二次創作小説(紙ほか)
- Re: 暗黒の世紀を切裂く—— 第7話更新 ( No.26 )
- 日時: 2013/06/03 15:02
- 名前: 風死 ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
冒険王ビィト 暗黒の世紀を切裂く——
第8話「戦士達の世界へ Part8」
「天撃の炎環(えんかん)!」
炎の天力により真っ赤に染まった両手をライオは大地に叩きつける。 夕焼けのような紅が空間を支配したかと思うと、地中から現れたアイアンライノスや鋼鉄モグラ達を巻き込んでいく。
しかし鋼鉄の鎧を纏うアイアンライノスも丸い岩の塊に近い存在である鋼鉄モグラも、一匹たりとも死にはしない。
そもそも天撃の炎環は防御力の劣るものを一掃(いっそう)するための術であって、防御に優れる彼等には役不足だ。
「雑魚共に用はねぇんだよぉ!」
だが経験豊かなライオがそんなことを把握していないはずもなく、彼の狙いはその先にあった。
いかに防御力が高かろうと多少は動きを止める。
そう炎環の目的は相手を足止めすること。
身動きの取れないモンスターどもを傍目(はため)に、片手を天に掲げライオは叫ぶ。
「大天炎(だいてんえん)の紅蓮竜(ぐれんりゅう)!」
空間が鳴動し大地にひびが割れた。
みるみる間にライオの掌には巨大な炎の球体が生成されていく。
そしてそれは直径3メートル程度になると、 突然形状変化を始める。 それは炎で赤く染まったガラス細工のようで、でも荒々しくて。
焔を巻き上げそれは竜へと変貌。
ライオの手から解き放たれるとあぎとを開き咆哮(ほうこう)して目の前の全てを飲み込んだ。
天撃の炎環には耐えた防御型のモンスター達も、この圧倒的質量の炎にはなす術なく。
高温度に飲み込まれ姿を消した。
バスター達の先頭手段の中で切り札と呼ばれる力の1つ。
上位天撃。
天撃にあって魔人に通用するのは上位天撃のみとされている。
そんな強力な力を行使してもなおライオは余裕だ。
しかし。
「はっ、何体居ようがテメェラなんざ……!?」
ライオの真下から突然大地をかち割り現れた影。
現ると同時に放たれた風の一撃を紙一重で回避し、ライオは笑う。
「地中からお出ましとは奇襲する気満々じゃねぇか?」
「何が言いたい?」
「自分に自信がねぇのが丸見えだって言ってんだよ!」
粉塵の中から現れたのは、人間に近い体つきをしていながらも決定的に違う姿を持った異形(いぎょう)の者。
ヴァンデルだった——
——————
End
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