二次創作小説(紙ほか)

Re: 第五十話 波導の勇者 ( No.115 )
日時: 2013/08/15 14:14
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

空中で交錯したポッチャマとルカリオは着地すると、すぐに攻撃体勢に入る。
「ルカリオ、悪の波動!」
「ポッチャマ、躱してドリル嘴!」
ルカリオが両手を構え、悪意に満ちた波動を噴射するが、ポッチャマは上に跳び上がって波動を躱し、そのままドリルのように嘴を回転させながら突っ込む。
「ルカリオ、龍の波動!」
だがルカリオはその構えた両手を崩さずに、龍の力を溜め込んだ球状の波動を放ち、ポッチャマの一撃を相殺すると、
「波動弾!」
ルカリオの両手を覆うオーラが渦巻き、みるみるうちに凝縮されていく。
「まずい! ポッチャマ、水の波動!」
波動弾の特性、すなわち回避不可能ということをレオは瞬時に思い出す。
咄嗟にポッチャマが水の力を溜め込んだ球状の波動を放つと同時、ルカリオの両手からその波動の弾が発射される。
二つの波動の弾が激突する。互いに激しく競り合うが、やがてルカリオの波導弾が水の波動を打ち破り、ポッチャマに直撃する。
「おお! そのポッチャマも波動使いか! なるほど、これは面白くなってきた。ルカリオ、この勝負は負けられんぞ!」
「ハハッ、ポッチャマ、どうやらお前は波動使いらしいぜ。だったら、目の前に立つ波導の勇者を打ち負かしてやろうぜ!」
「ガハハハハ! そう来なくてはな! ルカリオ、神速!」
ルカリオは低く体を構える。
次の瞬間、残像すら残るほどのスピードでルカリオは跳び出し、一瞬ののちにはポッチャマを吹っ飛ばしていた。
「追撃だ! ルカリオ、龍の波動!」
吹っ飛ぶポッチャマへとルカリオは照準を合わせて手を構え、龍の力を溜め込んだ球状の波動を放つ。
「ちっ、ポッチャマ、冷凍ビーム!」
何とかポッチャマは冷気の光線を発射し、龍の波動を相殺。
「攻撃の手を緩めるな! ルカリオ、悪の波動!」
「そうはさせませんよ! ポッチャマ、アクアジェット!」
ルカリオはさらに悪意に満ちた波動を噴射し、追撃をかけるが、ポッチャマは瞬時に体に水を纏い、その勢いを利用して悪の波動の軌道から逃れる。
そのままポッチャマは弧を描くように突撃、ルカリオの横腹に突進し、ルカリオを吹っ飛ばす。
「っし! ポッチャマ、水の波動!」
「させん! ルカリオ、波動弾!」
ポッチャマは水の力を溜め込み、波動として発射するが、それと同時にルカリオの両手のオーラが渦巻き、ルカリオは吹っ飛ばされながら波動弾を放った。
しかし体勢が悪く、上手く狙ったところに発射出来ず、結果としてルカリオは水の波動の直撃を喰らってしまう。
「よっしゃ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
そのままポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら地を蹴って跳び、ルカリオ目掛けて突っ込む。
しかし、
「甘いぞ!」
カラタチがそう叫んだ直後、ポッチャマが地面に叩きつけられた。
「!? 何が…………ッ、分かったぞ! 波動弾!」
「その通りだ! 波動弾が必中技だと、すっかり忘れていたようだな」
先程のルカリオの波動弾の打ちミスはブラフ。というか、そもそも打ちミスですらない。
ルカリオの体勢を崩しておき、こちらに注意を向けさせることで、わざと波動弾を注意から遠ざけたのだ。
そして、その間にルカリオは体勢を立て直すと、
「反撃だ! 神速!」
ルカリオは構えを作ると、次の瞬間には残像を残すほどのスピードで突撃し、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「龍の波動!」
体勢が崩れたところに、すかさずルカリオの龍の力を溜め込んだ波動の一撃。
「ッ、冷凍ビーム!」
ポッチャマは何とか冷気の光線を放ち、辛うじて龍の波動を相殺。
どうやら、神速で体勢を崩し、そこから波動を使った強力な攻撃で追撃するのがルカリオのバトルスタイルの軸のようだ。
「隙を与えるな! ルカリオ、神速!」
「そうはさせないぞ! ポッチャマ、アクアジェット!」
さらにルカリオは残像を残しながら突っ込んでくるが、ポッチャマも瞬時に水を纏い、ルカリオを迎え撃つ。
「私のルカリオの神速に追いつけるとは、なかなかの技を持っているな。ルカリオ、波動弾!」
「ポッチャマ、水の波動!」
ルカリオは両手を渦巻くオーラを球状の波動として撃ち出し、対するポッチャマは水の力を凝縮させた波動を放つ。
二つの波動は正面衝突し、爆発を起こして相殺される。
「ドリル嘴!」
その爆発の煙の中を、ポッチャマは疾走する。
その勢いのまま地を蹴って跳び、伸ばした嘴をドリルのように回転しながら突っ込む。
しかし、
「目くらましは通用せんぞ! ルカリオ、悪の波動!」
まるでポッチャマの位置が正確に分かっているかのように、ルカリオは両手を構え、煙の中で見えないはずのポッチャマへ悪意に満ちた波動を撃ち出す。
悪の波動は他の波動の技と違い、波状であるため、ドリル嘴のような単発の技では完全に相殺する事ができず、威力は弱めたものの、ポッチャマは吹っ飛ばされる。
「ルカリオは波導を司るポケモンだ。だから、例え敵がどこかに隠れようが、今のように目くらましをしかけて来ようが、ルカリオは敵から放たれる微力な波導を察知する事が出来るのさ」
自慢げにカラタチはそう言い、そして、
「ルカリオ、龍の波動!」
ルカリオは構えた両手から、龍の力を凝縮した波動を撃ち出す。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
対してポッチャマは冷気の光線を放ち、龍の波動を破壊すると、
「アクアジェット!」
水を纏い、一直線にルカリオ目掛けて跳ぶ。
ルカリオは攻撃直後ですぐに動けず、直撃を喰らって吹っ飛ばされる。
「水の波動!」
間髪入れず、ポッチャマは水の波動を放って追撃。吹っ飛ぶルカリオに、さらに波動が命中する。
「ぐっ、ルカリオ! まだやれるよな!」
連撃を喰らったルカリオだが、まだ何とか起き上がる。
「決めるぞ、ポッチャマ、アクアジェット!」
すぐさま水を纏い、ポッチャマはルカリオへととどめを刺しにかかる。
しかし、
「ルカリオ、神速!」
ルカリオは体勢を作り、次の瞬間、上へと跳び上がった。
「悪いが、決めさせてもらうのはこっちだ! ルカリオ、準備はいいな!」
カラタチがそう言った刹那。
ルカリオの体全体が、すざましい量の蒼い波動に包まれる。
そして。

