二次創作小説(紙ほか)
- 第7話 ( No.14 )
- 日時: 2013/01/20 08:23
- 名前: 時橋 翔也 (ID: jZi4txmM)
海音のクラスでは休み時間、絶え間なく話し声が聞こえ、幾つものグループが出来ていた 海音は周りを見るが孤立している人は殆どいない 自分と剣城を除いて
何人かは海音に話しかけてきた クラスの感じとしてはいじめが今も未来も無さそうな平和で仲の良いクラス しかし剣城だけ孤立してしまうのは、彼の人を寄せ付けない雰囲気と見た目、それと昨日の行いが災いしているのだろう
剣城は昨日今日とずっと携帯をいじっている 海音も特に休み時間だからとすることもなく天馬から借りた本を読んでいた
サッカーとホラーを組み合わせたライトノベル サッカー大好きな天馬がこんなジャンルが好きなのは正直驚いたが、まあ面白いギャップということで…
「…お前、サッカー部に入るのか?」
すると剣城が海音に話しかける
突然ではあったが、海音は即答した
「うん、入るよ」
「……」
すると嘲り笑うかのような笑みを剣城は浮かべる
「どうせ入っても雷門はフィフスセクターに支配された…お前の求めるサッカーなんてどこにもないさ」
「そうかな?」
海音は言った こういった…どんなこと言われようとも無邪気な海音が剣城は気に入らない
剣城は海音を思いきり睨んだ
「いつかお前をぶっ潰す…必ずな」
「まあ頑張って!」
海音は笑顔で言った
何故だ…何故笑っていられる?何故あれほど痛め付けられたのに俺に悪意を持たない!? 剣城には理解不能だった
——————
学校が終わり、放課後になる
海音はすぐにサッカー棟に向かった 今日は入部テストがある …合格できるかな
サッカー棟にはすでにサッカー部の皆が集まっていた まだ新入生で海音しか来ていない
「こんにちは!入部テストを受けに来ました!」
海音が言うと、視線が海音に集まる
少し痛いのは何故だろう
「お前は…雪雨」
霧野は言った
海音はサロンの中央、サッカー部員達の近くにやって来る しかし重い雰囲気で、まだ昨日の部員の半数ほどしか来ていない
「あの…他の先輩達はまだ来ていないんですか?」
海音は思いきって訊ねる
三年GKの三国は海音を見て重々しく答えた
「…昨日、剣城に痛め付けられたせいか、セカンド全員とファーストの二人がさっき退部したんだ」
退部?先輩達が? 周りの空気がさらに重くなったのを感じると、本当らしい 今更ながら嘘をつくとも思えない
「ちょっと待っててね、毎年キャプテンと監督いないと入部テストできないっちゅーか…」
浜野は海音に言った
よく見たら神童も居なかった 忘れてた
「…まさかキャプテンも退部…」
「いや、あいつは保健室にいる 昨日のダメージがひどくて保健室で様子を見ることにしたんだ」
倉間は腕を組みながら言った
そんなに酷いのか…
「しかしもうすぐ入部テストだ…今年は何人集まるかは分からないが、神童と監督を連れてこないと始められない」
三国は言った 周りもそれに頷く
「けどどうすんだ?大人数が退部したって伝えたら、あいつ思いきり落ち込むぞ…今でも落ち込んでるけどさ」
南沢は三国に言った 確かに今の神童に退部の事を伝えるのは苛酷かもしれない
「…仕方ない、俺は職員室に監督と音無先生呼びに行ってくる…霧野と雪雨は保健室へ神童を呼びに行ってくれるか?」
「わかりました」
霧野は三国に頷く そして海音を見た
「行くぞ雪雨」
「はい…」
キャプテン…大丈夫かな
——————
二人はサッカー棟を出た
霧野は神童を本当に心配しているらしく、海音と二人になってもかなり暗い
「…霧野先輩ってキャプテンと仲が良いんですか?」
海音は訊ねる ああ、と霧野は頷いた
「幼馴染みだよ、昔からの」
「幼馴染み…」
だとしたら、神童を部員の中で一番心配していると行っても過言ではないだろう
「俺さ、小学からずっとアイツと一緒にいるけど…あんな怖い顔したのは始めてみたんだ」
化身を出したときの神童の表情の事だろう
我を忘れ、暴走寸前だった神童の表情は恐ろしいほど気迫を感じたのだ
「…ボクも、もしキャプテンがあのまま暴走したら、止めようと思いました」
海音も言った あまり使いたくはない手だが…
「止めようと…?」
少し訝しげに霧野は海音を見た どういうことだ?力づくで止めようとでも? 確かに海音の力は凄いと思うが…
二人は保健室のドアをノックする ドアを開くと、ベッドの上で座って俯いている神童がいた
「神童…」
「霧野に…雪雨…」
二人を見て神童は言った キャプテンとして皆を守れなかった責任からか、霧野以上に暗かった
海音は神童を見つめた
「キャプテン、今日は入部テストがあります…テストをお願いします」
「………」
神童は海音を見つめ、そして小さく言った
「雪雨…もう、サッカー部には関わるな」
「…え?」
「いや、何でもない…テストの準備をしよう」
神童は立ち上がる
そして先にすたすたと保健室を出ていってしまった