二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第四十四話 激流 ( No.101 )
- 日時: 2013/08/15 14:05
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「最後は頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンはやはりポッチャマ。
「ふん、軟弱そうなポケモンだ。その程度で我に勝てるとでも?」
「言っとくけど、こいつは進化してなくても僕の手持ちの中で一番強いエースなんだぜ。甘く見ないでほしいね」
「ならば、その力を見せてみよ! ガルラーダ、悪の波動!」
「上等! ポッチャマ、水の波動!」
ガルラーダは悪意に満ちた波動を、ポッチャマは水の力を溜め込んだ波動を放つ。
お互いにせめぎ合うが、やがて水の波動が悪意の波動を打ち破り、ガルラーダを捕らえる。
「それならば、ブレイブバード!」
遠距離戦は不利だと判断し、ガルラーダは蒼い炎をまとって突貫する。
「ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
ガルラーダの激突する直前、ポッチャマは跳び、その体に水をまとってガルラーダを追う。
ブレイブバードの勢い故、ガルラーダは急に曲がることが出来ない。攻撃を避けられず、弱点である背中の殻にポッチャマが激突する。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
弱点に一撃を受けて地面へと落ちるガルラーダ目掛けて、ポッチャマは冷気の光線を放ち、ガルラーダを凍りつかせてしまう。
「とどめだ! ドリル嘴!」
最後にポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように高速回転しながら突っ込む。
ガルラーダの氷を砕き、背中の殻に嘴の一撃を喰らわせた。
氷は砕け散ったが、ガルラーダが動く気配はない。戦闘不能だ。
「ガルラーダ、よくやった。任務は果たしたな」
トパズはガルラーダをボールに戻し、最後のボールを取り出す。
「ではこれで最後だ。征服せよ、エーフィ!」
トパズの最後のポケモンは、四足歩行の獣型のポケモン。薄紫の美しい体毛を持ち、額には赤い玉が付いている。細くしなやかな体躯に、二又に分かれた尻尾を持っている。
太陽ポケモンのエーフィ、エスパータイプだ。
「では行こうか。エーフィ、サイコショック!」
エーフィは額の紅玉を光らせ、念波を起こす。その念波を実体化させて、ポッチャマへと撃ち出す。
「ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
襲い来る念波を避けると、ポッチャマは水をまとって突撃する。
「エーフィ、回避!」
「そこだ! ポッチャマ、水の波動!」
エーフィは素早く飛び退いてポッチャマの突撃を避けるが、瞬時にポッチャマはアクアジェットを解き、水の力を凝縮した波動を放つ。
今度はエーフィは避けられず、波動の直撃を喰らう。
「そのポッチャマは物理・特殊両方を使いこなせるようだな。我のエーフィは物理アタッカーや状態異常・能力下降を駆使するポケモンに強いのだが、特殊も使われると少し手強いか」
「言ったろ、エースだってな。ポッチャマ、ドリル嘴!」
「物理には強いと言ったはずだ。エーフィ、リフレクター!」
ポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら突っ込む。
対してエーフィは周囲に光る壁を作り上げる。
ドリル嘴はリフレクターに威力を削がれ、エーフィへと届くころには大分威力を軽減されてしまっていた。
「エーフィ、シャドーボール!」
エーフィは影の弾を発射する。
威力が弱められたドリル嘴を打ち破り、ポッチャマは影の弾を喰らって吹っ飛ばされる。
「だったらポッチャマ、冷凍ビーム!」
「エーフィ、サイコショック!」
ポッチャマの放つ冷気の光線は、エーフィの実体化された念波に打ち消される。
「アクアジェット!」
ポッチャマは再び水をまとって突貫するが、
「無駄だ」
光の壁に阻まれ、アクアジェットの威力は削られてしまう。
「っ!?」
「知らなかったのか? リフレクターや光の壁、神秘の守りは、使った後もしばらく効果が続く。エーフィ、シャドーボール!」
エーフィは影の弾を放ち、向かってきたポッチャマを逆に吹き飛ばす。
「くっそ……だったら特殊技しかないな。ポッチャマ、水の波動!」
何とかポッチャマは体勢を立て直し、水の力を込めた波動を放つ。
「エーフィ、躱してサイコショック!」
横へと逸れてエーフィは水の波動を避けると、実体化させた念波を放って反撃する。
今度は先ほどとは違い、いくつもの念波がそれぞれ違う軌道を描いて飛んでくる。
