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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 少年陰陽師1 夜 『花』 ( No.19 )
- 日時: 2013/03/07 15:30
- 名前: 透明 (ID: 8comKgvU)
それまで沈黙していた昌浩は口を開いた
「…もっくん」
「なんだ昌浩や」
「藤花と話せるようになるにはどうしたらいいんだろう」
物の怪はひょいと尻尾を振った
「話すことはできてるじゃないか。…一応」
「そうだけどさ。なんか気まずい感じがするんだよ。俺、藤花に何かまずいことしたかなあ」
昔より会話が少なくなったのは気のせいだろうか
本気で悩んでいた昌浩はやがてひとつのことに思いついて顔を青ざめた
もしや
「蛍を見に行こうって言ったのに何年も約束を果たしてないから気を悪くしたとか」
もうすぐ蛍の時期がやってくる。けれど今年も彼女と貴船に出かけることはできそうにない
彼の意見を物の怪は否定した
「いや、それはないだろう。成り行きで行く時期を逃してるんだ。藤花がそんなことで怒るやつじゃないのをお前が一番わかっているんだろ」
「そうだけど…さ」
それに、と物の怪は付け足した
「ほかに理由があるんだろうよ。お前が気に留めることじゃない」
「でも…」
ぎゅっと拳を握り締めた昌浩の背中を物の怪は尾でたたいた
「なら藤花を喜ばせることをしたらいいじゃないか」
「喜ばせるって、どうすればいいんだよ?」
問うた昌浩に物の怪はにやりと笑った
「昌浩、お前は陰陽師だろ?蛍を藤花に見せることは出来なくはないだろ」
そう言われて彼はあっと目を軽く見開いた
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