二次創作小説(紙ほか)

第26話 ( No.85 )
日時: 2013/02/22 20:51
名前: 時橋 翔也 (ID: B6N9vk9k)


後半開始のホイッスルが鳴り響いた

南沢からのキックオフ すぐに横にいた倉間にパスしようとした 時だった
天河原の選手は南沢の足を狙って強烈なスライディングを食らわせた
「うわああっ!!」
素早い反射神経で怪我はしなかったが、ボールは奪われてしまった
すると今までベンチで見ているだけだった水鳥が立ち上がった
「おい!今のは反則だろ!」
「審判に見えないようにしてる…」
カメラを片手に隣の茜は言った

奪ったボールをキープする選手の前に立ちはだかったのは海音だった
海音の周りに冷たい冷風が吹き始める それは海音を包むようにして吹いていた
そして海音は右手を上げ左肩の方に上げる
「スノーウインド!」
海音は右手を思いきり斜めに降り下ろす
するとそこから強い雪入りの風がカマイタチのようにして選手に向かっていく
「うわっ!」
強い風は選手を吹き飛ばし、ボールを奪うとそのまま海音は駆け出した

海音は走りながら辺りを見た どうする…? 天馬は隼総にマークされ、神童は喜多にマークされている だからといって他の皆はフィフス派 パスを出すのは危険だ
どうしたら…
そんな海音をよそに、西野空が海音に迫ってくる 不適に笑い、足を狙い思いきりスライディングをかけてきた
「うわっ!」
海音はぎりぎりでかわすが、その時

別の選手が続けて海音の足に思いきりスライディングを食らわせた

「がっ…!!」

激痛が駆け巡り、足を抑えたい衝動に駆られる ボールを奪われ、海音は膝をついた
危なかった… 今のラフプレーは、下手したら一生治らない怪我になるところだった
海音は蹴りつけられた足を見る 深い長い傷が出来たのか、ソックスから鮮血がにじみ出る
だがそんなこと気にせず、海音はボールを追って走り出した

ボールは天馬をマークしていた隼総へと渡る 隼総はゴールへと迫り、再び化身を出現させた
「…どうした?こんなものか雷門は!」
隼総は叫び、先程と同じシュートを放った
「ファルコ・ウイング!!」
ここで点を入れれば、天河原が勝ったも同然だ 隼総はよく分かっていた
だが、本当にこのままで良いのかと内心そう感じた たとえ天河原が勝とうともチームは何も変わらない 勝利に固執するだけだ
だからと言ってわざと負ける気などない それでは『アイツら』を裏切るのだから

「止めてやる!!」
するとそこへ天馬がやって来た シュートを身体で受け止めるが、威力が落ちる気配はない
「この試合…俺達のサッカーで俺達が勝つ!!」
そういい放った天馬の背後には、紫のオーラが見えていた
だがその時、化身シュートに耐えられず天馬は吹き飛ばされた
「うわああっ!!」
「天馬!!」
海音は叫んだ
さらにそこへ神童がやって来る
天馬のように紫のオーラを出してそれを化身へと形成した
「俺の化身で止めて見せる!奏者マエストロ!!」
青い髪の指揮者へと姿を変えた神童のオーラはシュートを受け止める だが圧倒的に神童は隼総と比べた化身を使いこなせてないのが海音にはすぐにわかった
「ぐあっ!!」
神童にも止められず、化身もろとも吹き飛ばされた

威力は落ちたが、それでも強力なシュートがゴールへと向かってくる とたんに三国はサッカーをがむしゃらに練習していた昔の自分がフラッシュバックした
あの頃と今が違うのはわかっているでも…

あの頃みたいに……勝ちたい

ついに決心した三国の拳から赤い炎がほとばしる
「バーニングキャッチ!!」
スピンの勢いと共に三国はシュートを炎の拳で地面に叩きつける これほど思いきりシュートを止めるのは本当に久々だった
隼総の化身シュートは炎の拳で徐々に威力を失い、三国はそれをキャッチした
「俺のシュートを…止めた…」
驚きのあまり隼総は目を見開く そして不適に笑った
「おもしろい…いいよ認めてやるよお前らを!」
「認める…?」
訝しげに隼総を見る天馬をよそに、神童は驚いて三国を見た
「三国先輩…」
「…お前らのお陰で目が覚めたよ」
そう言うと三国は拳を前に突き出した

「ゴールは俺が守る…行け!」

「はい!」
神童はパスをもらい、頷くとそのまま駆け出した どうしたら化身を使いこなせる…?そんなことも考えていた
海音は三国を見た また一人仲間が増えた…そんな気がしていたのだ
「この試合…絶対勝つ!!」
神童は言った 今までとは違い、固い決意を瞳に携えて

「…神童君…」
そんな神童を向こうから喜多は見ていた 昔は泣き虫だった神童があそこまで変わるなんて… 俺とは大違いだな

その思いは、神童には届かない