二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第七十一話 到着 ( No.164 )
- 日時: 2013/08/15 14:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
構成員たちに加勢しようと急ぐレオとホロ。
しかしそこで二人は、現状で一番出会いたくない者と出会ってしまった。
「お久しぶりね、そこの貴方」
二人の行く手に立ち塞がるのは、緋天将・ガーネットだ。
「くっそ、ここでこいつが来るのか……!」
誰にも聞こえない程度に小さくレオは呟く。
「さて、せっかく私の視界に入った獲物をわざわざ逃がす気もないし、相手になってもらうわよ」
問答無用でガーネットはボールを取り出す。
どうやら、どうしてもこいつを倒す必要があるらしい。
「ホロ、先に行け」
ここは自分がやる。
そう判断し、レオはホロにそう促す。
「でも、こいつ強いんだろ? レオのにーちゃん一人で大丈夫かよ!」
「大丈夫だ。それに、こいつとは因縁があるんだよ。前は勝負にすらならなかったけど、今なら勝てそうだ」
それでもホロは、少しためらう様子を見せるが、
「分かった。だけどレオにーちゃん、無理だけはするなよ!」
「おう。そっちもな」
そしてホロは、構成員の元へと向かっていく。
「勝てそうですって? 前回私のグレイシアにびびってたくせに、言ってくれるじゃない」
「悪いけど、前とは違うぜ。嘘か本当か、試してみるか?」
その言葉を引き金に、二人はポケモンを繰り出す。
「我が名誉にかけて、ロズレイド!」
「お前に任せるぞ、アブソル!」
レオのアブソルに対し、ガーネットのポケモンは、ダンサーのような姿の、両手にそれぞれ色の違う花束を持ったポケモン。
ブーケポケモンのロズレイド。草・毒タイプである。
「さてと、どこまで戦えるのかしら。楽しみだわ」
レオとアブソルを見据えると、ガーネットは小さく呟く。
「む」
N・E空中戦艦『ホエール』の中で、トパズが顔を上げる。
「どうしました?」
「マツリが敵と接触したようだ。変装が見破られたらしい」
トパズの横にいるのは、蒼天のソライト。
「おや、そうですか。こちらが予想していたよりも、案外早かったですね」
「あいつはあまりバトルを好まんからな。しっかり時間を稼いでくれるといいのだが……」
現在、『ホエール』には輝天隊及び蒼天将とその直属護衛が乗り込んでいる。
「ソライト、あとどれくらいだ」
「それほどかかりませんよ、あと五分くらいで着くでしょう」
「そうか。分かった」
トパズは立ち上がり、無線を取り出し、艦内に指示を出す。
「輝天隊に告ぐ! あと五分程度でスティラタウンに到着する。戦闘に備えよ。繰り返す。あと五分程度でスティラタウンに到着する。戦闘に備えよ」
『ホエール』はスティラタウンへ向け、静かに雲の上を飛ぶ。
「お願いしますよ、グライオン!」
「祝福せよ、オオイナリ!」
エフィシのポケモンはグライオン。
ブレイズのポケモンは、白い狐のようなポケモン。尻尾や目元、首に掛けられた護符は赤く染まっている。
オオイナリ、狐ポケモン。幸せを呼ぶと言い伝えられており、炎・エスパータイプである。
「グライオン、まずは剣の舞です!」
鋏を振り回し、グライオンは激しい戦いの舞を舞って攻撃力を上げる。
「まずは下準備ですか。ではこちらも、オオイナリ、瞑想」
オオイナリも精神を集中させ、特殊能力を高める。
「グライオン、地震です!」
グライオンは鋏を地面に叩きつけ、地面を揺らし、衝撃波を起こす。
「オオイナリ、躱しなさい」
対してオオイナリは地を蹴って思い切り飛び上がり、衝撃波を躱す。
「逃がしません! グライオン、スカイアッパーです!」
「甘いのですがねえ。オオイナリ、熱風」
グライオンはオオイナリ目掛けて飛び、鋏を拳のように突き上げるが、上空からオオイナリは焼けるように熱い風を吹き付ける。
熱風の中を突っ切ろうとするグライオンだが、風の勢いが思いのほか強く、やがてグライオンは押し戻されてしまう。
「そこです。サイコキネシス」
その隙を狙って、オオイナリが強い念動力の波を飛ばす。
「ッ、グライオン、アクロバットです!」
体勢を崩していたグライオンだが、攻撃技を上手く応用し、咄嗟の機敏な動きで波を躱す。
「さあグライオン、反撃ですよ! アクロバットです!」
「そう上手くはいかせませんが? オオイナリ、シャドーボール」
グライオンが俊敏な動きでオオイナリとの距離を詰めていく。
影の弾が的確に放たれるが、それらを次々と避け、オオイナリの真ん前まで詰め寄ると、鋏を振るってオオイナリを叩き飛ばす。
「なるほど、動きは悪くないようですね。オオイナリ、サイコキネシス」
「グライオン、躱して地震です!」
オオイナリが強い念動力を操り、グライオンの動きを止めようとするが、グライオンは風に乗って大きく飛び上がって念力を躱すと、さらに落下の勢いも付けて地面を叩き、衝撃波を飛ばす。
オオイナリは躱そうとしたが少し遅く、衝撃波を喰らって吹っ飛ばされる。
「チャンスです! グライオン、アクロバット!」
体勢を大きく崩すオオイナリに狙いを定め、グライオンは俊敏な動きで一気に距離を詰め、鋏を振りかぶる。
今のところ唯一、天将や直属護衛と遭遇しなかったホロは、下っ端と構成員の戦いに加わっていた。
ホロが加わったことにより、戦いの流れは『ブロック』側に大きく傾いた。
N・E団の下っ端たちが、次々と蹴散らされていく。
「これは勝てるぞ! 気を抜くな、一気に押しきれ!」
構成員のリーダー格の男が叫ぶ。
同時に、『ブロック』の攻撃がさらに勢いを増していく。
これは勝てる。N・E団の下っ端軍は、すぐに殲滅される。
そう思っていたからこそ。
次の瞬間、ホロや構成員たちは、戦慄を覚えることになる。
突如、スティラタウンを黒い影が覆い尽くした。
「何だ!?」
「何か来たぞ!」
『ブロック』構成員も、N・E団の下っ端たちも、一斉に上空を見上げる。
恐らくは、天将や直属護衛、また彼らと戦っている者たちも同じだろう。
そして、空から巨大な物体がゆっくりと降下して来る。
その物体は、鯨のような形をしていた。
その物体は、まるで軍艦のように武装されていた。
そして。
その物体の側面には、N・E団の紋章が描かれていた。