二次創作小説(紙ほか)
- 第4話 ( No.7 )
- 日時: 2013/01/20 12:07
- 名前: 時橋 翔也 (ID: FMSqraAH)
試合再開
海音からのキックオフだ
「雪雨パスだ!」
倉間は叫ぶ だが海音は無視をして一人突っ走る
「雪雨!?」
どういうつもりだ?
そこに剣城がやって来る 強烈なスライディングをかけたが、海音はかわした
「なに!?」
「行かせるか!!」
黒の騎士団の何人かがタックルを仕掛ける
それもかわした
あいつ…一気にパワーアップしている
神童は思った
あっという間に海音はゴール前に迫る
ボールが冷気を吸いキラキラと輝き始め、まるでダイヤモンドのように固くなったボールを海音は思いきり打ち付ける
「ダイヤモンドショット!!」
強烈なシュートは余裕だったGKを抜いてゴールに突き刺さる
まずは一点取り返せた
「やったね海音!」
天馬と海音はハイタッチした
「信じられない…」
神童は呟いた
自分達よりサッカー経験が薄い一年生が、しかも今日初めて会った新入生が、
点を決めてしまうなど誰が想像するか
それは黒の騎士団側の方も同じだ
剣城は海音を睨む
「ちっ…」
あいつは…俺が叩き潰してやる
そう心に決めた剣城からのキックオフ
海音は剣城に迫る
「邪魔だッ!!」
「ぐあっ!!」
剣城は海音を吹き飛ばして突っ走る
だが海音も負ける気は無かった
吹き飛ばされ倒れても海音はボールを追いかけ、ラフプレーにならない程度のテクニックで何とかボールを奪う ラフプレーだけは好きじゃなかった
するとボールをキープして上がる海音に神童がやって来た
「雪雨無理するな!俺たちもいる!」
神童は海音に走りながら言った
だがそれをも海音は無視をした
ボールを渡せば皆がラフプレーを受けるのは明白だ
それなら…ボクがボールをキープして皆を守ればいい 皆が傷つく必要は無いのだから
「ダイヤモンドショットッ!!」
再びゴールに上がり、点を入れる
二点、三点、四点、凄まじい勢いで点数の差が縮んでいく
先程まで余裕だった黒の騎士団のメンバーに焦りが生まれ始めた それは剣城も同じだった
「…剣城くん」
そんな様子をベンチから見ていた黒の騎士団の監督らしき男は剣城を呼び止める
「どういうことです?黒の騎士団が圧されるなど…」
「…すいません」
剣城は言った
何故だ…何故あいつにあんな力が…!
剣城は手を握りしめた
監督は海音を見た
「…雪雨海音、彼はデータ不足です… 剣城くん、雪雨海音を再起不能にしなさい…そうすれば黒の騎士団の勝ちは絶対です、場合によってはサッカーが出来ない身体にしても構いません」
「サッカーが…出来ない身体に…?」
剣城の表情が変わる
「出来ますね?…君なら」
「………わかりました」
仕方なく剣城は頷いた
まあいい… 潰してやる、この俺がな!
海音はゴールに上がる
すると黒の騎士団の何人かが海音の前に立ちはだかる
「行かせるか!」
そして審判に見えないように、海音の腹を思いきり蹴りつける
「がはっ!」
「まだまだ!!」
集中的なラフプレーだった
ピンク色の髪を二つに縛ったDF、霧野は海音を見ていて気づいた
「あいつ…まさか俺達が傷付かないようにパスをしないのか?」
そう言うと、周りでもハッと気づき始める
全身に走る激痛をこらえながら、海音は何度もゴール前に来ては点を重ねる
今で十点目、あと一点で勝てる
「はあっ…はあッ…」
海音は膝をついた
体力、精神ともにボロボロで、立つのもやっとだった
「海音!!」
心配になった天馬はボールを奪い駆け上がる
俺には海音ほどの力がない…でも目の前で海音が傷つけられて黙っていられない!
