二次創作小説(紙ほか)
- 第44話 ( No.133 )
- 日時: 2013/03/24 19:03
- 名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)
「剣城!」
自分のサッカーをする そう決めた倉間からパスを受け、剣城はシードのGKが守るゴール前にやって来る
「…いくよ!」
海音は剣城の方に左手を向け、化身封じを解除した 途端に塞がりかけていた傷から血が滲み、鋭い痛みが走ったが気にしない
まるで見えない枷が外れたような気がした 剣城はオーラが出せるようになり、再び化身を形成する
「剣聖ランスロット!」
GKも同じくオーラを形成した 機械の身体を持ち、両肩に半円ずつの盾を構えた化身だった
「機械兵ガレウス!」
…やはりな、GKは磯崎の方を見た
あいつが…こいつらを…
剣城は手を上げる 剣城の周りのフィールドは景色が変わり、ボールが漆黒と金色に輝きながら宙に浮いた
そしてそれをランスロットの剣の一突きと共にシュートした
「ロストエンジェル!」
剣城の思いがそのまま形になったようなシュートだった
それに対抗すべく、GKは化身を操作して化身の両肩の半円を前で二つくっ付け、巨大な円の盾へと変えた
「ガーディアンシールド!」
ランスロットの剣とガレウスの盾がぶつかり合い、火花が飛び散った
これら二つの力には一欠片の緩みも見られない
それでもわずかに、剣城が勝っていた
ガレウスが二つに裂かれオーラに戻り消える
「うわああ!!」
GKごとボールはゴールに突き刺さる 得点を知らせるホイッスルが鳴り響いた
同時に試合が終了するホイッスルも鳴った ギャラリーからは歓声が上がる
「やった!勝てたよ!!」
「うわあっ!?」
突然海音は天馬と信助に飛びつかれ、地面に座り込む 余りにも唐突すぎた
「…勝ったな!」
「でも、もう後戻りは出来ないっしょ!」
倉間や浜野、雷門イレブンの皆もそのような話をしていた チームが一丸となり、反抗を決意した、と言ったところか
するとそこに夜桜がやって来た 海音が夜桜を見上げると、夜桜はこちらに手を差し出す
「…いい試合だったな海音」
「……そっちもね」
海音は苦笑しながら夜桜の手を掴み立ち上がる
そして海音は聞きたかった事を訪ねた
「夜桜教えて、どうしてフィフスセクターに?」
「ああ、…俺は…」
夜桜は最後まで言えなかった
突然、夜桜の丁度首の後ろに強力なシュートが放たれた
「がっ…!?」
「夜桜!?」
気を失い、力を無くした夜桜の身体を海音は抱き抱えた 相変わらず低い背だった
見ると、どうやらシュートしたのは磯崎のようだ
「磯崎!?」
「………」
海音は少し考え、そして言った
「…磯崎、君なんでしょ?『イオ』って!」
「え…!?」
すると円堂は驚いて海音を見つめた さらに磯崎を見てみるが、あのメールの内容と一致しなかった
「海音…どういうことだ?」
神童は海音に訊ねる すると海音はポケットから紙を出した 『revolt』と書かれてある
「revoltの意味は『反乱』…それに君はボクが化身を使ったとき…」
『…後は任せた』
確かにそう海音に言っていた
磯崎は途端に怪しく笑い始めた 意味もわからずにいると磯崎は海音を見た
「…そうさ、俺が『イオ』だ…正確に言えばお前らを反乱軍になるように企てたのも俺さ」
「……え?」
始め海音は意味がよくわからなかった
「…やはりな」
口を開いたのは、同じシードであるGKだった
「雷門に情報を流し、フィフス内で秘かに起こっていたネットワークの混乱…、フィフスの内部崩壊を企てたグループのリーダーがお前か……磯崎!」
「………」
磯崎の反応を見るにどうやら図星のようだった
頭が混乱する 何故磯崎が反乱を?何故内部崩壊を?その答えはすぐに分かった
「…フィフスは崩壊させるよ……聖歌の為に」
「え?」
ギャラリーで見ていた聖歌は思わず声を挙げた まさか…と聖歌は青ざめる
「あいつは二度とサッカー出来ない!何が管理だ秩序だ!フィフスってのはただ皆からサッカーを奪って満足してるだけだ!」
「……!」
その言葉に剣城は少しだけ反応した 磯崎がこのように考えていたなんて思っても見なかった
「言いたいことはそれだけか」
また別の声がした 万能坂の監督らしき人物だった
「…篠山、お前は磯崎の行為を見抜いた事でシードの続行権を認める…光良は…」
「こいつは関係ないぜ、…ただ利用してたにすぎない」
磯崎は言った まさか…と海音と天馬は顔を見合わせた
「光良の処分については後に知らせよう、…磯崎」
監督は言うと、途端にフィフスセクターのマークが入った服を着た男たちが入ってきた
「お前は……エンドレス・プリズンへと連行する」
「エンドレス・プリズン…!」
剣城の表情が変わる 海音は慌てて剣城を見た 剣城には冷や汗が出ている
「剣城、エンドレス・プリズンって?」
「…契約違反や犯罪を犯したシードが入る少年院の名前さ」
剣城は答えた
「俺の知る限り……そこに入って生きて出られた者はいない」
エンドレス・プリズン…意味は永遠の監獄
入れば二度と出られないとでも言いたいのか
海音はあることを思い出し、連れていかれる磯崎に思いきり叫んだ
「…磯崎!君がいなくなったら…聖歌はどうなるの!?」
その言葉に、磯崎は足が止まりそうになる だがすぐに言葉を紡いだ
「あいつなら一人でやっていける…料理は教えたし生活費も置いてきたしな」
「そんなことないよ!」
ギャラリーから聖歌の叫びが聞こえた 海音と天馬がギャラリーを見ると、聖歌が泣きながら、車イスから乗り出しながら叫んでいた
「ばか!ばか兄貴!私がいつそんなこと頼んだのよ!!誰が復讐しろって言ったの!?なんで!!」
「聖歌…」
ギャラリーからでも聖歌の気持ちが痛いほど伝わってくる それは天馬も同じようだ
「う…?」
すると夜桜が目を覚ました 途端に海音から離れ、連れていかれる磯崎を見つけた
「いっ…!」
だが海音は夜桜が叫ぶ前に夜桜の口を塞ぎ無理矢理黙らせた
「夜桜ダメだよ!磯崎が君だけ逃がしてくれたのに…!」
さっきボールで気絶させたのはきっと、夜桜に余計なことを言わせない為だろう
仲間を見捨てて自分だけ逃げるなんてこと、夜桜は絶対にしない その事がわかっていたから…
磯崎はギャラリーの下へと消えていき見えなくなった 途端に夜桜は地面に膝を突き、
「ばか野郎…何で…」
そう呟いた
「霧野…立てるか?」
「ああ…なんとか」
神童は心配そうにベンチから立とうとする霧野に呼び掛けた 幸い怪我はそこまで深くはないようで、手を借りなくても立つことが出来る
すると向こうから剣城が歩いてくるのが見えた 無表情だが悲しそうだと霧野には感じた
「剣城…うわっ!」
「……」
剣城は思いきり霧野の右肩にぶつかり、霧野は地面に座り込む 剣城は謝らずにそのまま歩いていった
「…謝らないのか!?」
神童は剣城に鋭くいい放つが、それをも無視して歩いていった
「いてて… …?」
すると霧野はいつの間にか右手に何か握っていたのに気づいた 手を広げると、それは保健室で剣城に貸したゴムだった
「…剣城…」
急いで霧野は剣城を振り返るが、もう剣城はどこにも居なかった