二次創作小説(紙ほか)
- 第32話 ( No.102 )
- 日時: 2013/03/14 20:08
- 名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)
「…じゃあ俺達は第二グラウンドで練習するからな」
サッカー棟に帰ってきた五人が始めに見たのは、神童と三国の二人と対立しているかのように立っている他の部員達だった
そして部員達は海音達を避けて外にある第二グラウンドに向かっていった
「…あれ、霧野先輩どうしたんですか?その髪型…」
するとサッカー棟を出ていこうとしていた霧野は海音に言われ立ち止まる 霧野はいつもと違い髪を後ろで一つにまとめていた
「…ちょっとな…」
詳しく言う気は無いのか、霧野はそれだけを言って第二グラウンドに行ってしまった
部員の大半が消えたサロンで神童は口を開いた
「…仕方ない、俺達だけでも練習しよう」
フィフスセクターに逆らえばサッカー出来なくなるかもしれない その事を考えると、逆らうことを強制は出来ない
するとそこに円堂がやって来た 話を聞いていたのか、部員の大半が居なくても特に驚きはしなかった
そういえばずっと疑問に思っていたことがあった 円堂が初めて雷門に表れてから、ずっと聞きたいと思っていたことだったが、ホーリーロードの事で手一杯でそんな余裕など無く気が付けば忘れていたのだ
「あの…円堂監督はどうやってフィフスセクターの監督と入れ違いになったんですか?」
海音の問いにサロンの人間全員の視線が集まるのを感じる
「ああ…そういえば話してなかったな」
円堂は海音を見た 周りの部員も
「俺には同じくフィフスセクターに逆らおうとしている仲間が居るんだ そいつにフィフスセクターのネットワークに介入してもらって入れ違いにさせてもらった」
「…ですが、フィフスセクターのネットワーク警備網は日本トップクラスと聞きました」
三国は円堂を見つめた すると円堂も少しだけ表情を変えた
「そうなんだ…けど実は、突然俺達にメールが送られてきたんだ」
「メール?」
「ああ、そのメールにはフィフスセクターの監督に関しての警備網解除コードとルートが記されていて、それをもとに俺は入れ違った」
警備が厳しいフィフスセクターからそんな機密情報を円堂に送れたと言うことは、恐らくフィフスセクターのメンバーの可能性が高い
「…誰からのメールだったんですか?」
円堂に聞き返した天馬は再び円堂に訊ねる
「一応名前には『イオ』と書かれていた…そのあと仲間がメールの差出人を特定しようとしたけど、出来なかった」
「イオ…」
神童は呟く イオとは太陽系惑星最大の木星の衛星の名前だが、恐らくこれは偽名だ きっと偽名を使わないとフィフスセクターにスパイ紛いの事がバレてしまうと考えたのだろう
「でも良いじゃないですか!フィフスセクターにもボク達の味方がいたんだから!」
海音は明るく言った だがすぐにハッとあることに気づいた
「…もしかして、隼総の仲間かな…」
「隼総って…あの天河原のシードか」
神童は海音を見た
『雪雨、いずれ…フィフスセクターは崩壊する その中心となるのは…お前たち雷門イレブンだ』
そんな言葉を残し、どこかに連れていかれてしまった隼総 もしかしたらメールを出した相手の仲間かもしくは同一人物かもしれないと海音は思った
「…一つだけ言えることは、フィフスセクターで内部崩壊を企てている者が居ると言うことだ」
三国は腕を組みながら言った
「どうしてだかはわからないが…」
「………」
内部崩壊は極めて危険な道だ そんな手を使ってまでフィフスセクターを倒したい理由がよくわからない
サッカーを取り戻すためか、あるいは…
「フィフスセクターを恨んでいるのかも」
信助は言った 確かにフィフスセクターを恨んでいる者なら、内部崩壊を企ててもおかしくない
だがそこまでフィフスセクターを恨むものが居るのかと海音は不思議に思った
——————
少年はパソコンを高速で打ち付け、文章を作り上げていく 部屋を暗くしているのでパソコンの明かりだけが部屋を薄暗くしていた
今つくっているのは、極秘事項 かもしれない文章 フィフスセクターについての情報だ
計画は順調に進んでいる 隼総の活躍によって、新たにあのGKもフィフス反乱派に引き込む事が出来た GKが仲間なら上出来だ
「…出来た」
出来上がったメールの文章を見て少年は呟いた すぐさまそれを送信すると、数秒でメールはパソコンから旅立っていった
自分が送ったあの情報のお陰で、円堂守を雷門の監督にすげ替える事が出来た 結果としてフィフスセクターは敵を多くしている…このまま急展開でも無ければ、フィフスセクターは崩壊する
アイツは生きるすべてを失った
俺は何も出来なかった だから…
「お前の仇は取るさ……聖歌」
たとえこの身を滅ぼそうとも、フィフスセクターは俺が潰す これは誓いだ
その為に犠牲を払ったのだから
もう後戻りはできない
怒りの余り拳を握り締め、両手から血が滴ろうと気にも止めない
復讐の灯火が 燃え始めた