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二次創作小説(紙ほか)
- Re: 少年陰陽師 花 ( No.40 )
- 日時: 2014/05/26 22:26
- 名前: 透明 (ID: 49hs5bxt)
暗闇に藤花は瞳をしばたかせた。
ここはどこだろう。川のせせらぎが耳に入る。
闇に覆われた結界の中は徒人なら何も見えないが、自分や昌浩のような見鬼持ちは微かに周りを見渡す事ができる。
自分を誘導するために右手を握っていた昌浩の手が離れて、その温もりが消えたことに藤花は少し落胆した。 もっとも、その感情を無意識に押し殺したことに彼女は気づかなかったが。
前にいる昌浩の歩みが止まって、彼は何かを口の中で唱えた。
これでよし、と一つ頷いた昌浩は後ろを振り返り昔のように藤花へ無邪気に笑いかけた。
「藤花、見て」
彼が指差すその先を目で追った藤花は、あっ、と驚いたように声を上げた。
二人の目の前に広がるのは光を放つ蛍が織り成す幻想的な世界だった。
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