二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第四十三話 他力 ( No.100 )
- 日時: 2013/08/15 14:03
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「ポリゴンZ、よう頑張ったで」
氷塊に押し潰されて戦闘不能となったポリゴンZを戻し、次のボールを取り出す。
「最後はあんたやで。フローリア、頑張りいや!」
マゼンタの最後のポケモンは、水色の着物を着た、雪女のようなポケモン。
フローリア、分類は見た目のまま、雪女ポケモン。氷タイプ。
「ほな、はよ決めるで。フローリア、ハイドロポンプ!」
フローリアは両手を構え、大量の水を発射する。
「ッ、プラネム、スターフリーズ」
プラネムは巨大な星形の氷塊を作り上げるが、それを発射するよりも早く大量の水がプラネムに直撃する。
ポリゴンZ戦でのダメージもあり、プラネムは戦闘不能となってゆっくりと地面に落ちる。
「よくやったわね、プラネム。戻っていなさい」
プラネムをボールに戻し、ラピスも最後のボールを取り出す。
「最後はこの子ね。ブラッキー、優雅な一時を頂くわ」
ラピスの最後のポケモンは、漆黒のクロヒョウのような体型、細く尖った耳と尻尾を持ち、体のあちこちに黄色い輪の模様があるポケモン。
月光ポケモンのブラッキー、悪タイプだ。
「悪タイプやね。そんならまずは、フローリア、気合玉!」
フローリアは気合を凝縮した波動を作り上げ、ブラッキーへと投げ飛ばす。
「あら、格闘技持ち? ブラッキー、サイコキネシス」
対してブラッキーは額の輪を光らせ、強い念力を起こして気合玉を止めてしまう。
「アイスバーン!」
しかし、続けざまにフローリアは氷の衝撃波を飛ばす。
丁度気合玉を破壊したところで、ブラッキーは避けられず、衝撃波を喰らってしまう。
とは言え、ブラッキーの特徴は優れた耐久力。等倍のアイスバーン一撃くらいではびくともしない。
「やっぱブラッキーは硬いわ……ほなフローリア、悪巧み!」
フローリアは瞬時に脳を活性化させ、自身の特攻を大きく高める。
「悪巧みはまずいわね。早めに攻めましょうか。ブラッキー、悪の波動」
ブラッキーは悪意に満ちた波動を撃ち出すが、
「フローリア、ハイドロポンプ!」
対してフローリアは大量の水を発射する。
元々攻撃面は低いブラッキーが、特攻の上がったフローリアのハイドロポンプを打ち消すことは出来ず、波動は打ち破られてブラッキーに直撃する。
しかしブラッキーは吹っ飛ばされることなく、地に足を付けて耐え切った。
「流石の耐久力やな。そんなら悪巧み」
さらにフローリアは脳を活性化させることによって特攻を上げ、
「もっかい悪巧みやでー!」
これでフローリアの特攻は最大となる。
「ほな、行くで。フローリア、気合玉!」
両手を構え、フローリアは先ほどよりも明らかに大きい気合玉を作り上げ、砲弾のように撃ち出す。
「これは無理ね。ブラッキー、躱しなさい」
しかし、意外と俊敏なブラッキーの動きにより、気合玉は避けられてしまう。
壁に激突し、貫通こそしなかったものの壁が砕けた。
しかし、その威力を見て、なんとラピスは笑みを浮かべる。どうしようもない時の笑みではなく、物事が望みどおりになったときのような勝ち誇った笑みを。
「さて、ブラッキー。貴方の力を見せる時が来たわよ」
そして、マゼンタが何か言うよりも早く、ラピスは次の技を指示する。
「ブラッキー、自己暗示」
ブラッキーの目が光り、フローリアを見据える。
「……! 自己暗示……」
僅かに表情を引きつらせるマゼンタ。
「あら、その反応だと、ブラッキーに何が起こったか分かってるみたいね」
自己暗示は、相手のポケモンの能力変化をそのままコピーする技。つまり、
「今のあたしのブラッキーは、特攻が最大って事」
とは言え、どちらも特攻が最大なら、元の特攻が高いフローリアに分がある。
だからこそ、ラピスはそのための技も用意している。
「次よ。ブラッキー、バークアウト」
ブラッキーはフローリアを睨むと、捲し立てるような大声を上げる。
威力自体はそう高くない技だが、特攻が最大まで上がっているブラッキーが放つと、そこそこのダメージが入る。
しかし、一番厄介なのは、
「う……特攻が下がってしまうんか、こら辛いわ……」
バークアウトは、ダメージに加え、相手の特攻を下げる能力を持つ。
「そういう事。だからあたしのブラッキーにはこの手の特殊アタッカーには絶対に負けない。そう絶対に」
ラピスは得意げに話を続ける。
「ちなみにあたしは序列六位だけど、それはこのブラッキーが相手を選ぶから。安定した強さが無いから六位なだけで、有利な相手ならこのブラッキーには天将上位のポケモンにだって勝てるわ」
ラピスは一旦息をつくと、
「じゃあ、続けましょう。ブラッキー、バークアウト」
再びブラッキーは大声を上げ、フローリアの特攻をもう一段階下げる。
「そんならまた上げるだけやで。フローリア、悪巧み!」
「させないわ。ブラッキー、悪の波動」
フローリアは脳を活性化させようとするが、それよりも早くブラッキーが悪意に満ちた波動を撃ち出す。
「っ……しゃあない、フローリア、気合玉!」
咄嗟にフローリアは気合を凝縮した波動を撃ち出し、悪の波動を何とか相殺する。
「バークアウト」
しかしブラッキーはさらに咆哮し、確実にフローリアの特攻を下げていく。
「どないしよか、これ……フローリア、アイスバーン!」
フローリアは今度は氷の衝撃波を撃ち出すが、
「無駄よ。ブラッキー、サイコキネシス」
ブラッキーが放つ強い念力の波によって、相殺されてしまう。
「そこやで! 悪巧み!」
そこの隙を突き、フローリアは脳を活性化し、特攻を二段階上げ直す。しかし、
「だから無駄よ。ブラッキー、バークアウト」
ブラッキーの放つ咆哮により、再び特攻を下げられてしまう。
「そろそろ諦めてもらおうかしら。ブラッキー、悪の波動」
「諦めんで! フローリア、気合玉!」
ブラッキーの放つ悪意に満ちた波動を、フローリアは気合を凝縮した弾を放ち、相殺する。
「サイコキネシス」
しかしブラッキーが強い念力の波を起こし、攻撃後で隙が出来ていたフローリアを吹っ飛ばす。
特攻が最大のサイコキネシスは、それこそ非常に強力な威力だった。
ブラッキーの元の特攻が低いため、まだフローリアは倒れていないが、それでも次にもう一撃受けると、流石に危ない。
「これがあたしの得意戦術。他力本願の頂点よ。じゃ、そろそろ決めましょうか」
ラピスは勝ち誇ったような笑みを浮かべ、
「ブラッキー、悪の波動!」
その瞬間。
ブラッキーが悪意に満ちた波動を放つ直前で、八階の壁が吹き飛んだ。