二次創作小説(紙ほか)

少年陰陽師 花 ( No.32 )
日時: 2013/08/21 09:30
名前: 透明 (ID: WZc7rJV3)

渡り廊下を藤花はゆっくりと歩いていた
昌浩になんて呼びかければいいのだろう。その前に自分は平静を装うことができるのかと、頭の中がいっぱいの藤花は庭にいる昌浩と物の怪にまったく気づかなかった
昌浩達は藤花に呼ばれるまで待っていようと思っていたのだが、自分達にきづかないでそのまま門へ向かおうとする藤花の様子で慌てて声をかけた
「藤花」
呼ばれた藤花は、はっと目を見開いて振り返る
「昌浩、もっくんいつからそこにいたの!?」
昌浩は頬をかいた
「いや、結構前からいたよ?」
「ごめんなさいっ、気づかなかった」
すごい勢いで謝ってくる藤花に昌浩は両手を振った
「そんなに謝らなくていいよ」
うわあ、どうやって話を切り出そう…
もっくんどうしよう、昌浩男ならさっさと話せと視線で会話する二人に気づいた藤花は首を傾けた
「…どうしたの?」
今だと昌浩は満面の笑みを浮かべた
「藤花、ちょっとお願いがあるんだけど」
「なに?」
「俺たちと一緒について来てくれないか」
「え…、でも」
命婦さまに、と藤花の口が動く
「大丈夫、少しの時間だけだから」
半ば強引に藤花の手をとって昌浩は自分の作った結界へと歩き出す
はっと藤花は顔を上げると戸惑い気味でついて行く
そうして二人と一匹は結界の中へ入っていった