らしいのかもしれません……。銀時は———」
銀時との出会い、そして万事屋を開業してから、新八や神楽のことを順に話し始めたが、ほぼ愚痴に近かったが、誰もがこの愚痴は愛がこもっていると感じた。
プログラムがどんどん行われていく中、神楽はあることに気付いた。
涙をハンカチで上品にぬぐっている隣のお妙に神楽は軽く小突いた。
「新八は?」
「そういえば、新ちゃんいないわね……一緒に来たんだけど……」
二人でキョロキョロ会場を見渡しが、新八はいなかった。
「私探してくるネ」
「神楽ちゃん、まだ終わって———」
「万事屋が揃わないと、嫌アル」
そして神楽は会場をこっそり抜け出して、新八がいそうな場所に行っては探した。
しかし、どこにも新八はいなかった。
走りすぎて咳が出て、呼吸が苦しくなる。
神楽は最後の望みをかけて、ある場所に向かった。
向かった場所は『万事屋銀ちゃん』の看板がかかげられた、万事屋の拠点である事務所だ。
引き戸を開けると、やはり靴はあった。
「新八———」
中に入ると、銀時がいつも座っていた椅子に新八は座っていた。
窓側を向いていて、神楽のほうをむこうともしなかった。
「新八、銀ちゃんを……銀ちゃんを送りだなきゃ駄目アルヨ」
新八のそばによると、新八の頬には乾いた涙のあとがたくさん残されていた。
きっと流れても流れても、拭わなかったのだろう。
それを見て、神楽も泣き出しそうになった。
その時新八は口を開いた。
「いつも銀さんは馬鹿なことしてたっけ」
神楽は何か言い返そうとしたが、声を出そうにも出した瞬間に泣き崩れそうになったのでこらえた。
新八は穏やかな顔で続けた。
「銀さんの瞳に宿る侍魂に惚れて、僕は万事屋に働くことを決心したけど、すぐに後悔した。未だに給料は未払い。足はくさかったし、イチゴ牛乳をこれでもかって飲んでて見ててちょっと気持ち悪くなることもあった。甘いものに目がなくて、あの侍魂は見間違いだったのだろうかと思ったら、本物の侍になって、僕や神楽ちゃんや守るべきの者のためになるとものすごく強くなって……」
新八の穏やかな顔は崩れていった。
目から涙がこぼれ出して、頬をすごい勢いでつたっていった。
「銀さんは常に万事屋にいた。銀さんは常に僕と神楽ちゃんを大切に想ってくれた。そして銀さんは常に型破りな人だった。きっと、普通に葬式に出て見送るのもいいのかもしれないけど、全てがつまってるこの場所で僕は銀さんを見送りたい。僕なりの仕方で銀さんを見送りたい……」
新八は立ち上がって、窓に向かって涙と鼻水をまき散らしながら叫んだ。
「安らかに眠れよバカヤロー!!」
そして新八と神楽はバカヤローコノヤローと言いながら、お互いを慰めあうように泣き崩れた。
