二次創作小説(紙ほか)

少年陰陽師3夜 『春は…』 ( No.28 )
日時: 2013/04/02 13:02
名前: 透明 (ID: xlcSC1ua)

ブルーシートに荷物を置き、食べ物を包みから取り出していた彰子は、向こうから歩いてくる幼馴染を見つけて手を振った。相手も気づいた様子で駈けてくる
「遅くなってごめん。昌浩、彰子もみんな早いな」
「大丈夫よ、今は集合時間の10分前だから。蛍、比古は?」
まだ来ていないのは昌浩と蛍より一つ年上の比古だけだ
彰子が首を傾げると蛍はきょろきょろとあたりを見渡した
「さあ。私が来た道にはいなかったよ。あいつはまた遅刻かな」
昌浩や彰子、蛍や比古は清涼学園中等部に通っている
蛍は遠い目をした
「比古は毎日毎日遅刻ぎりぎりに校門に入るから、毎日毎日凌壽先生に怒られてるからなあ」
—…先生おはよーございますっ
—…国津、もっと早く来い!!!
毎朝この会話が繰り返される
昨日も凌壽先生の怒号が聞こえたので、そうだと思う
そう口にすると昌浩が割り込んできた
「違うよ、昨日は奇跡的に遅刻しなかったって比古が言ってたから」
「奇跡的なのね」
彰子が苦笑する中、昌浩は続けた
「たぶんまた凌壽先生が晶霞先生のことで騒いでたんじゃないかな」
「ああ、そういえば保健室で寝てるとたまに凌壽先生が怒鳴り込んでくるっけ」
そうなの?と彰子が聞き返すと蛍はうんと頷いた
—…晶霞———っ。朝あの男に何を言われた!??
—…またお前か。授業中に来るな、しかも生徒が寝てるんだぞ
「先生しょっちゅう体育の授業放棄すると思ったらそんなことしてたんだ」
「昌浩知らなかったのか?」
「だって俺、保健室を利用したことってあまりないからさ。な、彰子」
「ええ」
蛍を見舞いに行くぐらいしか保健室には授業中に立ち寄らない
「じゃあ今度保健室に来るといいよ。わかるから」
「そうする」
ばたばたと足音が聞こえたので会話を打ち切った
「昌浩達おはよーっ」
「比古遅ーい。1分前だぞ」
ごめんごめんと比古は謝るとあれ?と目を瞬かせた
「なんで笑ってるの?俺の顔に何かついてる?」
昌浩はなんでもないと両手を振ると始めるよーと周囲に声をかけた
満開の桜の下でお花見が今年も行われた


      【完】