二次創作小説(紙ほか)

Re: 第六十九話 利用 ( No.162 )
日時: 2013/08/15 14:35
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

「俺のエースは二対二のバトルには向かないんだよな……だからここはお前だ、頼んだぜ、テペトラー!」
ホロの二番手は、レオも持っているポケモンだった。
壺型の胴体をした、河童のようなポケモン。水・格闘タイプのテペトラーだ。
レオは故郷に置いてきた、自分のテペトラーをふと思い出す。
それにしても、
「……? 水タイプのポッチャマに、わざわざ水タイプで来るのか?」
当然だが、水タイプに水技の効きはあまりよくない。
では、何故ここでホロはテペトラーを出したのか。
答えは簡単、
「何言ってんだよ。同タイプ同士の戦いだぜ! 燃えるじゃねえか!」
という、いかにも単純な考えであった。
「なるほどな。それなら、尚更負けられないぜ。行くぞポッチャマ、まずはアクアジェット!」
「テペトラー、こっちもアクアジェット!」
ポッチャマが水を纏うと同時、テペトラーも水を纏い、全く同じタイミングで突撃する。
双方の一撃が激突し、威力は互角。
「確かにそのポッチャマ、小さいけどなかなかやるな! だったらテペトラー、波動弾!」
両手を構え、テペトラーは波動を込めた弾を撃ち出す。
「ポッチャマ、水の波動!」
ポッチャマも水の力を凝縮した波動の弾を発射する。
これも威力は互角で、お互いに相殺される。
「また相打ちか……テペトラー、アクアジェット!」
波動弾が相殺されると、すぐにテペトラーは水を纏い、地を蹴って跳び出す。
「ポッチャマ、躱してドリル嘴!」
先制攻撃のアクアジェットだが、ポッチャマは確実に躱し、嘴を伸ばし、ドリルのように回転しながら突撃する。
効果抜群の一撃を喰らい、テペトラーは吹っ飛ばされる。
「くそっ、だったら、テペトラー、積みだ! ビルドアップ!」
テペトラーは起き上がると、体の筋肉を増強させることにより、攻撃と防御を上げる。
「先にやっとけばよかったな……テペトラー、サイコパンチ!」
テペトラーは拳に念力を纏わせ、その拳を振り抜き、ロケットパンチのような拳型の衝撃波を飛ばす。
「ポッチャマ、躱して水の波動!」
「させないぜ! テペトラー、アクアジェット!」
跳び上がって拳を躱し、水の波動を放つが、それよりも早く水を纏ったテペトラーが突っ込み、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「いいねえ! テペトラー、続けて波動弾!」
続けてテペトラーは両手を構え、波動弾を発射する。
波動弾は必中技故、回避は出来ない。
「ポッチャマ、水の波動!」
何とかポッチャマは立て直し、水の波動を放って波動弾を相殺する。
しかし、既にテペトラーがポッチャマの上を取り、拳に念力を纏わせていた。
「ちっ、ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは地を蹴り、真上に跳ぶ。
ドリルのように回転しながら、テペトラーのサイコパンチを迎え撃つ。
「まだだ! テペトラー、波動弾!」
「させるか! ポッチャマ、冷凍ビーム!」
テペトラーが両手を構えるが、そこにポッチャマは冷気の光線を撃ち出し、テペトラーの両手を凍りつかせ、波動弾を封じる。
「アクアジェット!」
さらにポッチャマは水を纏って突撃し、テペトラーを地面に叩き落す。
「そんな氷どうってことないぜ! テペトラー、ビルドアップ!」
テペトラーは腕の筋肉に力を集中させ、力尽くで氷を砕いてしまう。
「やってくれたな! テペトラー、波動弾!」
再び両手を構え、今度こそテペトラーは波動弾を発射する。
「ポッチャマ、水の波動!」
ポッチャマは水の力を込めた波動の弾で波動弾を破壊し、
「ドリル嘴!」
ドリルのように回転し、テペトラーへと突撃する。
「負けねえぞ! テペトラー、サイコパンチ!」
テペトラーは拳に念力を纏わせ、今度は直接ポッチャマへと殴りかかる。
嘴と拳が激突するが、ビルドアップによってテペトラーは攻撃が上がっている。
しばらく競り合っていたが、テペトラーの方がやはり強く、ポッチャマはついに押し負け、吹っ飛ばされる。
「くそっ、やっぱりビルドアップがきついな……」
ポッチャマには積み技がないため、相手に能力を上げられると、どうしても不利になってしまう。
「つっても、それが言い訳にはならねえよな。ポッチャマ、アクアジェット!」
「テペトラー、波動弾!」
水を纏って突貫するポッチャマに対し、テペトラーは波動弾を右と左に二発放った。
ポッチャマの横から、二発の波動弾が襲い掛かる。
「ポッチャマ、速度を上げろ!」
しかし、波動弾が激突する直前で、ポッチャマはスピードを上げる。
二つの波動弾はすぐ後ろで激突し、消滅してしまった。
「あ……! やっちまった!」
ホロが額に手を当てる。
ポッチャマがテペトラーに激突するが、防御が上がっているテペトラーは、今度は地にしっかりと足をつけて耐え切った。
「くーっ、ミスったなあ。テペトラー、アクアジェット!」
テペトラーも水をその身に纏い、地を蹴って跳ぶ。
「ポッチャマ、その動きを止めてやれ! 冷凍ビーム!」
ポッチャマは冷気の光線を放つ。
テペトラーを纏う水を凍らせ、テペトラーを氷漬けにして、動きを止めてやろうと考えたのだ。
だが。

そのレオの考えは、通用しなかった。

ポッチャマの冷気の光線がテペトラーに命中し、テペトラーは凍り付いていく。
ここまではレオの作戦通り。
しかし、テペトラーの勢いが全く落ちなかった。
「何ッ!?」
氷のアクアジェットととでも言うべきか、とにかく氷を纏ったテペトラーは思い切りポッチャマに激突し、ポッチャマは大きく吹っ飛ばされた。
「レオにーちゃん、まだまだ考えが甘いぜ。闘志溢れる俺のテペトラーは、それくらいじゃ絶対止まんねえ! テペトラー、ビルドアップからのサイコパンチ!」
テペトラーは筋肉を増強させ、強引に氷を破壊する。
間髪入れず、テペトラーは拳を振り抜き、ポッチャマ目掛けて放つ。
地面に落ちたポッチャマには当然避けられず、ポッチャマはさらに拳を喰らい、再び大きく吹っ飛ばされた。
「嘘だろ!? ポッチャマ!」
地面に落ちたポッチャマは、戦闘不能になっていた。



「やったー! 勝ったぜー!」
「ホロ君すごーい!」
勝利したホロは、マリアと一緒にテペトラーの周りを駆け回っていた。
対照的にレオは軽くショックであった。
年下に負けたのもそうだが、特に自分のミスで負けたのがショックなのである。
「悪い、ポッチャマ。僕のミスで負けちまった」
倒れたポッチャマに声を掛けると、ポッチャマは、気にするな、とでも言いたげに首を振る。
「もっと僕も、頑張らねえとな」
ポッチャマをボールに戻し、レオはホロへと近寄る。
「ホロ、お前のポケモン、強かったぜ。僕もまた特訓するから、また機会があればバトルしてくれよ」
「おう。レオにーちゃんのポケモンも、強かったぜ。またいつでもバトルしようぜ」
戦いを終え、レオとホロは握手を躱す。
とはいえ、このままハッピーエンドでは終われない。
明日には、いよいよ侵攻して来るN・E団と戦わなければならないのだ。