「ルカリオ、波動弾!」

体中のオーラを両手に集中させて、ルカリオはポッチャマ目掛けて、大量の波動弾を発射する。
「!? 嘘だろ……何だこれ!?」
言うなれば、波動の流星か。
そして、その瞬間、レオはあることを思い出し、戦慄する。
(波動弾は……回避不可能!)
レオが思い出した瞬間、波動の流星は一斉に軌道を変えてポッチャマを狙ってくる。
「やるしかねえ! ポッチャマ、最大火力でアクアジェット! ルカリオだけを狙え!」
レオもポッチャマも覚悟を決める。
ポッチャマは今までより多量の水を纏い、ルカリオに狙いを定めて突貫する。
体に刻み込まれるダメージを気にもせず、降り注ぐ波動弾を次々と粉砕し、ポッチャマはルカリオへと激突した。
双方は同時に着地する。しかし、着地の直後、ポッチャマの体がふらつく。
水を纏っていたとは言え、無数の波動弾を浴びたのだ。ダメージはかなりのものだ。
しかしルカリオも肩で息をつき、両手を覆う波動がより濃くなっている。
ルカリオは自身が傷つくほど、波動の力を増幅させるのだ。
「ルカリオ、神速!」
刹那、ルカリオが動いた。体勢を屈めると、残像すら残るほどのスピードで突撃する。
だが、その瞬間。
ポッチャマの体が、激流のような蒼いオーラに包まれる。
特性、激流が発動したのだ。
そして。

「その瞬間を待ってた! ポッチャマ、アクアジェット!」

激流を纏い、ポッチャマは突撃する。
ポッチャマとルカリオが激突するが、その荒れ狂う大波を纏ったポッチャマの一撃が、ルカリオを跳ね飛ばす。
「とどめだ! ポッチャマ、水の波動!」
先程のルカリオのように、体中の蒼いオーラを口元に集中させ、ポッチャマは水の力を最大まで凝縮した水の波動を撃ち出す。
一直線に跳ぶ水の波動が、吹っ飛ぶルカリオを容赦無く捕らえ、ルカリオはさらに吹っ飛び、壁に激突する。
「っ、ルカリオ!」
ルカリオの体から、蒼い波導が消えた。
それは、ルカリオの戦闘不能を意味していた。



「見事な戦いだった。私の完敗だ」
カラタチはそう言って、豪快に笑う。
「ガハハハハ! それにしても、最後のポッチャマの激流の力はすざましいものだったな。私のルカリオの波動に匹敵するオーラを出せるポケモンなど、殆どいないのだから、そのポッチャマはかなりの力を持っている。私が言うんだから間違いない」
そして、カラタチは、拳のような形をした、橙色バッジを取り出す。
「コウホクシティジム制覇の証、アルネブバッジだ。受け取ってくれたまえ」
「ありがとうございます!」
レオのバッジケースに、四つ目のバッジが填めこまれた。