二次創作小説(紙ほか)

Re: 第六十七話 予告 ( No.158 )
日時: 2013/08/15 14:34
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

マリアが部屋の扉を開ける。
中は書斎のようになっており、書類か何かに目を通している青年と、その傍らで漫画を読んでいるレオより年下くらいの少年。
扉が開いたことに気付いたのか、二人とも顔を上げる。
「おや、マリアさん。帰ってきたみたいですね」
「ところでさ。マリアちゃん、その横にいるにーちゃんは誰だい?」
その青年は、緑色の癖毛のショートヘアーで、赤色の長袖のTシャツを着、青色のジーンズを履いている。
少年の方もショートヘアーだが、髪の色は青色で、髪もエフィシよりは長め。水色の服の上から黒いジャケットを着て、ダメージジーンズを履いており、すこし目つきが悪い。
「このおにーちゃんはレオっていうの。さっき、ウパーの水鉄砲でびしょびしょにしてあげたの」
マリアの紹介もこちらから聞くとひどく適当なものである。
「レオ?」
しかし、その名前に青年が反応する。
「というと、ライオ博士の息子さんでしょうか?」
「え? あ、はい、そうですけど……」
レオがそう返すと、その青年は立ち上がり、
「やはりそうでしたか! いやいや、リョーマさんからレオというライオ博士の息子が『ブロック』に入ってくれたと聞いていましたが、そうですか、貴方でしたか!」
急に口調がハイテンションになる。
何だか、この青年からはハスバナジムリーダー、ツバキと同じものを感じる。
「え? エフィシのにーちゃん、この人ってライオ博士の子なの?」
漫画を読んでいた少年も、顔を上げて青年に尋ねる。
「ええ、そうですよ。しかし、確かにそう言われると、顔は似ていますね」
その青年はレオをまじまじと見つめ、レオに近寄るが、
「おっと失礼。申し遅れました、私、『ブロック』のスティラ支部統括、エフィシと申します」
どうやら、この青年がエフィシであるようだ。だとすると、もう一人の少年は、
「ちなみにこちらの男の子は、ホロ君といいます。貴方と同じように、『ブロック』に加入してくれました」
「おっす! 俺はホロ。レオにーちゃん、よろしくな!」
やはりこの少年がホロであるようだ。
「レオのにーちゃんも『ブロック』に入ってるのか。それじゃあさ、なあ、レオのにーちゃん」
「どうした?」
「ポケモンバトルしようぜ。レオのにーちゃん、見た感じすごい強そうだしさ。俺、強いトレーナーと戦うの大好きなんだよ」
「私も見たーい」
側にいるマリアもはやしたてる。
しかし、
「申し訳ない、ホロ君。私はどうしても彼に話さなければならない事があるのです。それほど時間は掛からないので、時間を頂けませんか?」
横からエフィシが声を掛ける。どうやらエフィシは、誰に対しても丁寧な口調で話す癖があるようだ。
「えーマジかよ!? そんなに大事な話なのか?」
「本当に申し訳ありません。しかし、非常に大事な話ですので、この話はどうしてもしておきたいのです」
エフィシの言葉を聞き、ホロは残念そうな顔はするものの、
「分かった。一時間までなら待てるぜ。じゃあ俺はマリアちゃんの遊び相手になってるから、終わったら呼びに来てくれよな」
「ありがとうございます。終わったら私のポケモンで知らせに行きます」
ホロはマリアの手を引き、部屋を出て行った。
「さて、話は聞いていたと思いますが、本当に重要な話があります」
エフィシは、改めてレオに向き直る。
「この町をN・E団から守るために、協力していただきたいのです」
「え?」
レオはこのエフィシの口ぶりに驚いた。
どうしてエフィシは、N・E団が予めやってくると分かっているような話し方なのだろうか、そこに疑問を抱く。
「どうして、N・E団が来ると分かるんですか?」
「実は……」
エフィシは白い封筒から、一枚の紙を取り出し、
「こんなものが届いたんですよ」
レオに見せる。手紙のようだ。
明日の日付が一番上に書かれており、その下にメッセージが書かれている。

『上記の日時に、軍を率いてスティラタウンへと進行する。我々の目的は制圧ではなく、我々のとある作戦に必要となるものの回収である。抵抗したくば、戦力を集め、我々の侵攻に備えよ。
——輝天将トパズ』

「輝天将については、ご存知ですか?」
「はい。戦った事もあります。覚醒を使っていない状態でしたが、勝ちました」
コウホクシティでカラタチが言っていた通りだ。
輝天将は奇襲を仕掛けてくるわけではない、日時を指定し、大軍を率いてやって来る。
輝天将軍の強さを、レオはよく知っている。
「勿論僕も協力します。僕以外のこっちの戦力は?」
「とりあえず、私と、この本部内にいる『ブロック』の構成員、ホロ君、あとアカノハ支部とシヌマ支部に応援要請を頼みました。アカノハ支部からは明日の朝には着くと返答が来たのですが、シヌマ支部の統括が非常に自由奔放で気まぐれな者で、まだ返答が来てないのです。おそらくこちらの要請をまだ見てないのだと思われます」
「ホロって、強いんですか?」
さっきから思っていた事をレオは聞く。
年齢だけで判断するのはよくないが、ホロは少なくともレオよりは幾分か年下に見える。
テレジアのように低年齢で異例の出世をしているわけでもないので、レオはそこが気になったわけだが、
「彼は強いです」
即答が返って来た。
「私も驚きましたが、彼はかなり強いです。下手をすれば私よりも強いかもしれません」
意外なところに頼れる戦力があった。この後のバトルが楽しみだ。
その後、色々打ち合わせなどもあり、三十分程で話は終わった。
「そうだ、ホロ君たちを呼び戻さなくてはいけないのですね」
そう言ってエフィシはボールを取り出す。
中から出て来たのは、グライオンだ。
「グライオン、悪いのですが、町の方へ出て、ホロ君たちを呼んできてください」
言いながらエフィシは窓を開ける。
グライオンは飛び上がり、窓から風に乗って飛んで行った。


五分くらい経つと、窓からグライオンが戻って来た。
直後、ドタバタと廊下を走る音がして、ホロとマリアも部屋に戻ってくる。
「エフィシにーちゃん、話は終わったのか?」
「はい。お待たせしまたね」
「よっしゃ! じゃあレオにーちゃん、早速ポケモンバトルだ!」
「いいぜ。受けて立つよ」
「そうこなくっちゃな! マリアちゃんも来るか?」
「うん。私も見たい」
というわけで、三人は外に出る。
この町は建物はそう多くないので、戦う場所はいくらでもある。
「さあ、レオにーちゃん。俺の方が強いってとこ、見せてやるぜ」
「それはどうかな。僕だって、ポケモンバトルには自信があるぞ?」
ルールは二対二。お互いにボールを取り出し、同時にポケモンを繰り出す。
「任せたぞ、へラクロス!」
「頑張って来い、ドサイドン!」
レオのポケモンはへラクロス。
対するホロのポケモンは、頑強な怪獣型ポケモン。
岩石のプロテクターを身に纏い、額には大きなドリルがあり、さらに掌には岩を飛ばすための穴が空いている。
ドリルポケモンのドサイドン。タイプは岩・地面。
それにしても、
「いきなりドサイドンか……」
正直に言うと、レオは最初からこんな大物が出て来るとは思わなかった。
せいぜい一進化ポケモンくらいだろうと、高を括っていたところもあったのだが、
(なるほど。これは確かに強そうだ)
ホロを見くびっていたことを反省し、改めてレオはホロとドサイドンを見据える。