二次創作小説(紙ほか)
- 少年陰陽師2夜 彰子のバレンタイン大作戦!!前半 ( No.11 )
- 日時: 2013/02/14 15:14
- 名前: 透明 (ID: xLaEhu2C)
もうすぐバレンタインなのでそんな話をお届けします
『彰子のバレンタイン大作戦!!』
アイデア…外園 伊織さん
2月といえば女の子なら心が浮くバレンタインがある
そんな訳で彰子は昌浩にチョコを渡そうかしら、と必要なものを用意した
しかし、彰子は自分で気づいていない欠点があった
彼女はとても不器用なお嬢様なのだ
安倍家にて
女の子なんだからバレンタインでチョコぐらい作れた方がいいだろう
彰子はそう思って意気込み溶かしたチョコレートを流し込んだ
—おいしくできるといいわ
30分後
「あら?」
メニューに載っている写真と目の前にある自作のそれを見比べた
あきらかに違うのは気のせいだろうか
チョコを作ったはずなのにおかしな…否、そら恐ろしい物体が出来上がってしまった
彰子は首を傾げて眉を寄せた
「メニューの通りにしたはずなのだけれど、チョコじゃない?」
どうしてだろう
本来ならチョコに変なものを入れたとか料理が苦手だとかに気づくのだが、彼女はそこには思い至らず
「これはこれでいいかも」と勝手に納得した
そこに玄武と六合が何事かとやってきた
「お嬢、大丈夫か!?」
「玄武たちどうしたの?そんなにあわてて」
彰子を見て安心した玄武はなんでもないと頭(かぶり)をふった
「焦げ臭いにおいがしたので、もしや火事かもしれぬと思ったのだが…」
「え? ……あっ!!」
はっとして彰子は急いでオーブンの中のものを取り出した。そのときオーブンからのにおいで咳き込んだ
「すっかり忘れてたわ…」
二人がため息をついている彰子が持っているものをのぞくと、そこには真っ黒に焦げたのと牛乳を入れすぎただろう生のままのカップケーキが二つ
黙っていた六合は彰子の後ろにあるチョコを指差して口を開いた
「…これは」
「ああ、昌浩にチョコを渡そうと思って。…六合、チョコに見えない?」
いささか不安になってきた彰子に彼は一言
「……いや」
六合の返事はどういう意味だろうか
「もう一度作ってみようかしら」
嫌な予感がした玄武は彰子から調理道具をとりあげた
「ちょっと待ってくれ。朱雀と天一を呼んでくる」
音も立てずに出て行った玄武と入れ違いに露樹がやって来た
「露樹おば様っ」
彰子は昌浩の母のもとにいくと露樹は微笑した
「彰子さん何を作っているの?」
「昌浩にチョコを贈ろうと思ったんです。だけど…」
肩を落とした彼女の近くにあるチョコもどきとカップケーキらしきものを見て露樹は彰子の言いたいことがわかった
どうしたものかと考えていると玄武が朱雀と天一を連れてきた
「お嬢、呼んできたぞ」
「もうすぐバレンタインか。楽しみだな」
「ええ、今年もあなたに贈りたいわ」
「俺はチョコなどなくても天貴の気持ちは伝わっているからな」
天一の肩を優しく掴んで朱雀はからりと笑うと天一はぽっと頬を赤らめた
「朱雀…」
完全に二人だけの世界だ
玄武は半眼に、彰子は羨ましそうに、露樹は微笑ましそうに二人を見ていた
「二人とも暑苦しいぞ」
彰子がちらりと六合を見ると彼はいつも通り無表情だ
露樹はひとつ頷くと提案した
「どうせなら、ここにいるみんなで作ったらどうかしら?」
いいな、と朱雀は賛成した
そんなこんなでチョコ作りが始まった