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ーー人影アルカディア13

「取り合えずは良しとするか。」
キドはふうっと深呼吸をして椅子に座った。「どうぞ。」とトーヤがお茶を出す。「有難う。」
「でさ、スズミ。」
シンタローが気になったことを一つ質問としてスズミにぶつける。スズミはシンタローを見つめた。

「お前、何で知ってんだ?」

上からスズミを見下ろす。その目は初めから目付きが悪かったのか睨んでいるように見えた。
スズミはビクッとして少し目を見開いた。
「え・・・?」
「そう言えば、女の子が居たよ。」
そこでカノが人差し指を立てて言った。「女の子・・・ッスか?」
「私も見た。白い髪の子。確か「彼が壊れても知れない」って言っていたよ。」
レイがカップを片手に言った。それを聞いたとき、恐ろしいものを見たかのようにスズミは、肩を震わせ目を見開いた。
「そんなっ・・・、“アズサ”は一体!?」
「アズサ・・・?」
斑がシンタローの後ろから顔を出した。目の下の隈が斑の表情を曇らせているようだった。
「あ・・・。」
しまった。と言わんばかりに口を両手で覆う。だが、それを引き剥がしてシンタローはしゃがみ込み言った。

「なあ、全部言ってみてくれないか?



お前らの全部を、包み隠さずに。」








それはそれは、昔の話だった。








「?」





「涼?」



風が凪いだ。



この話を始めるように。



[瞳ノ見エナイ君ヘ]