二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第六十四話 霊界の使者 ( No.145 )
- 日時: 2013/08/15 14:32
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
「さあ、ついに最後ですね。一体の差くらいは関係ありません、全力で行きます」
ワラガシラを戻したシズカが、最後のボールを取り出す。
「お出でなさい、ヨノワール!」
シズカの最後のポケモンは、黒い体の幽霊ポケモン。
目は一つしかなく、足も無い。腹には口のような黄色い切り込みと目の模様があり、頭にはアンテナのようなものがある。
ヨノワール、手掴みポケモン。ゴーストタイプであり、霊界の使者とも言われるポケモンだ。
(最後はヨノワールか。パンプリーでもいいけど、戦闘経験とかを考えると不安だし、ここはゴースト技を受けないトゲチックだな)
「よっしゃ、任せたぜ、トゲチック!」
対するレオの三番手はトゲチック。ノーマルタイプを持つので、ゴースト技を無効化できる。
「ノーマルタイプなど関係ありません。ヨノワール、雷パンチ!」
ヨノワールが拳を握り締める。その拳に雷撃を纏わせ、トゲチックへと殴りかかる。
「トゲチック、躱してエアスラッシュ!」
トゲチックはふわりと舞い上がり、ヨノワールの拳を躱す。
上空から羽ばたき、空気の刃を飛ばす。
「もう一度雷パンチです!」
飛来する空気の刃を、ヨノワールは雷撃の拳で全て粉砕し、
「怒りの炎!」
憤怒の如く荒れ狂う業火が、トゲチックへと襲い掛かる。
「トゲチック、食い止めろ! 神通力!」
トゲチックは特殊な念動力を放ち、怒りの炎を操作する。
だが、炎の勢いが非常に強く、神通力をもってしても操作しきれない。
ある程度は抑えたが、それでもトゲチックは炎を浴びてしまう。
「くっ、トゲチック、マジカルリーフ!」
トゲチックは素早く立て直し、怪しく光る葉の刃を放つ。
「必中技ですか。ヨノワール、喰らい付く!」
直後、ヨノワールの腹の黄色い切り込みが開く。
本物の口が現れ、マジカルリーフを噛み砕いてしまう。
「ッ!? トゲチック、原始の力!」
トゲチックは今度は周囲に岩を浮かべるが、
「させません! ヨノワール、岩雪崩!」
トゲチックの上空から、原始の力とは別の無数の岩が降り注ぐ。
「何ッ!?」
襲い来る岩はトゲチックにまともに激突し、トゲチックは地面へと落ちる。
さらにその大量の岩が、トゲチックに覆いかぶさり、トゲチックの動きを封じてしまう。
「少々早いですが決めましょう。ヨノワール、雷パンチ!」
拳に雷撃を纏わせ、ヨノワールは岩の上まで飛び上がり、思い切り拳を振るう。
流星のように放たれた拳は、岩を容易く貫き、身動きの出来ないトゲチックを正面から捉えた。
「トゲチック!」
煙が晴れると、トゲチックは戦闘不能となっていた。
「う……嘘だろ……!?」
あっという間にトゲチックが倒されてしまった。
トゲチックは、決して耐久力の低いポケモンではない。
(こいつの火力、危ないな……!)
特に、拳と腹の口には警戒した方かよいだろう。
唯一の利点は、ヨノワールの技を全て確認できた事か。
「トゲチック、よく頑張った。休んでてくれ」
トゲチックをボールに戻し、レオは最後のボールを取り出す。
「さあ、お前で最後だ。全部託したぞ、ポッチャマ!」
レオの手持ちの最後を飾るのは、やはりポッチャマだ。
「ポッチャマですか。進化はしていないようですが、その小さい体の中には闘志が溢れているように見えます」
「ええ、その通りですよ。流石はジムリーダー、分かるんですね」
「ですが、その闘志、私のヨノワールが全て受け止めてみせましょう」
「それは無理ですよ。僕とポッチャマが、ヨノワールの壁を超えてみせる!」
レオの言葉を聞き、シズカはうっすらと笑みを浮かべる。
「いいでしょう。かかって来なさい!」
「よっしゃ! ポッチャマ、アクアジェット!」
荒波のような水を纏い、ポッチャマは特攻する。
「ヨノワール、迎え撃ちなさい! 雷パンチ!」
ヨノワールの握られた拳に、雷撃が込められる。
突っ込んでくるポッチャマに狙いを定め、雷撃の拳を振るうが、
「躱して突っ込め!」
水を纏ったままポッチャマは地に足を付け、体勢を屈めて拳の一撃を避ける。
そこから地を蹴ってさらに飛び出し、ヨノワールの腹に激突する。
「反撃しなさい! 怒りの炎です!」
ヨノワールが腹の口を開く。
すぐ近くにいるポッチャマへと、憤怒の如く荒れ狂う業火が襲い掛かる。
効果今一つではあるが、それでもなかなかの威力だ。
「やっぱり攻撃力が高いな。ポッチャマ、水の波動!」
だが炎一撃くらいどうということはない。
ポッチャマは水の力を溜め込み、波動の弾として撃ち出す。
「破壊しなさい。喰らい付く!」
水の波動を、ヨノワールの腹の口が噛み砕く。
「岩雪崩です!」
虚空から、ポッチャマ目掛けて無数の岩が降り注ぐ。
「貫け! ポッチャマ、ドリル嘴!」
回避するのは難しいと判断し、ポッチャマは嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら上に跳ぶ。
襲い掛かる岩を、ポッチャマは無傷で次々と粉砕していく。
「冷凍ビーム!」
さらにポッチャマは冷気の光線を発射する。
「効きません。ヨノワール、怒りの炎!」
対するヨノワールの口から荒れ狂う業火が放たれ、冷気の光線を溶かしてしまう。
「そこだ! アクアジェット!」
灼熱の炎を突っ切り、水を纏ったポッチャマが跳ぶ。
ポッチャマの一撃が、再びヨノワールの腹へと命中する。
「怒りの炎です!」
「それはもう読めてる! ポッチャマ、もう一度アクアジェット!」
今度のアクアジェットは攻撃用では無い。
水を纏ったポッチャマは思い切り後ろへ跳び、撃ち出される荒れ狂う業火の圏外に出る。
「流石は最後のポケモンです。小さいからといって、侮れませんね……!」
「そのヨノワールも相当です。アクアジェットを喰らっても、ほとんど体勢を崩さない」
ヨノワールは自身の右拳を左手で握ると、首を二、三度捻り、改めて気合を入れ直す。
それを見てもポッチャマは顔色一つ変えず、ヨノワールをじっと見据える。