二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第五十一話 友との戦い ( No.116 )
- 日時: 2013/08/15 14:15
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
カラタチに勝利し、四つ目のバッジを手にしたレオは、上機嫌でポケモンセンターに戻る。
「あら、随分とご機嫌な顔してるわね。その調子だと勝ったみたいだけど」
ポケモンセンターで待っていたアスカが、レオに声を掛ける。
「もちろん。ちゃんと勝利報告をしに来たぜ」
「ふうん。じゃ、これで二人ともバッジは4個ってわけね」
そう言うと、突然アスカはモンスターボールを取り出し、レオに突き付ける。
「な、なんだ?」
「よく考えたら私、まだあんたとバトったこと無いのよね。しかも今、バッジは二人とも同じ数と来た」
ここまで言われれば、ポケモントレーナーであれば次に何を言われるのかくらいはすぐに分かる。
「レオ。私と、勝負しなさい!」
そんな流れで、二人はポケモンセンター裏のバトルフィールドに来た。
「私から一つ提案なんだけど」
「あん?」
「私のバトルって、どうもエースのモウカザルに頼りがちなのよ。だから、エース無しで3対3ってのはどう?」
「ああ、いいぜ。エースにばかり頼らず戦うのも、大事だしな」
アスカのヒコザルは進化してるのか、とレオは思ったが口には出さない。
「それじゃ、バトル開始よ!」
「おう」
そして、二人は同時にポケモンを繰り出す。
「行ってきなさい、セラーナ!」
「まずはお前だ、ルクシオ!」
レオのポケモン、ルクシオに対し、アスカのポケモンは、ピンクの大きな実を人型にしたような、植物型のポケモン。頭からは蔓が飛び出ており、その先端には赤い実がついている。
セラーナ、果実ポケモン。草タイプ。
「セラーナか。ララベリーが進化したんだな」
「そーゆーこと。進化したら、途端に強くなったわ」
その強さを見せてあげるわ、とアスカは続け、
「それじゃ行くわよ! セラーナ、エナジーボール!」
セラーナは赤い実に自然の力を溜め込み、球状のエネルギーに変えて放出する。
「ルクシオ、躱して帯電!」
ルクシオは横に跳び退いてエナジーボールを躱すと、体に電気を溜め込み、攻撃と特攻を上げ、
「今度はこっちからだ! 十万ボルト!」
帯電で強化された、強烈な電撃を放つ。
「打ち消しなさい! セラーナ、エナジーボール!」
再びセラーナは赤い実から自然エネルギーの弾を発射。
お互いに競り合うが、帯電がある分やはりルクシオに部があり、エナジーボールは破られ、電撃がセラーナに命中する。
「効果今ひとつだし、どうってことないわ。セラーナ、悪の波動!」
セラーナはすぐに体勢を立て直すと、すぐさま悪意に満ちた波状の波動を放って反撃。
「ルクシオ、躱してアイアンテール!」
ルクシオは大きく跳び、悪の波動を躱しつつセラーナの上を取り、そこから鋼鉄のように硬化させた尻尾をセラーナ目掛けて振り下ろす。
「そんな単調な攻撃効かないわ! セラーナ、横に躱して悪の波動!」
素早くセラーナは横に逸れ、アイアンテールを躱すと、悪意に満ちた波動をルクシオへと発射する。
だが、
「これで終わらないぜ! ルクシオ!」
ルクシオは横へ、すなわちセラーナへと、更に尻尾を振るう。
悪の波動と激突し、お互いに相殺される。
「エナジーボール!」
しかしこの後の動きはアスカの方が早かった。
セラーナはこの至近距離で自然エネルギーの弾を撃ち出す。
流石にこの近距離では躱せず、ルクシオは直撃を喰らって吹っ飛ばされる。
「追撃よ! 気合玉!」
セラーナは気合を一点に集中させ、弾としてルクシオへと投げつける。
「まずいっ、ルクシオ、十万ボルト!」
体勢を崩しながらも、ルクシオは強い電撃を発射し、何とか気合玉を相殺する。
「まだ終わらないわよ。悪の波動!」
さらにセラーナは悪意に満ちた波動を放ち、まだ体勢の整っていなかったルクシオを吹き飛ばす。
「畳み掛けなさい。エナジーボール!」
「好き勝手させないぜ! ルクシオ、辻斬り!」
