二次創作小説(紙ほか)

Re: 第五十三話 波紋 ( No.118 )
日時: 2013/08/15 14:21
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

「最後は任せたぞ、ヘラクロス!」
レオの最後のポケモンは、勿論ヘラクロス。
「速攻で行くぞ! ヘラクロス、間合いを詰めて岩雪崩!」
ヘラクロスは翅を広げると、チルット目掛けて飛び、同時にチルットの上空から無数の岩を落とす。
「これも避けきれなさそうね。回復も兼ねて、チルット、羽休め」
チルットは地面に降り、羽を折りたたむ。
岩雪崩を喰らうが、回復した上に抜群でもないので大きなダメージはない。しかし、
「瓦割り!」
チルットが飛び立つより速く、ヘラクロスの渾身の角の一撃がチルットの脳天に叩き込まれる。
「あ、しまっ……!」
飛行タイプがない今のチルットには、格闘技は効果抜群。
一撃でチルットは戦闘不能となってしまった。
「チルット、よくやったわ。戻って休んでなさい」
アスカはチルットを戻し、ふう、と息を吐くと、最後のボールを取り出す。
「はあ、やっぱり同じ作戦にずっと拘るのもダメね。それじゃ、最後は貴方に任せるわ。行ってきなさい、リオル!」
アスカの最後のポケモンは、カラタチのエース、ルカリオによく似た、獣人のようなポケモン。しかしルカリオに比べると背は低く、後頭部の房や胸の突起も小さい。
リオル、波紋ポケモン。格闘タイプで、見た目通りルカリオの進化前である。
「リオルか、なかなか珍しいポケモンだな。……もしかして、ソライト博士——いや、ソライトがくれた卵が?」
「そうよ。今思うと、悪党からポケモンを貰ったのよね私たち」
まあ別にこの子は悪くないけど、とアスカは続け、
「さ、始めましょう。言っとくけどこの子はモウカザルの次に強いからね」
「僕のヘラクロスもうちでは二番目に強いんだぜ。行くぞ、ヘラクロス!」
ヘラクロスは角を構え直し、リオルは手から波動を発し、戦闘体勢に入る。
「ヘラクロス、まずは瓦割り!」
先に動いたのはヘラクロスだった。
翅を広げ、リオルへと一直線に迫り、自慢の角を思い切り振り下ろす。
「リオル、発勁!」
対して、リオルは避けなかった。
波動を纏った掌を突き出し、角に触れた瞬間、波動を放出する。
ヘラクロスは波動を込めた掌を押し返せず、勢いが相殺される。
「やるじゃねえか。ヘラクロス、燕返し!」
ヘラクロスは今度は上空へと飛び上がり、翅を広げて突撃する。
「それなら、リオル、サイコパンチ!」
リオルは拳に念を込め、それを振り抜いて拳型の衝撃波を飛ばす。
宙でヘラクロスと激突し、お互いの技が相殺されるが、
「バレットパンチ!」
一瞬でヘラクロスの元へと接近したリオルが、弾丸のような連続パンチを放ってヘラクロスを吹っ飛ばした。
「なかなかやるな。ヘラクロス、いけるか?」
レオの問いに、ヘラクロスは答えるまでもないとでも言うかのように角を振る。
「そうこなくちゃな。ヘラクロス、瓦割り!」
再びヘラクロスは翅を広げ、リオル目掛けて飛ぶ。
「効かないわよ。リオル、サイコパンチ!」
対してリオルは拳に念を込め、拳型の衝撃波を飛ばすが、
「甘いぜ! ヘラクロス、辻斬り!」
咄嗟にヘラクロスは技を切り替える。
前脚の爪を振り抜き、拳の衝撃波を容易く切り裂くと、角を振り下ろしてリオルを叩き飛ばす。
「攻撃を緩めるなよ! 岩雪崩!」
さらにヘラクロスは無数の岩をリオル目掛けて落とし、リオルの動きを止めてしまう。
「やってくれるわね。でもこれくらいじゃ私のリオルは止められないわよ。リオル、地震!」
直後、リオルを覆う無数の岩を発信源とした地揺れが起こる。
地震の衝撃波で岩は破壊され、着地していたヘラクロスも衝撃波を喰らう。
「反撃よ! リオル、発勁!」
崩れた岩の中から、リオルが飛び出す。
