二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第四十八話 怪力 ( No.111 )
- 日時: 2013/08/15 14:09
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「頼んだぜ、ヘラクロス!」
レオの三番手はヘラクロス。下っ端撃退で出たことはあるが、ポケモンバトルはこれが初陣である。
「なるほど、ヘラクロスか。しかし、チャーレムはエスパータイプを持つ上に、こちらにはリフレクターがある。それを知っていながらヘラクロスを出すということは、何か対策があるのだろう」
「さあ、それはどうでしょうね。やってみないと分かりませんよ」
レオの返しの言葉に、そうだな、とカラタチは頷き、
「だったら見せてもらおう。チャーレム、サイコカッター!」
腕を縦に振り、チャーレムは念力の刃を飛ばす。
「ヘラクロス、躱して燕返し!」
上空へ飛び上がり、ヘラクロスは念力の刃を避けると、そのまま羽を水平に広げ、チャーレムへと突撃する。
「飛行タイプの必中技だな。それならば、チャーレム、リフレクター!」
必中技の回避は不可能。だからチャーレムは光る透明の壁を作り上げ、ヘラクロスの燕返しの威力を弱めようとする。
しかし。
「かかりましたね! ヘラクロス、瓦割り!」
突撃の勢いを残しつつ、ヘラクロスは自慢の角をチャーレム目掛けて振り下ろす。
その一撃で、リフレクターが粉々に砕け散った。
遮るものがなくなり、チャーレムは角の一撃をまともに喰らって吹っ飛ばされる。
「……ッ! 瓦割りを持っていたか!」
瓦割りは、文字通り瓦や壁を破壊することに特化した威力を持つ。
だから、光の壁やリフレクターを砕いて攻撃することが出来るのだ。
「決めるぞ! ヘラクロス、辻斬り!」
吹っ飛ばされるチャーレムを追ってヘラクロスは飛ぶ。
チャーレムの後ろへと回り込むと、鋭い爪を一瞬で振り抜き、チャーレムは地面へと落ち、戦闘不能となる。
「チャーレム、よく頑張った。ゆっくり休め」
カラタチはチャーレムを戻し、ヘラクロスを見据える。
「そのヘラクロス、なかなかのパワーを持っているようだな。特に馬力においては、私の格闘タイプに勝るとも劣らない」
「はい。僕のヘラクロスは、僕の手持ちの中で一番の怪力ですから」
「ガハハハハ! そうかそうか、それなら私の次のポケモンはこいつで確定だな!」
豪快に笑い、カラタチは次のボールを取り出す。
「気持ち入れていけよ、ググズリー!」
カラタチの三番手は、熊のような緑色の獣型のポケモン。
猛獣ポケモンのググズリー。ノーマル・格闘タイプ。
「ノーマルタイプだからと言って、このググズリーを甘く見るなよ。こいつはパワーだけなら私のポケモンの中で一番だからな」
カラタチの言葉に呼応するように、ググズリーは吼える。
「確かに、見るからにパワータイプですって感じだな……ヘラクロス、油断できないぞ」
レオの言葉に、ヘラクロスは、分かっている、とでも言うように角を振り上げる。
「よっし! ヘラクロス、瓦割り!」
角を構えて、ヘラクロスは飛ぶ。
ググズリーの真上から勢いよく角を振り下ろし、壁をも容易く破壊できる威力を持つ一撃をググズリーへと繰り出す。
対して、
「ググズリー、ぶち壊す!」
腕を振り回し、十分に勢いがついたところで、ググズリーは襲い来るヘラクロスの角目掛けて渾身のパンチを放つ。
互いの一撃が激突し、火花を散らしながら拮抗するものの、その時間は短く、すぐに決着が付いた。
ググズリーの拳が、ヘラクロスの角の勢いを突破し、そのままヘラクロスを吹っ飛ばした。
「! ヘラクロスが、パワーで負けた……!」
ググズリーの拳は拮抗中に軽減したようで、ヘラクロスは吹っ飛ばされたが、空中で素早く体勢を整える。
しかし、今のググズリーの一撃のパワーは桁違いだ。
ヘラクロスが格闘タイプでぶち壊すは悪技故に、効果今一つではあるが、そうでなければまともに喰らえば致命傷は避けられないだろう。
「ググズリー、サイコパンチ!」
ググズリーは拳を握りしめ、その手に念力を宿す。
拳をその場で思い切り振り、拳の形をした衝撃波がヘラクロスへと飛んでくる。
「ヘラクロス、辻斬り! 打ち消すぞ!」
襲い来る拳の波動に対し、ヘラクロスは鋭い爪を振り抜き、拳を切り裂く。
サイコパンチがエスパー技なのに対し、辻斬りは悪技なので、簡単に破ることができる。
「ヘラクロス、次は燕返し!」
高く飛び上がり、ヘラクロスは翅を広げてググズリーへと猛スピードで突撃する。
絶対に躱せないはずの一撃だが、しかし、
「ググズリー、穴を掘る!」
素早くググズリーは地面をかき分け、床の中へと潜り込んでしまう。
標的を逃したヘラクロスは、何とか地面へと激突する寸前で止まる。
しかし次の瞬間、ヘラクロスの足元の地面が割れ、ググズリーの拳が突き出される。
真下からの直撃を喰らい、ヘラクロスは吹っ飛ばれるが、
「それくらいどうってことないぞ! ヘラクロス、瓦割り!」
逆さまに吹っ飛ばされていたヘラクロスは、それを利用し、角を勢いよく振るって反撃、ググズリーを吹っ飛ばす。
「おお、やるではないか! このタイミングで攻撃が出来るとはな!」
突然の不意打ちを食らい、ググズリーの体勢は大きく崩れる。
その間に、ヘラクロスは空中で体勢を整え直す。
「動きを止めるぞ! ヘラクロス、岩雪崩!」
ヘラクロスはググズリーの真上に無数の岩を浮かべ、その岩を一斉に落とす。
「忘れたか! こいつは私のポケモンの中で一番の怪力だぞ! ググズリー、ぶち壊す! 全て打ち返せ!」
あろうことかググズリーは腕を振り回し、上から落ちてくる岩を次々とヘラクロスへと打ち返していく。
しかし、
「カラタチさんこそ忘れてませんか! 僕のヘラクロスも、僕の手持ちの中で一番の怪力なんですよ! ヘラクロス、瓦割り!」
ヘラクロスとて、ググズリーのパワーに引けを取らない。
角を次々と振るい、岩を尽く粉砕していき、
「ヘラクロス、燕返し!」
翅を広げ、ヘラクロスはググズリーへと突貫する。
「ググズリー、穴を掘る!」
対して、ググズリーは地面を掘り、穴に潜ってしまうが、
「その手はもう通じませんよ! ヘラクロス、岩雪崩!」
地面が割れ、ググズリーが跳び出そうとするそこへ、ヘラクロスは無数の岩を落とし、ググズリーの動きを塞いでしまう。
「この程度効かん! ググズリー、突破せよ! ぶち壊す!」
岩の内側から、強引に拳を振るい、ググズリーは岩をぶち破って脱出。
「そこだ! ヘラクロス、瓦割り!」
その隙をレオは逃さない。
ヘラクロスは思い切り角を振り下ろし、動きの止まったググズリーに思い切り叩きつける。
「ぬうっ、ググズリー!」
強烈な一撃を喰らい、ググズリーは大きく吹っ飛ばされる。
「チャンスだ! ヘラクロス、燕返し!」
吹っ飛んでいくググズリーを追い、ヘラクロスは翅を広げ、猛スピードでググズリーに突っ込んでいく。