二次創作小説(紙ほか)
- 第1話 ( No.2 )
- 日時: 2013/01/15 17:07
- 名前: 時橋 翔也 (ID: TaF97fNV)
二人は辺りを見回す
きれいな校舎で、グラウンドにはサッカーゴールが設置されていた
天馬はよほど入学を楽しみにしていたのか、目を輝かせている
天馬は海音を見た
「そういえば海音ってポジションなに?」
「FWだよ、天馬は?」
「俺…まだ決めてないんだ」
「…じゃあMFとかは?」
「うーん、考えとく」
MFなら攻めたり守ったりできるから、迷うならMFのほうがいいと言うのが海音の考えだ
…昔一緒にいた人に言われたことだけどね
「あ!海音あれ!」
天馬が指差した方には、古い汚れた小屋が見えた
二人が近づくと、サッカー部と書かれた看板が貼られている
「これがサッカー部の部室かな?」
「でも…中には誰も居ないよ?」
海音は天馬を見た
「…それは旧部室、今は使われてないわ」
声がして二人は同時に振り返る
そこには青いセミロングの髪に赤い眼鏡を額にかけた若い女性がいた
女性は二人を見る
「二人とも…新入生?」
「はい!そうです!」
天馬は言った
女性は海音を見つめる
「君は…もしかしてジャージの許可を貰った新入生?」
「はい!雪雨海音といいます」
海音は言った
「俺は松風天馬です…あの、サッカー部ってどこでやってるんですか?」
「入部希望?だったら案内するわ…私はサッカー部顧問の音無春菜 よろしくね」
「よろしくお願いします!音無先生!」
海音は言った
二人は音無についていく
校舎の横を通り、校舎の後ろにある大きな建物の前にやって来た
イナズママークが描いてある
「ここが…サッカー部の使うサッカー棟よ」
「…ええ!?これ全部ですか!?」
音無に天馬は声を上げる
海音もサッカー棟と呼ばれた建物を見た
サッカー部だけの建物にしては余りにも大きい…
中に入ると、始めにサロンがあった
そこから様々な部屋に通じているらしい
音無は向こうのセカンドと書かれた部室を指差した
「雷門は数が多いから二チームに別れていて、あれがセカンドチームの部室 一年生は皆セカンドから始まって、練習してファーストに上がるの」
「へぇー…」
海音は声を上げる
次に音無はファーストと書かれた部室を指差した
「あれがファーストの部室 今のファーストの皆も苦労してファーストに上がったの…二人も頑張ってね」
「はい!」
天馬は頷いた
「天馬…ボクらもファーストに上がれるよう頑張ろうね!」
「もちろん!負けないよ!」
二人がそんな会話を交わした
その時
「……?」
海音は胸騒ぎがした
グラウンドで…何か起こってる?
「音無先生!!」
一人の男がサッカー棟に飛び込んでくる
見るからに教師のようだ
「どうしました?」
「大変です!!と…とにかく第二グラウンドに来てください!!」
男は言った
海音の嫌な予感が的中したようだ
音無は先生と一緒に走っていった
「天馬…ボクらも行こう」
「そうだね」
天馬は頷き、二人もその後を追った
——————
二人が向かった第二グラウンドにはあり得ない光景が広がっていた
グラウンドの至るところにユニフォームを着たサッカー部員達が倒れ、ボロボロに痛め付けられていた
土埃が舞い上がり、視界も悪い
「なんだよこれ…」
天馬は呟く
海音は土埃の中を目を凝らしてよく見てみる すると一人だけユニフォームを着ていない人影が見えた
藍色の髪をポニーテールにしたつり目の少年だ 改造された制服がよりいっそう不良さを掻き立てている
「ふっ…雷門サッカー部もこの程度か…」
少年は言った
すると音無が叫ぶ
「ちょっとあなた!!グラウンドは喧嘩する所じゃないのよ!?」
音無が言うと、少年はこちらを見た
「喧嘩?…俺は喧嘩なんてした覚えないですよ?」
嘲笑うかのように言った
「そうです…音無先生」
すると近くに倒れているキャプテンマークをつけた少年は言った
「そいつは…サッカーだけで…俺達を…」
「そんな…」
音無は言った
「お前…雷門サッカーになにか恨みでもあるのか!?」
近くのサッカー部員は言った
「恨み…特にないですが」
「なっ…じゃあ何故!」
すると少年は不敵に笑った
とたんに海音には違和感がつきまとう
「…?なんだろ…」
「サッカー部なんてくだらない物は…必要ないからな!!」
そう言うと、少年はサッカーボールをすくいあげ近くのゴミ箱に投げ入れた
正確なプレーだ
けど…
「ちょっとまって!ボクはサッカー部に入りたいんだ!!」
海音の言葉がその場に静寂を与える
少年は海音を見て、睨んだ
「あぁ?…テメェ誰だ」
「ボクは…海音、雪雨海音だよ」
海音は名乗る
「ボクさ…サッカーしたくて雷門に来たんだ…、サッカー部がないと困るよ…」
「ふん…知ったことか」
少年は言った
「サッカーなんてくだらねぇんだよ!!」
「くだらなくなんかない!!」
今度は天馬が叫んだ
怒りに満ちた声で
「俺は…サッカーが大好きなんだ!」
「…………」
少年は近くのボールをすくいあげ、そのまま天馬に蹴りつけた
「がはっ!」
「天馬!!」
海音は腹にボールを思いきり当てられた天馬に駆け寄る
天馬は腹を抑えてしゃがみこんだ
海音は少年を見る
「どうしてこんなことするんだよ!」
「そいつがうざいからさ!サッカーが好きだと…?何も知らないやつがサッカーを語るんじゃねぇ!」
少年は言った
今なら分かる ボクはこの人を止めないといけない…
「…知ってるさ、ボクらだってサッカーを…」