二次創作小説(紙ほか)
- 第15話 ( No.37 )
- 日時: 2013/01/27 10:48
- 名前: 時橋 翔也 (ID: EggErFJR)
栄都戦から数日が経った
久遠が雷門を出ていってから、神童は一度も部活に来ていなかった
監督もキャプテンもいない中 ひたすらに海音達は練習していた
「…ボクがシュートしたから…かな」
海音は呟く そして本日100本目のシュートを入れた
海音と天馬、信助は違うポジションながらも一緒に練習することが多くなっていた
栄都戦以来、海音と雷門のイレブンとの間に出来た溝はさらに深まっているのだ
「しかし困ったな…キャプテンがいないとチームがまとまらない」
三国は言った
すると南沢は三国を見た
「…次の監督はフィフスセクターから来るんだろ?どうせ同じことさ」
次の監督はフィフスセクターから派遣された者だと雷門イレブンは音無から事前に聞いていた 音無の情報がただしければ、今日監督は現れる
「………」
海音はリフティングを繰り返す 天馬と信助も挑戦するが、上手く出来ずにボールが地面に転がる
「剣城もやらない?楽しいよ?」
「…するわけないだろ」
すぐ近くに立っていた剣城は海音に即答した
なーんだ…と呟くと、海音はボールを高くあげてそのまま向こうのボールを入れるカゴの中にボールを入れた
それを見ていた天馬と信助はおぉ〜!と歓声をあげる
「本当に海音はサッカーうまいよね〜…習ってたりしたの?」
「ううん…特に 幼馴染みとサッカーしていたくらいで」
海音は天馬は言った 嘘偽りもなく真実だ
「…ただ、昔一緒に住んでいた人がすごいサッカー上手かったんだ…」
「昔住んでいた人?」
信助は訊ねる 天馬とそれから剣城も海音を見た
「うん、…聞いたんだけど、その人イナズマジャパンのFWだったらしいよ」
「イナズマジャパンのFW!?」
天馬は声をあげる イナズマジャパンは、全国のサッカー選手の憧れだ
「すごくサッカー強くて…よく昔は一緒にサッカーしてたよ ボクの一番の憧れさ」
海音は言った
憧れ… 少し悲しげに剣城は視線をそらした
「…あれ?あの人…」
すると霧野が向こうからやって来る人影に気づいた 速水はメガネのピントを合わせ人影に目を凝らす
海音もよく見てみた、白いジャージにオレンジ色のバンダナを着た青年 海音より先に速水が気づいて声をあげる
「ああっ!あの人まさか!」
続いて海音も気がついた 忘れるはずもない あの人は…!
青年はサッカー部員達の目の前に来て止まる 海音には光の辺り方で青年が太陽に見えた気がした
「みんな!今日から監督になった円堂守だ!宜しく!」
青年は言った
その青年は、かつてイナズマジャパンを世界一にした伝説のキャプテン、円堂守だった
理解するのに数秒を要し、理解したとたん
「えええ?!」
海音と剣城以外のサッカー部員は声を上げた
剣城は円堂を睨む
「どういうことだ…」
「………」
海音は円堂を見つめる まさか円堂がフィフスセクターから送り込まれた監督…?だが円堂を見ているにそうとはとても思えない
「早速だが、今日の練習を開始する」
唐突に円堂は言った
「場所は…河川敷だ」
「河川敷?」
倉間は声を上げる
「ここじゃ見えないものが見えるかもしれないだろ」
円堂は言った そして辺りの部員達を見回した
「いいか皆!今日からは試合に勝つための特訓をする!」
「え…?」
勝つための…特訓?フィフスセクターからの監督とはとても思えない発言だ
「じゃあ河川敷で待っているぞ!」
そう言って円堂は向こうへ行ってしまった
後に残された部員達は話を始める やはり怪しんでいるようだ
「…どうする?」
「河川敷には行くが特訓はしない」
「俺も 何企んでるかわかんねーし」
口々にそんな言葉を交わしていた
「俺はあの人と特訓するよ、…円堂さんとなら強くなれる気がする」
天馬は言った 信助と海音も頷く
「そうだね!僕も賛成!」
「…ボクもそう思うよ天馬」
「よーし!行こう!」
天馬は歩き出した先輩方を抜かす勢いで走っていった 待ってよ〜と信助もその後を追う
「剣城も行こうか」
海音は剣城を見た 言われなくても、と言いたげな目をして剣城は歩き出した
ツンデレ…海音は思ったが言わない
「…何故ついてくる」
「ついてくるって…いく方向同じだし」
海音は剣城と歩きながら言った
剣城は隣を歩いている海音を見た 珍しく睨まない
「雪雨…お前は何故、俺に構う?俺はシードなんだぞ」
「気にしないよそんなこと…だって仲間だから」
海音は無邪気に言った
剣城には信じられない言葉だ
「仲間…だと?」
「うん、まあ先輩達はそう思っていないかもしれないけど…ボクは剣城も仲間だって思ってるし あ、そうだ」
驚く剣城の方を海音は見た
「同じ一年生だし呼び捨てで良いよ、海音ってさ」
「はあ?」
剣城は声をあげる
こいつ…どこまで馴れ馴れしく…
しかし海音のその無邪気な笑顔は、どこか寂しげだった