二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第六十一話 停止 ( No.130 )
- 日時: 2013/08/15 14:30
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「それでは始めましょうか。お出でなさい、ムウマージ!」
「まずはお前から行こうか。頼んだぜ、ルクシオ!」
シズカの先鋒は、紫色の、大きな帽子を被った魔法使いのようなポケモン。体は長いスカートのようにも見えるが、手足は無い。
マジカルポケモンのムウマージ、ゴーストタイプ。
対するはルクシオ。悪技の辻斬りがあるため、有効打はある。
「先攻は貰いますよ。ルクシオ、十万ボルト!」
ルクシオは雄叫びを上げると、高電圧の強力な電撃を発射する。
「ムウマージ、躱しなさい」
対してムウマージはふわりと浮かび上がって電撃を躱すと、
「シャドーボールです!」
ムウマージは一度に四つもの影の弾を作り出す。
その影の弾が一斉にルクシオ目掛けて放たれる。
「ルクシオ、来るぞ! 躱してアイアンテール!」
素早く横に逸れ、ルクシオは影の弾を躱し、さらに尻尾を硬化させる。
だが。
ルクシオを狙って飛んで来た四つの影の弾が、突然止まった。
「……まずい! ルクシオ!」
直感的に何が起こるかが分かった、その直後。
影の弾は軌道を変え、今度こそルクシオへと襲い来る。
咄嗟にルクシオは振り向き、硬化させた尻尾を振るうが、一つの影の弾は破壊したものの、残り三つの直撃を食らう。
「ッ……何だ、今のは?」
何人ものトレーナーと戦って来たレオだが、このような技は初めて見た。
「特訓して生み出した、追尾式シャドーボールですよ」
得意げにシズカは説明する。
「標的を定めて放つと、一度だけ空中で止まり、再度狙いを定めて撃ち出されます。その点カーブは描けませんが、特に問題ありません」
これは厄介だ。
反撃や回避のタイミングを大きく狂わされてしまう。必中技ではないとはいえ、慣れるまでは手こずるだろう。
「さあどんどん行きますよ。ムウマージ、煉獄です!」
ムウマージの全身が赤く輝き出す。
次の瞬間、ムウマージの体の水晶のような所から、爆炎がルクシオへと発射される。
「やばい! ルクシオ、これは回避だ!」
ルクシオが大きく飛び退いた刹那、先ほどまでルクシオがいたところへ爆炎が直撃し、大きな爆発が巻き起こる。
「危ねえ……あれ喰らってたらひとたまりもなかったな。ルクシオ、そろそろ反撃だぜ! 帯電からの十万ボルト!」
ルクシオはまず電気を体内に溜め込んで攻撃力を上げ、続けて高電圧の強力な電撃を発射する。
「ムウマージ、躱してシャドーボールです」
「させるかよ! ルクシオ、辻斬り!」
ムウマージは電撃を躱し、影の弾を作り上げるが、それが放たれるよりも早くルクシオはムウマージへ接近し、その横を通り過ぎながら爪でムウマージを切り裂く。
「やりますね。ムウマージ、シャドーボール!」
ムウマージは空中でふらつくが、すぐに体勢を立て直すと、四つの影の弾を放つ。
弾は空中で一旦止まり、ルクシオ目掛けて猛スピードで襲い来る。
「十万ボルトで打ち消せ!」
ルクシオは高電圧の電撃を放ち、向かって来る影の弾を相殺する。
「ルクシオ、もう一発十万ボルト!」
「ムウマージ、シャドーボールです」
ルクシオが電撃を発射すると同時に、ムウマージは影の弾を四つ浮かべ、
「ではこちらも十万ボルト!」
ムウマージも強力な電撃を放つ。
しかし、ルクシオは帯電しており、さらにタイプ一致。
ルクシオの電撃が打ち勝ち、ムウマージに命中する。
「追撃だ! ルクシオ、辻斬り!」
だが。
直後、軌道を変えたシャドーボールが猛スピードで襲いかかって来た。
シャドーボールを防ごうと爪を振るうルクシオだが、三発目に対処出来ず、二発の影の弾がルクシオを捕らえる。
「たとえ攻撃を受けても、ただでは下がりませんよ。きっちり反撃を受けて貰いますからね」
シズカの得意げな声と共に、ムウマージもケラケラと笑う。
「くっそ、本当に厄介だ……ルクシオ、アイアンテール!」
ルクシオは体勢を立て直し、尻尾を硬化させてムウマージに叩きつける。
「ムウマージ、エナジーボール!」
対してムウマージは自然の力を込めたエネルギー弾を発射。
だがアイアンテールはエネルギー弾を突き破り、尻尾の一撃がムウマージの頭に命中する。
「ムウマージ、エナジーボール!」
体勢を崩しながらも、ムウマージはもう一撃、自然の力を溜め込んだエネルギー弾を放ち、今度は攻撃直後のルクシオを吹っ飛ばす。
「さらに煉獄!」
ムウマージの体が赤く輝き、爆炎が噴射される。
回避の余裕は、無い。
「ルクシオ、迎え撃て! 十万ボルト!」
ルクシオは体勢を整え、煉獄を辛うじて相殺する。
「ムウマージ、シャドーボール!」
ムウマージの前方に、四つの影の弾が展開される。
「続けてエナジーボールです!」
四つの影の弾の間から、自然の力を込めたエネルギー弾が飛んで来る。
「相殺したら影の弾を喰らう……ルクシオ、回避だ!」
ルクシオは横に逸れてエネルギー弾を避けるが、避けたところに四つの影の弾が猛スピードで襲いかかって来る。
「ッ、十万ボルト!」
咄嗟にルクシオは強力な電撃を放つ。
威力を弱めたが、完全に相殺は出来なかった。
(くっそ、どうにかしてあのシャドーボールを……)
そんなレオの思いには構わず、
「シャドーボールです!」
ムウマージは再び影の弾を展開する。
だが、
(……!)
その瞬間、レオは閃いた。
「ルクシオ、辻斬りだ! ムウマージの後ろを取れ!」
影の弾が止まったと同時、ルクシオが跳び出す。
辻斬りのスピードを生かし、ムウマージの脇を通り抜け、後ろに回り込む。
「そのまま後ろから組み付け!」
ルクシオは大きく跳び、ムウマージの背後に飛び付いた。
「っ!? ムウマージ、振り離しなさい!」
ムウマージは引き剥がそうと体を震わすが、ルクシオは爪をしっかりと突き立てており、中々離れない。
そこに、展開されたシャドーボールが襲いかかる。
ルクシオ目掛けて飛来する影の弾。
しかし。
影の弾の行く手を、ムウマージが遮っていた。
「あっ、しまッ……!」
四つの影の弾が、一斉に放ち手のムウマージを捕らえた。
「今だ! ルクシオ、十万ボルト!」
ムウマージに組み付いた状態で、ルクシオは高電圧の強力な電撃を流し込む。
ムウマージが悲鳴を上げ、そして地面に落ちる。
墜落したムウマージは、戦闘不能になっていた。
「裏を掛かれましたか……ムウマージ、休んでいてください」
少々悔しそうにシズカはムウマージを戻し、
「咄嗟にその判断が出来るとは、流石ですね。これは戦い甲斐がありそうです」
すぐに薄い笑みを浮かべて、次のボールを取り出す。