二次創作小説(紙ほか)
- Re: 【銀魂と】本編ほったらかしで短編up【コラボ】 ( No.33 )
- 日時: 2013/02/18 21:30
- 名前: 万事屋シャーリー ◆CwIDAY6e/I (ID: YxL1EeSq)
その六
意識が戻っていくのを感じ、まぶたをゆっくり開いた。
汚らしい天井、薄暗い部屋。
規則正しいピッピッという電子音。
「……生きてる……?」
新八の意識が徐々にはっきりすると、何者かに襲われ切られた傷がじんじんと痛み出した。
頭をゆっくりあげて、自分の体を見ると驚くことに包帯が巻かれてあった。
そして左腕には赤いチューブが取り付けられていて、チューブの先をたどるとどうやら輸血をしていることがわかった。
ピッピッという電子音の正体は心電図だった。
生きてる。僕は、生きてる!!
新八はゆっくりと上半身を起こしてみた。
思ったよりも、傷口は痛まなかった。
部屋をグルリと見回すと、隣のベッドにお妙が寝ていることに気付いた。
「姉上!!」
「動くな」
お妙のもとに駆け寄ろうとしたときに、声が聞こえたと共に傷口が激しく痛んだ。
「うぅ……」
あまりの痛さにうめいていると、新八の視界に誰かがやってきた。
この部屋の入り口から徐々に近づいてきて、新八は見上げようとするとその人物からメガネを渡された。
メガネを受け取り、かけてからその人物の顔を見た。
薄暗くてよく見えないが、男であることは間違いない。
「無理に動くと傷が開く。せっかくふさいだ傷をまた開くと治りが遅くなるぞ」
「あなたは……誰だ……?姉上は……」
男はフフッと笑ってから答えた。
「君の姉さんは君よりも相当酷い傷だったが、死にゃあせん。ま、倒れたままにされていたら確実にお前も姉上も死んでいたがな……」
「助けてくれたんですか……」
「おうよ」
男は楽しげに答えると、新八から離れてカーテンを開けた。
月明かりが部屋に差し込み、ものすごい暗闇に目が慣れていたせいで新八は目を少し細めた。
カーテンを開けた時、男の顔がしっかりと見えた瞬間だった。
意外にも、まだ若く男前な顔だちをしている。
新八とそんなに年は離れてないように見えて、新八は驚いた。
男は窓から数歩離れておいてある棚の上にあるお盆のようなものを持って、新八のところに持ってきた。
「まだ温かいから、食べるといい。傷が早く治るぞ」
お盆に小さめの丼におかゆが入っていた。
新八は丼のとなりにあったスプーンで食べ始めた。
最初は気が進まなかったが、一口食べると、胃が空腹を思い出したのかどんどん手は進んだ。
そして一気に平らげてしまった。
男は満足そうに笑って、お盆ごと下げた。
「あの、あなたは誰ですか?」
新八は再度質問した。
ただ、さっきより丁寧に。
男はおぉっと、言い忘れたと言いたげに声を上げた。
「俺の名前は……重盛だ。助け屋の重盛。よろしく」
男はそう名乗ると、新八が寝ていたベッドの近くにあった今にも壊れそうなボロい椅子を引き寄せて、腰を下ろした。
助け屋。
新八は聞いたことがなかった。
つまり……言葉通りの意味か?
そのとおりだよ、と重盛は新八の心を読み取ったかのように、クックッと笑いながら答えた。
「言葉通りの意味さ。殺し屋は頼まれれば人を殺すだろう?俺は頼まれれば人を助けるっていうのを仕事としている。言い換えれば、出張をよくする医者……ってとこだろうな」
出張をよくする医者、という言葉を重盛はもう一度繰り返して頷いた。
どうやら咄嗟に思いついた言葉だが、結構気に入ったようだ。
「じゃあ、僕と姉上は誰かに依頼されて助けたってことですか?」
「三分の一あってるってとこだ」
「さ、三分の一って……じゃあ残りの三分の二は何なんですか?」
重盛は新八に指を三本見せて言った。
「一つ、まず俺は依頼人からお前を助けるようにとは依頼されていない。その依頼人からは別の人物を助けるように依頼されている。二つ、お前とお前の姉を殺そうとした殺し屋のターゲットが、俺の依頼された助ける人物と同じ事。三つ……」
ここで重盛は手を下ろした。
「個人的に恨みがあって、その殺し屋を追ってた。助け屋になったのも、コイツを追うためなのさ」
「その殺し屋って……何者ですか?」
「殺し屋、隆重。俺の兄貴さ」
重盛は力なく笑った。
「まぁつっても、血はつながってはいないがね……」
大分前の話だ。
気が付くと、俺は身寄りのない子供だった。
多分、産まれてすぐ俺は捨てられたんだと思う。
なぜ、生きてこれたかというと、多分良心がある人間に食べ物などをめぐんでもらったおかげだろう。
だけど、俺はずっと一人ぼっちだった。
だが、ある雨の日、傘をさした女が近寄ってきて俺の手を引いて家まで連れて行ってくれた。
俺はその日からこの家の子供になったんだ。
優しく美人な母に名前をつけてもらい、俺と同じ身寄りのなかったがこの優しい人間にひきとってもらった隆重は俺を実の弟のようにかわいがってくれた。
時々、母さんと喧嘩して泣いてた頃によく隆重に泣くなと撫でてくれた。
母さんには旦那がいたが、この旦那がろくでもない奴でね。
毎日毎日飲んだくれの生活で、事ある毎に母さん、隆重、俺を蹴るなり殴るなり怒鳴り散らした。
母さんはそれでも笑って、俺と隆重を慰めて、隆重も俺を慰めてくれた。
だが、あるとき、旦那は暴行をつづけた挙句母さんを死なせてしまった。
隆重は憎しみの爆弾を爆発させ、台所から包丁を持ってきて旦那に刺して殺した。
我に返った時は自分の手に旦那の血が大量についていた。
その時だった。隆重は旦那の姿に変わった。一瞬だったが。
隆重は頭が良かったから、すぐに死体を隠し俺に言った。
『心配するな。俺がこの能力を活かして、金を稼ぐからな』
