二次創作小説(紙ほか)
- 第11話 ( No.25 )
- 日時: 2013/01/23 19:14
- 名前: 時橋 翔也 (ID: xhJ6l4BS)
掃除当番が終わり、海音はサッカー棟に向かっていた 明日は栄都戦だ、練習を頑張ろう
…だがサッカー部員達はかなり乗り気ではないように見えた 理由はわからない
「………」
海音はサッカー棟の入り口の少し前で立ち止まる サッカー棟の入り口は自動ドアなので近づけば開いてしまう
まだ二三年と練習したことないから実力はよくわからない 試合を見たが黒の騎士団は強すぎてボロボロにされていたためアテにならない
…少し探りを入れるか 気になるし
そう思い、海音は目を閉じてゆっくりと意識を集中させる 『力』を使うので、海音は目を開くとつり目になり赤く光っていた
これは海音の『力』の一つだ 周りの者たちの気を探ることで強さや化身使いを特定できる あまり使ったことはない、というか使う必要が今までに無かったが
サッカー棟には皆揃っている…
全体的にバランス良く実力があり、ずば抜けている者は…南沢は周りより案外高い
だが天馬と信助が周りより弱い まあ一年生だしな
化身使いは神童だけ…指揮者の化身、でも覚醒していない… あれ、天馬もなんか出せそうだな
海音はもう一人、サッカー棟の外に化身使いを見つけた 剣士の姿をした化身…覚醒していてレベルも高い、どこにいる…?後ろ…?
目付きを一瞬で戻し、すごい早さで海音は後ろを振り返る そこには剣城が立っていた
「剣城…」
「………」
剣城はポケットに手を入れ、海音を見つめているが何も言わない
まずい… 『力』を見られただろうか
「…剣城どうし…」
「お前、何してた?」
剣城は海音の言葉を遮って訪ねた
気を探る『力』は軽い共鳴反応が出てしまう 普通の人なら気づかないが、化身使いなら少々の違和感に気づいてしまうのだ
剣城も何か違和感を感じていたはず…
「…少しサッカー棟を見てただけだよ」
一瞬考え、海音は半分嘘をついた
だが剣城はまだ疑ってる 当たり前か
「……ちょっと来い、話がある」
剣城は突然、海音にそう言った
話?海音が訪ねようとすると剣城は向こうへ歩き出してしまった 仕方なく海音も剣城についていった
——————
二人がやって来たのは人気がない校舎の裏側、よく不良が弱いものいじめに使う場所だ
まさか剣城はそんなことするはずも無いなと、海音はそんなこと気にも止めない
「…話ってなに?」
海音は振り返った剣城に訊ねる 剣城はじっと海音を見つめていた
「……昨日調べてわかったが、お前………
女子だったんだな」
「…………」
海音は剣城を見た そして頷く
「そうだよ、…ボクは女子だ 驚いた?」
「何故男子のふりをしている?」
海音の問いには答えず剣城は訊ねる
「別にふりなんてしてないよ?ただこの容姿だし…ジャージ着てるし話し方的にも気づかれないだけで…あ、でも久遠監督には気づかれてるみたいだけど」
相変わらず海音は笑顔だった
「…何故ジャージを着ている?」
「動きやすいし、スカートなんて似合わないかなーって思ったから」
「………」
剣城は続いて二つ目の質問をした
「お前……化身、使えるだろ?」
「……うん 使える」
海音は頷いた
「めったに使わないけどね…なんでわかったの?」
「化身のオーラを自在に扱えていたからな、すぐに察しがついた」
剣城は腕をくんだ やはり化身使いなだけあってそういうのはわかるのか…
そして剣城は最後の質問、最も疑問に思っていた事を訪ねてみた
「………雪雨海音、お前…一体何者なんだ?」
「何者?」
海音は聞き返した
「シードでも難しい化身を入学前から使え、さらにサッカーの実力も高い…ただ者には思えない」
剣城は淡々と続けた
化身使いはごく希少だ 思いや頑張り次第で化身使いは誰でもなれるが、そこにたどり着ける者は少ない
「そう言われても…ボクは昔から化身を使えたし…」
「昔から…だと?」
「うん、七年位前からかな」
剣城は目を見開いた あり得ない、化身を出せる年齢は若くても十歳からだと言われている
だが海音の顔を見る限り、嘘をついているようには思えない
本当に…何者なんだ?
「…あのさ、ボクは部活あるから、行ってもいい?」
「……好きにしろ」
訊ねる事が無くなった剣城はそっぽを向いた
海音は走り出そうとしたが、少し走ると止まって剣城を振り返った
「そうだ剣城…部活に来なよ、楽しいよ?」
「はあ?馴れ馴れしく練習なんか出来るか」
「えー…楽しいのに」
海音は言った
「…まあいいや、じゃあね」
海音はそう言って走っていった
…本当に、何者なのだろう