二次創作小説(紙ほか)

Re: 第四十九話 波導 ( No.112 )
日時: 2013/08/15 14:10
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

吹っ飛ばされるググズリーに、翅を広げたヘラクロスが角を構えて襲い掛かる。
燕返しは必中技のため、回避は出来ない。
ヘラクロスの突貫をまともに喰らい、再びググズリーは吹っ飛ばされる。
はずだったのだが。

「お前の根性を見せつけてやれ! ググズリー、爆裂パンチ!」

大きく体勢が崩れているのにも関わらず、ググズリーは思い切り腕を振り回し、一際強烈な拳の一撃を放った。
突っ込んでくるヘラクロスへと直撃し、次の瞬間、拳の一撃を与えたところが爆発する。
「ッ!? ヘラクロス!」
予想外の強烈な一撃を喰らい、逆に大きく吹っ飛ばされてしまうヘラクロス。
「よーし、ググズリー、いい根性だ! このまま決めるぞ! ぶち壊す!」
再び腕を振り回しながら、ググズリーはヘラクロスとの距離を一気に詰めていく。
「くっそ、まだだ! ヘラクロス、岩雪崩!」
床に倒れながらも、ヘラクロスはググズリーの頭上に無数の岩を出現させ、その岩を一斉に落とす。
「どうということはない。ググズリー、全て壊せ!」
拳を連続で振るい、ググズリーは次々と岩を粉砕していく。しかしその隙に、ヘラクロスは何とか体勢を立て直す。
「ヘラクロス、ググズリーの体力ももう残り少ないはずだ。次で決めるぞ」
レオの言葉に応えるように、ヘラクロスは立派な角を振り回す。
「よし! ヘラクロス、瓦割りだ!」
翅を広げ、低空飛行でヘラクロスは突撃する。自慢の角を、ググズリー目掛けて叩きつける。
「正面衝突で来るか、面白い! ではこちらも行くぞ、ググズリー、爆裂パンチ!」
ググズリーも腕を思い切り振り回し、拳を強く握りしめ、ヘラクロス目掛けて渾身の拳の一撃を繰り出す。
角と拳が激突する、その瞬間。

「ごめんなさい、正面勝負じゃないんですよ! ヘラクロス!」

地面を蹴って、ヘラクロスは飛び上がる。
ググズリーの拳は、ヘラクロスを捕らえられず、そのまま勢い余った拳の一撃は床に叩き込まれることとなる。
「っ! まずい、ググズリー、上だ!」
「遅いですよ! ヘラクロス、瓦割り!」
爆裂パンチは非常に強力な技だが、すざましい勢いをつけて殴りかかるため、行動後に多少の隙が出来てしまう。
そして、その隙はヘラクロスが一撃を叩き込むためには十分すぎる時間だった。
ヘラクロスの角の一撃がググズリーの脳天を捕らえ、ググズリーは雄叫びを上げ、その場に崩れ落ち、戦闘不能となった。
「なるほど、裏をかかれたか。ググズリー、よくやった。お前の根性は見届けたぞ」
ググズリーをボールに戻し、カラタチは最後のボールを取り出す。
「分かっているだろうが、こいつは私のエースだ。ハンタマの俊敏な動きについていくことができ、チャーレムの複雑な戦術を正面から対処でき、ググズリーの強烈な一撃を容易く受け流すことの出来るポケモンは、こいつだけだと自負している」
「そうこなくっちゃ。強い相手じゃないと、面白くありませんよ」
「ガハハハハ! そうでなくてはな。さあ面白くなってきたぞ、それでは、私のエースを見せてやろう!」
ボールを取り出し、カラタチはそのボールを高く放り投げる。
「全ての力を出し切るぞ、ルカリオ!」
カラタチの最後のポケモンは、獣人のような姿のポケモン。
体型こそ人間に近いが、狼のような頭部を持ち、後頭部には四つの房があり、手の甲と胸には棘状の角が付いている。
ルカリオ、波導ポケモン。鋼・格闘タイプ。
「このルカリオは強いぞ。一番のエースであると同時に、昔から私と共に幾多の敵を倒してきた、私の最初のポケモンでもあるからな」
カラタチの言葉と共に、ルカリオはゆっくりと右手をかざす。
次の瞬間。
ボッ! と、その右手から蒼い波導が噴き出す。
「強そうなポケモンだな。だけどやってやる! ヘラクロス、行くぞ! 瓦割りだ!」
角を構えて、ヘラクロスはルカリオ目掛けて飛ぶ。一気にルカリオとの距離を詰め、角を叩きつける。
しかし。
「躱せ」
その一言で、ルカリオはほんの一瞬で横へ逸れる。
残像が残るほどの速さで、ヘラクロスの角の一撃を躱し、なおかつ、
「波動弾!」
ルカリオは自分の攻撃の間合いを崩していない。
構えた右手から波導を凝縮した弾が放たれ、ヘラクロスへと直撃した。
ググズリー戦で体力が残り少なかったヘラクロスは、波動弾の直撃を喰らって吹っ飛ばされ、戦闘不能となってしまう。
「ヘラクロス、よくやった。あとはポッチャマが勝ってくれる」
ヘラクロスを戻し、レオは最後のボールを取り出す。
「やっぱりお前が決めるしかないよな! 頼んだぜ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンは、エースのポッチャマ。
「僕のポッチャマは、確かに進化していません。だけど、そんなことを理由でこいつを見くびらないでくださいね。こいつは僕の手持ちの中で一番強いんですよ」
「ガハハハ! それくらい、そのポッチャマを見れば分かる。それに、私は全力で向かってくるトレーナーに対して、絶対に手を抜くことは無い。なあ、ルカリオ!」
ルカリオは小さく頷き、蒼い波導を纏った右手を構え、ポッチャマをじっと見据える。
ポッチャマも、一歩も引くことなく、むしろこっちが前へ出るかのように、ルカリオを睨み付ける。
そして。
「ポッチャマ、アクアジェット!」
「ルカリオ、神速!」
直後、二体は動いた。
ポッチャマは水をその身に纏い、ルカリオは地を蹴り、最早その動きを目で追うことが出来ないくらいのスピードでポッチャマを迎え撃つ。
双方の一撃が、交錯する。