二次創作小説(紙ほか)
- 第12話 ( No.30 )
- 日時: 2013/01/24 20:11
- 名前: 時橋 翔也 (ID: 4n3MlAWB)
部活が終わった後も、海音は河川敷で自主練をしていた
河川敷にはサッカーゴールが二つ設置されているので、サッカーの特訓には最適だ
「ダイヤモンドショット!」
海音のシュートは誰もいないゴールネットに突き刺さる ネットには少しだけ氷が出来ていた
特に特訓した訳でもなく成り行きで覚えた技だが、海音にとってかなり重宝する技でもある
海音はボールを拾い、ゴール前に置くと変わった構え方になる
吹雪が吹き荒れる中、身体にスピンをかけながら思いきりシュートした
「エターナルブリザード!」
氷塊のようなシュートはゴールに突き刺さる これは昔の知り合いが使っていた技だった
明日は栄都戦、海音もスタメンに入っていた ベンチの信助の分まで頑張らないと
「レイン…頑張ろうね」
海音は自分の中にいるもう一人の住人にそう呼び掛けた
——————
次の日、試合当日
雷門イレブンは専用のキャラバンで栄都学園にやって来た 天馬と信助はかつてイナズマジャパンも乗せたことがあるというキャラバンに乗っただけでハイテンションだ
栄都学園は中高一貫校 レベルの高い大学への進学率も極めて高く、エリート学園として名が知れていた 校舎も雷門と負けないくらい立派だ
しかしそれでもあまり人気が無く社会的地位も低い学園だ 理由はサッカーが弱いから イナズマジャパンが世界一になってからサッカーが強い弱いでは生徒の数にとんでもない差が出てしまう だからこそ雷門は生徒数が全国トップレベルなのだ
だが最近は練習試合にも連勝していてサッカーの評判が上がってきていた 雷門イレブンがグラウンドに行くとギャラリーの歓声はすごかった
「すごい歓声だね…」
ギャラリーを見て天馬は言った
すでに皆はユニフォームに着替えていて、いつでも試合が可能だ
向こうには青と白のユニフォームを着た栄都イレブンの姿がある キャプテンマークをつけた選手は雷門イレブンに近づいた
「ようこそ雷門イレブン、…結果は決まっているけどいい試合をしよう」
選手は言った
結果が決まってる?どういうこと?海音と天馬は首を傾げた
「僕はベンチだから見ていることしかできないけど…二人とも頑張ってね!」
「もちろんさ!信助の分まで頑張るよ!」
海音と天馬、信助は右手の拳を三人で合わせた 初めての試合…頑張ろう
軽い準備体操のあと、両チームはそれぞれのポジションについた 天馬は中盤のMFで海音は前列のFW 南沢と倉間と3トップを組んでいる
「…雪雨」
すると隣の南沢が海音に話しかける
「いいか、…よけいな事はするなよ」
「よけいな事…?」
海音が訊ねる前に試合開始のホイッスルが鳴った
キックオフは南沢、早速倉間にパスを出す
倉間は辺りを見回し、誰かにパスを出せないか探した
「…雪雨!」
海音の姿を確認し、素早くパスした 海音はパスを受け取りかけ上がる
そこで栄都に囲まれてしまった
海音は辺りを見回す 突破は出来るだろうけどパスしよう すると海音の視界に神童が入った
「キャプテン!」
海音は神童へロングパス 大きな弧を描き見事に神童の所へボールがやって来る
神童はゴール前に来た そしてシュートした
だが栄都のGKは軽々とキャッチした
「あぁ〜惜しい!」
ベンチから信助は言った
違う、惜しくない…今のシュートは本気じゃ無かった 海音には分かった
どうしたんだろうキャプテン…
ボールは栄都へ
そこへ南沢がボールを奪いに行くが、かわされてしまった だがあの選手のドリブルは上手いとは言い難い どうして?
さらに栄都はパスを繰り返し、雷門のDF陣に来た だがあっさりと突破を許し、ついにゴール前に迫られた
「決める!」
そんな声と共に栄都のシュート
強いシュートでは無いように見えた だが三国は簡単に得点を許した
ギャラリーからすごい歓声が上がる 先制点は栄都だ
「まだ一点です!頑張りましょう!」
海音は士気を下げてはならないと、大声でそう言った だが雷門イレブンにその言葉は届いていないように見える
再び南沢からのキックオフ
「先輩こっちです!」
海音は走りながら叫んだ だが南沢はマークされている倉間の方にパスをした ボールはすぐに栄都へ渡る
普通ならフリーの海音へパスをするのが当たり前だ、なのに南沢はしなかった わざと
「………」
海音はあることに気がつき、呆然と立ち尽くした そんな…なんで?
栄都はDF陣を抜いていき、ゴールに迫っていく とたんに海音は我に帰った
今はとにかく試合に集中しないと!栄都を止めるべく海音はスゴい早さでゴールに向かった
だがその時
「…っあ!?」
何かにつまづき、海音は思いきり転んだ
いたた…土をほろいながら立ち上がると、そこには神童がいた
「キャプテン?」
「………」
神童はただゴールの方を見ていた
神童が足を引っ掻けて海音を転ばせたのだ わざと
するとまた歓声が上がった 栄都のシュートが決まり、雷門と二点差がついたのだ
…みんな…まさか本当に…