波動を纏った掌をヘラクロスに押し付け、瞬間的に波動を放出し、ヘラクロスを吹き飛ばす。
「リオル、バレットパンチ!」
さらにリオルは一気にヘラクロスとの距離を詰め、弾丸のような連続パンチを打ち込む。
「ッ、ヘラクロス、燕返し!」
バレットパンチは技の出が早いのが特徴だが、その分威力は控え目。
ヘラクロスはすぐに飛び上がり、翅を広げて上空から突撃する。
「燕返しは必中技よね……リオル、サイコパンチ!」
襲い来るヘラクロスに向けて、リオルは拳を振り抜き、拳型の衝撃波を飛ばす。
「ちっ、ヘラクロス、躱して瓦割り!」
ヘラクロスは急上昇して拳を躱し、そのまま角をリオルへと叩きつける。
「躱しなさい!」
リオルは素早く後ろへと跳ぶ。
「まだだ! ヘラクロス、燕返し!」
角を地面へと打ち付けたヘラクロスだが、さらに突貫し、今度はリオルに激突する。
燕返しは飛行技。格闘タイプのリオルにはよく通る。
「手痛い一撃を貰ったわね……。リオル、勿論まだいけるわよね」
ダメージは大きいが、それでもリオルはしっかりと立ち上がる。
「よっし、気合十分! リオル、バレットパンチ!」
「ヘラクロス、迎え撃て! 瓦割りだ、
リオルは地を蹴り、一瞬でヘラクロスとの間合いを詰め、対してヘラクロスは角を振りかざす。
だが、
「発勁!」
リオルは連続パンチを放たなかった。
代わりに、波動を纏った右手をヘラクロスへと突き出す。
「まずいっ、ヘラクロス!」
ヘラクロスの角の一撃がぎりぎり間に合い、何とか発勁は相殺する。
「一発止めたくらいで安心してない? リオル、サイコパンチ!」
直後、リオルの左手が念を纏う。
拳型の衝撃波を放つのではなく、左手で直接ヘラクロスを殴り飛ばす。
効果抜群の一撃を喰らい、吹っ飛ばされるヘラクロス。
「発勁!」
「舐めんな! 岩雪崩だ!」
さらにリオルは追撃を仕掛けるが、それを遮るかのようにリオルの頭上から岩が降って来る。
ヘラクロスの体勢が崩れていたため、岩の数は少ないが、それでもリオルは止まり、岩に波動をぶつけて破壊し、その間にヘラクロスは体勢を立て直す。
「お互いにアタッカーだと、体力の消耗が激しいわね。リオルも結構疲れてきてるし」
「ヘラクロスもだな。その点カラタチさんの格闘ポケモンたちは凄いよな」
「ここを乗り切った方が勝つ。リオル、地震!」
「ヘラクロス、躱して燕返し!」リオルが地面を揺らすが、ヘラクロスは翅を広げて飛び上がり、衝撃波を躱すと、そのままリオルへと突撃する。
効果抜群の一撃が、まともにリオルへと命中。しかし、
「リオル、気合見せなさい! サイコパンチ!」
リオルは吹っ飛ばされなかった。
強く地面を踏みしめ、ヘラクロスの一撃を耐え切って見せる。
直後、拳型の衝撃波がヘラクロスを捕らえた。
ヘラクロスの方が吹っ飛ばされてしまうが、それでもヘラクロスは受身を取って起き上がる。
「これで終わりよ! リオル、発勁!」
「そうはさせねえ! ヘラクロス、瓦割り!」
刹那、双方が地を蹴って飛び出す。
リオルの波動を纏った掌と、ヘラクロスの大きな角が激突。
互いに一歩も引くことなく競り合い、そして。
爆発が起こった。
「ッ、リオル、絶対耐えるわよ!」
「ヘラクロス、ここで負けるなよ!」
煙の中の二体へと叫ぶ二人。
しかし、それは叶わなかった。
煙が晴れると、両者共に戦闘不能となって、倒れていた。


「あーあ。あんたに勝てないようじゃ、次の町に進むのは早いわね」
勝ったらツクモシティに行く予定だったんだけど、とアスカはため息を吐く。
「もう少しこの町で特訓ね。あんたはどうすんの? とは言っても、次に進むんでしょうけど」
「まあな。次のジムリーダーとも早く戦いたくてしょうがないんだよ」
「頑張りなさい。レオ、あんたなら大丈夫よ」
「おう。アスカも、元気で」
幼馴染二人は、それぞれの道に向かって歩き出す。