「回避は出来ないか……だけど相殺なら問題ないはずだ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは嘴を伸ばし、その場でドリルのように高速回転する。
襲い来る念波は、ドリルのような回転によって全て打ち消される。
「これならどうだ! ポッチャマ、そのまま冷凍ビーム!」
高速回転しながら、ポッチャマは冷気の光線を撒き散らす。
先ほどのエーフィの念波のように、冷気の光線がばらばらの軌道を描いて放たれる。
しかし、エーフィはこれだけの技を一度に相殺できるような技は持っていない。
「ほう。エーフィ、避けられるだけ避けろ!」
それでもエーフィは次々と身を捻って光線を躱していくが、途中で冷気の光線が足に命中し、足が凍り付いてしまう。
そうなるともうエーフィは動けない。そのまま四肢が氷漬けになり、エーフィは地面に縫い留められてしまう。
「そこだぜ! ポッチャマ、水の波動だ!」
ポッチャマは水の力を込めた波動を放つ。
エーフィは四肢が氷漬けにされ、絶対に避けることは出来ない。
しかし、
「舐めるな! エーフィ、電磁砲!」
エーフィの額の紅玉が光り、電撃の砲弾が作り出される。
バチバチと破裂音を上げながら、その砲弾は勢いよく放たれる。
水の波動など、難なく粉砕されてしまう。
「まずいっ! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
咄嗟にポッチャマは冷気の光線を放ち、少しでも威力を軽減させるが、電磁砲を止めるには至らなかった。
電撃の砲弾がポッチャマに命中し、ポッチャマはその場に崩れ落ちる。
「む、まだ倒れていないのか。咄嗟に放った冷凍ビームが功を奏したようだな」
しかし、とトパズは続け、
「そのポッチャマも満身創痍のはずだ。次で決めさせてもらおう」
「くっ……」
ポッチャマは何とか起き上がるが、避けることは出来ないだろう。
「エーフィ、サイコショック!」
エーフィが宙に念動力を浮かべた、その時、エーフィの身を守る、リフレクターが消滅した。
「リフレクターの効果が切れたか。まあ関係ないな。次で貴様は終わりだ! エーフィ、放て!」
次の瞬間、宙に浮かぶ念動力が実体化する。ポッチャマ目掛けて、一直線に念波が放たれる。
「まだだ」
しかし、まだレオは諦めていない。
ポッチャマは立ち上がった。それだけで十分だ。
戦闘不能にさえなっていなければ、レオも、そしてポッチャマも、絶対に諦めたりしない。
「輝天のトパズ。もし、お前が」
レオが言葉を紡ぐとともに、
「ここで勝てると思っているのなら。このコウホクシティを、支配し続けられると思っているのなら」
ポッチャマを、青い水のオーラが包み込む。
「そんなお前を、僕が超えてみせる! ポッチャマ、アクアジェット!」
ポッチャマは最後の力を振り絞り、特性の力を借りて、激しい荒波のような激流をその身にまとう。
そのまま一直線に、すざましい勢いで突貫する。
もろに念波を浴びるが、それ如きでポッチャマの勢いは止まらない。
躱す間もなく、エーフィは吹っ飛ばされ、壁に激突した。
「ッ、エーフィ!」
地面に崩れ落ちたエーフィは、戦闘不能となっていた。
そして、
「……ポッチャマ、よく頑張ってくれたな」
エーフィが倒れた直後、ポッチャマも力を使い果たし、地面に倒れてしまった。
トパズはエーフィをボールに戻すと、レオの方を振り向く。
「そのポッチャマ、かなりの腕前だった。進化していないという理由だけで、その力を見限ってしまった我を許せ」
素直にトパズは、レオへと頭を下げた。
「え? あ、ああ。この町を解放するなら、そのことは許してやってもいいぜ」
敵からの突然の謝罪に驚くレオだが、すぐに調子を取り戻す。
「だけど、N・E団としてのお前を許すわけにはいかない。お前は今まで会ったN・E団の中ではまともみたいだけど、それでもだ」
「分かっている。だが、我はここで捕まるつもりはない」
「なに?」
その刹那。
九階の壁が、まとめて吹き飛んだ。
「何だ!?」
「来たか」
驚いて身を屈めるレオと、全く動じずに後ろを振り向くトパズ。
そこにあったのは、大きなコンテナが付いた、黒い飛行機。側面には、N・E団の紋章が描かれている。
「これはこれはお久しぶりです、レオ君」
突然、飛行機の中から声が響く。
「この声は……蒼天のソライト!?」
マイクを使って、内部から喋っているのだろう。
「我がN・E団の科学力の産物の一つ、N・E空中輸送ドッグです。ちなみに私は今回は仲間の回収に来ただけなので、ご安心を。戦いに加わるつもりはありません。トパズ、行きますよ。夜天のラピスも貴方の下っ端軍も、既に乗り込んでいます」
「了解だ」
その直後、コンテナが開き、トパズはその中へと飛び乗る。
「では、さらばだ!」
N・E空中輸送ドッグは旋回し、遥か彼方へと飛び去って行った。