二次創作小説(紙ほか)

第3話 ( No.6 )
日時: 2013/01/17 18:37
名前: 時橋 翔也 (ID: Sr8Gveya)


あれが…雷門イレブン?
ということは、おそらく先ほど剣城にやられていたサッカー部員達は音無の言っていた二軍なのだろう
神童は久遠に近づいた
「久遠監督、こいつは?」
「…剣城京介、フィフスセクターから送り込まれたシードだ」
「シード!?」
神童は剣城を睨む
相変わらず剣城は余裕の笑みを浮かべていた

「………」
だが海音には、剣城に対して大きな違和感を抱いていた
表情には全く現れていない
それでもどうしてか…剣城が酷く悲しげな感じに思えた
「海音どうしたの?」
「ううん…何でもない」
海音は天馬に言った

「そうです…俺はフィフスセクターから送り込まれたシードです」
剣城は言った そして指をパチンと鳴らす
途端に黒い光と共に現れたのは、イナズママークが入った黒いユニフォームを着た十人だ
「フィフスセクターから渡された伝言…今この瞬間より雷門イレブンはこのメンバーと総入れ換えとする… お前ら全員お払い箱だ」
「なんだと!?」
ピンクの髪を二つに縛った少年は声を上げる
神童は思いきり剣城を睨み返す
「礼儀を知らない一年が…」

すると剣城は続ける
「ただし…もし雷門イレブンが試合でこの黒の騎士団と戦い、勝てた場合は速やかに撤退…これもフィフスセクターからの指示です」
「もし勝てたら…」
海音は呟く
雷門イレブンはどれほど強いのだろう
そして…黒の騎士団は…

——————

黒の騎士団と雷門イレブンとの試合はサッカー棟にある屋内グラウンドで行われる事になった
二チームはそれぞれのポジションにつき、海音や天馬、久遠、音無はベンチに座る
するとやじうまが集まるが、全く気に止めない

試合開始のホイッスルが鳴る
雷門のエースストライカー、南沢からのキックオフだ
「倉間!」
すぐに身長が低い左目を髪で隠しているFW、倉間にボールが渡る
そこに剣城がやって来た
「遅い」
ただそれだけ言うと、倉間から強引にボールを奪った
「うわあああ!!」
「倉間!!」
吹き飛ばされた倉間に神童は叫ぶ

剣城は次々と年上のDF陣を抜き、あっという間にゴールに迫る
「デスソード!!」
死の剣の名を持つ鋭い漆黒のシュートはゴールに突き刺さる
まだ数分しか経ってないのに…
「皆頑張って!!」
音無は海音の横で言った
だが虚しくもその言葉は届かない
「あの人たち…強い」
海音は呟いた

雷門は名門の名に恥じない強いチームだ だがそれ以上に黒の騎士団が強い
特に剣城、黒の騎士団側の得点の殆どがエースストライカーである剣城が奪っている
前半が残り少なくなった頃、
すでに雷門は十対0の圧倒的な点差をつけられていた

すると久遠は二人を見た
「新入生の松風と…雪雨だったか」
「はい」
天馬は頷く
しばらく久遠は二人を見つめ、立ち上がる
「今からお前たちを試す…選手交代!南沢、浜野に変わり雪雨、松風!」
監督のみが許される選手交代
一瞬意味が理解できなかった
そして理解したとたん、二人は叫んだ
「…………………ええええ??!!」

音無は近くのユニフォームを二人に渡す もうやるしかない…そう心に決め、海音はジャージの上と下を脱いで短パン半袖姿になりその上からぱっぱとユニフォームに着替えた
天馬も遅れながらユニフォームに着替えると、南沢とゴーグルを着けたMFの浜野がやって来た
南沢は海音を見た
「…ふん」
「じゃあ…頑張って〜」
浜野は二人に言った

二人は抜けた二人の位置につき、試合再開
海音からのキックオフだった
「………」
これが試合…
すると何人かが海音に突進してくる
「倉間先輩!」
海音は近くの倉間にバックパス
空中で弧を描き、倉間の所に収まった時だった
「甘い!」
「ぐあああッ!!」
黒の騎士団の何人かが倉間に強烈なタックル ボールを奪われた
審判の見えない位置でわざとラフプレー…
やつらは…徹底的に叩き潰す気か

ここで前半が終了した
余裕の黒の騎士団に対して、雷門は海音と天馬以外ボロボロだった
「このままじゃ…潰される…」
神童は呟いた
潰される?雷門サッカー部が?
「…天馬、後半は勝ちに行くよ」
海音は天馬を見た
「え…?でも先輩達がまるで歯が立たない相手だよ?」
「大丈夫…任せて」
任せて?どういうことだろう

海音は意識を集中する
本来あまり使いたくはないが、今回は仕方ない
「力を貸して…レイン」
そう呟くと、海音の背中から紫色のオーラが出てきた
「あれは…」
久遠は声を上げる
オーラは海音の周りに纏うとそのまま消えた
絶対…雷門サッカー部を守るんだ