二次創作小説(紙ほか)

Re: 暗黒の世紀を切裂く—— 第9話更新 ( No.35 )
日時: 2013/11/30 21:03
名前: 風死  ◆Z1iQc90X/A (ID: 68i0zNNK)
プロフ: 魔人が弱すぎる? いえいえ、ゼノン達が規格外すぎるのです

 冒険王ビィト 暗黒の世紀を切裂く——
 第10話「戦士達の世界へ Part10」

 火柱が空を焦がし、氷の弾丸が鉄壁の鎧を貫く。
 輝く雷光は肉を穿つ。
 風の刃が大地とともに目の前のモンスターたちを切り裂いていき、闇を照らす光は文字通り魔を名乗る者たちを飲み込んだ。
 開戦から10分。
 もはや立っているのは5人のバスターと5人の魔人だけ。

 「これが大陸最強のバスター……」
 「分ったかよ。お前らの売った喧嘩の無謀さが」

 激戦のさなか眉間(みけん)に傷を負った炎使いの魔人が慄(おのの)く。
 炎のように紅い体に炎のような模様が浮かぶ、人を小馬鹿にした顔の魔人。
 紅輪のシャクヤク。
 今まで幾千の戦士の屍(かばね)を重ねてきた彼らには分る。
 目の前の存在がどれほど規格外であるか。
 炎使いの言葉にライオが答えると同時に炎使いの魔人は真っ二つとなり、臓物と大量の血をまき散らし崩れ落ちた。

 「いっちょあがり、と」

 無表情に魔人の死骸(しがい)を見詰めながら、才牙を胸に収めるライオ。
 それと同時に水使いの魔人が吹き飛ばされ、ライオの横を通り過ぎていく。

 「さてと、私のほうもそろそろ終りですね」
 「なっ、嘗めるでないっ! 我が魔奥義を食らいなさいっ!」

 ライオは驚くこともなく悠々と自分の横を歩いて行く先輩クルスを一瞥し、まだしばらくは戦いが終わらなそうなブルーザム達のほうを見る。
 カエルのような顔立ちの魔人が怒りにまかせ自らの全ての力を解放する。
 人が空気中から力を借りて放つなら、魔人は大地からの力と自らの体にある膨大な冥力を混合して戦う。
 そう2つの方面から力を行使する魔人はある種皆が個性的で固有の力を持っていて。
 その究極に練磨(れんま)されたものが魔奥義だ。
 必然その威力は並のバスターには圧倒的な脅威となる。

 だがクルスに怯えた様子はなく、ライオも欠片ほどの心配もしていない。
 彼らは普通のバスターなどではないのだから。

 「飲み込め我がブルーレグルスよおぉぉぉぉっ」

 自分の技名を絶叫するカエル顔の魔人。
 大質量の水の塊がクルスへと襲いかかる。
 しかしクルスは悠然と盾を構えた。
 
 「そんな盾えぇぇっ!? なっ、ななななななっ」
 「さようなら。懺悔しなさい。自らの技に貫かれて」

 クルスの盾。
 才牙、クラウンシールドに当たった瞬間、男の魔奥義は反射され魔人を呑み込む。
 大地ごとその水の塊は使い手を消滅させた。

 「これで残る敵は3体ですね」
 「おっと、ブルーザムの旦那がそろそろ勝負を決めそうだぜ」
 「……これで2体、ですね」

 加勢に行く必要はないと見た2人は他の3人の戦いを観戦する。
 仲間のプライドを優先して加勢はしないが、当然追い詰められたら加勢するつもりだ。
 いつでも動けるような体勢は取っている。
 
 観戦を始めて数分。
 ブルーザムの巨斧(きょふ)が黄色い体をもったライオンのような顔立ちの魔人を捉え。
 そして胴体を切り裂いた……

 残る敵はクルスの言うとおり2人。
  

——————

 End

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