セラーナは自然の力を込めた弾を放つが、ルクシオは何とかこれを躱し、その直後、一瞬でセラーナとの間合を詰め、セラーナの横を通り過ぎながらセラーナを切り裂く。
「怯んじやだめよ! セラーナ、気合玉!」
横腹を切り裂かれたセラーナだが、ダメージを耐えつつ、すぐに反撃に移る。
手の一点に気合を集中させ、その気合を弾として投げつける。
「ッ、十万ボルト!」
ルクシオは振り向き、高電圧の強力な電撃を撃ち出す。
気合玉とぶつかり合うが、十万ボルトの方が強かった。
気合玉を破壊し、襲い来る電撃を、セラーナは横へと跳んで躱す。
「うーん、やっぱり帯電がきついわね……生憎、この子は積み技は持ってないし」
そんな事言ってても仕方ないわね、とアスカは続け、
「セラーナ、エナジーボール!」
セラーナは赤い実に自然の力を溜め込み、エネルギーの弾を撃ち出す。
「打ち返せ! アイアンテール!」
しかしルクシオは硬化させた尻尾を横薙ぎに振るい、放たれたエネルギー弾をセラーナへと打ち返してしまう。
「構わないわ! もう一発よ!」
返されたエナジーボールを躱し、前に出ると、再びセラーナは赤い実からエネルギー弾を発射。
「十万ボルト!」
今度はルクシオは高電圧の強力な電撃を放ち、エナジーボールを破壊し、さらにセラーナへと電撃を飛ばす。
「躱して悪の波動!」
ルクシオ目掛けて走りながら、セラーナは身を屈めて十万ボルトを躱すと、さらに間合いを詰めて悪意に満ちた波動を発射する。
「ルクシオ、躱して上からアイアンテール!」
対してルクシオは真上に跳び、落下の勢いも利用して、硬化させた尻尾をセラーナへ叩きつける。
しかし。
「掛かったわね! セラーナ、ルクシオを捕らえなさい!」
セラーナの頭から飛び出ている蔓が伸びた。
次の瞬間には、ルクシオは蔓に巻きつかれ、身動きが取れなくなってしまっていた。
「どうして遠距離戦主体の私のセラーナがこうも間合いを詰めたのか、不思議には思わなかった?」
勝ち誇った表情でアスカはそう言った。
思わなかった、とは言えないレオは、返事をせずにアスカの方を見る。
「確実にルクシオの動きを止めるためよ。遠距離で戦ってても、セラーナは帯電で強化された十万ボルトに勝てる技は持ってないから、どうしても物理技、それもアイアンテールを使わせる必要があった」
辻斬りは隙が少ないからね、とアスカは続ける。
「だからセラーナに距離を詰めさせたのよ。その辺までしっかり見極めないと、私には勝てないわよ?」
確かに、アスカの作戦は見事だ。
近距離で戦われると、どうしても相手に近づいて攻撃する物理技主体になりやすい。実際、レオは今そうなった。
ルクシオは完全に動きを止められており、とても抜け出せそうに無い。
「さあセラーナ、ルクシオの体力を吸い取っちゃいなさい! ギガドレイン!」
ルクシオに巻きつく蔓が光る。次の瞬間、ルクシオが目を見開き、苦しそうに呻く。
同時に、少しづつではあるが、セラーナの傷が癒えていく。
もがくルクシオだが、蔓の拘束が緩む様子はない。
しかし。
だからと言って、これがピンチとは限らない。
「ルクシオ、十万ボルト!」
ギガドレインに苦しみながらも、ルクシオは体全体から高電圧の電撃を発する。
当然、放たれた電撃は、ルクシオにまとわりつく蔓を伝って、流れていく。
つまり、
「……! セラーナ!?」
蔓を伝って、高電圧の強力な電撃が直接セラーナに流し込まれる。
甲高い悲鳴を上げ、セラーナはのたうち回り、ルクシオの拘束が緩む。
その隙を突き、ルクシオは蔓から脱出。
「よくもやってくれたぜ。ルクシオ、反撃だ! アイアンテール!」
ルクシオは跳び上がり、痺れて蹲っているセラーナの脳天へ、硬化させた尻尾を思い切り叩きつけた。
「ッ、セラーナ!」
急所に重い一撃を喰らったセラーナは、これで戦闘不能となってしまう。
「セラーナ、よく頑張ったわ。それにしても」
アスカはセラーナをボールに戻し、
「まさかあそこで反撃されるなんてね。さっきまで大口を叩いてた自分が情けないわ」
少々悔しそうにそう言うが、すぐに次のボールを取り出す。
「でも、まだ一体目。ここからが本番よ」
「そうでないとな。そうじゃなきゃ面白くないよ」
そのレオの言葉を聞き終えると、アスカは次なるポケモンを繰り出す。