「雑魚は引っ込んでな!」
「うわあああッ!!」
「天馬ッ!!!」
剣城に吹き飛ばされた天馬を見て海音は叫んだ
そしてボールは剣城へ
「ふっ…見せてやる!フィフスセクターの力をな!!」
とたんに、剣城の背後から紫色のオーラが出てきた
それは形を成していき、甲冑を纏う剣士に変化した
「剣聖ランスロット!!」
「化身…!」
周りの皆を絶望に追い込むには十分すぎる光景だった
化身とは強くなりたいという思いが形を成して具現化したもの 海音もその存在は知っていた 昔から
化身使いは化身を発動すると大幅にパワーアップする
あれほど強い剣城がパワーアップしたら…一体どうなることか想像もつかない
ただ一つ分かっているのは、剣城が本気で海音を潰そうとしていることだ
「潰してやる!この俺がな!!」
不適に笑い、剣城は海音に迫る
「うわああああああああッ!!」
化身を使った強烈なラフプレー
海音は思いきり吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる
「海音ッ!!」
天馬は叫んだ
「くっ…まだだ…」
海音は痛みをこらえながら立ち上がる
身体はボロボロなのに、目は死んでいなかった
「ボクはまだ…戦える!!」
海音は剣城に突進する
そしてすごい早さで剣城からボールを奪った
「なに!?」
これが最後のチャンス
海音は思いながらゴール前に迫る
「ダイヤモンドショット!!」
強力なシュートを放ち、雷門は一点リードする
海音は身体の力が抜け、地面に倒れこんだ
「海音!!」
天馬は海音に駆け寄る
「大丈夫!?」
「くっ…そ…」
もう動けない
身体の感覚が残っているのかも危うい
「なんでだ…なんで俺達にそこまでするんだ雪雨!!」
神童は叫んだ 今だからこそ実感する無力さを噛み締めながら
「…あきらめないでください…試合を…」
海音は言った
「…キャプテン、海音は…俺達は諦めたく無いんです!サッカーを! だから…キャプテンもサッカーあきらめないでください!!」
天馬は叫ぶ
「…松風…雪雨…」
神童は言った
「俺は…仲間も守れない、何がキャプテンだ…」
神童はキャプテンマークを掴む
みんなから信頼されているのに…
神童の頬を涙が伝う
「ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」
神童は泣きながら叫ぶ
途端に神童は背後からオーラを出し、それは指揮者の化身に具現化した
「……!!」
化身を出した?
「神童も化身を!?」
グラウンドにいる全員が驚愕した
「俺はキャプテンなんだッ!!皆を守るのは俺なんだあああああ!!!」
神童は叫ぶ 目付きからして我を忘れていた「…!!」
海音は驚きのあまり目を見開く
キャプテンが化身を…!?
「そこまでです!!」
すると屋内グラウンドに黒の騎士団の監督の声が響き渡る
「我々は撤収します…雪雨くんと神童くんがサッカー部を守ったと言っていいでしょう」
「………」
剣城は指示を受け、周りの選手達が黒い光に包まれ消えると、剣城は化身をしまう
そして監督と共にサッカー棟から出ていった
「………」
神童の背後の化身も姿を消す 同時に神童の身体から力が抜け、地面に倒れこんだ
「神童!!」
「おい…しっかりしろ!!」
雷門のメンバー達は次々と神童に駆け寄る
どうやら気を失っているようだ
すると久遠が近づく
「神童と雪雨は保健室に連れていってくれ…松風はもうすぐ入学式だ、行った方がいい」
「…あ!忘れてた!」
天馬は声を上げ、急いでユニフォームを着替え始めた
「おい…こいつ冷たいぞ?」
「大丈夫なのか…?」
久遠は気を失い、霧野に背負われる海音を見つめる
先ほど海音が扱っていたあの紫色のオーラ…あれは間違いなく化身のオーラだ
一体…どれほどの力を持った新入生なのだろうか