二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第七十三話 鋏 ( No.166 )
- 日時: 2013/08/15 14:37
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)
ロズレイドがゆっくりとアブソルに近づき、花束から蔦を伸ばす。
今だアブソルは棘に仕込まれた毒で動けないようだ。
棘のびっしりと生えたその蔦がアブソルに絡みつく、まさにその瞬間。
「舐めんな! アブソル、身代わり!」
突如、アブソルがその場から消えた。
ロズレイドの蔦は代わりに現れた何かに巻きつくが、その何かはすぐに破裂したように消えてしまう。
そして、
「アブソル、サイコカッター!」
ロズレイドの背後からアブソルが現れ、身を蝕む毒を耐え、念を込めた額の鎌でロズレイドを切り裂いた。
隙を突いた背後からの不意打ちを喰らい、ロズレイドの体がぐらりとよろめく。
「火炎放射!」
ロズレイドが体勢を戻すよりも早く、アブソルは灼熱の炎を発射する。
避けられるはずもなく、ロズレイドは業火に包まれてしまう。
炎が消えると、ロズレイドは黒焦げになって倒れていた。
「ロズレイド、よくやったわ。戻りなさい」
ガーネットはロズレイドを戻すと、次のボールを取り出し、レオを見据える。
「確かに、前よりはやるみたいね。未覚醒の私となら戦えるレベル、って感じかしら」
余裕の表情を崩さず、ガーネットは次のボールを繰り出す。
「次は貴方よ。我が誇りにかけて、エルレイド!」
ガーネットの次なるポケモンは、緑と白を基調とする人型のポケモン。額には薄い緑の、胸と背には赤い突起があり、両腕の肘からは刃が伸びている。
刃ポケモンのエルレイド。エスパー・格闘タイプだ。
「そのアブソルもかなりのダメージを負ってるはず。まずはアブソルを確実に仕留めさせてもらうわ」
「それが出来るならな! アブソル、火炎放射!」
アブソルは灼熱の業火を発射するが、
「エルレイド、躱しなさい」
一瞬でエルレイドは横に逸れ、炎を躱すと、
「リーフブレード!」
伸ばした刃に自然の力を込め、一気に距離を詰めてアブソルを切り裂く。
ロズレイド戦でのダメージもあり、アブソルは戦闘不能となってしまう。
「アブソル、よくやった。三位相手に一体倒せば上出来だぜ」
アブソルを労い、ボールに戻し、レオは次のボールを取り出す。
「さあ次はお前だ。頼んだぜ、パンプリー!」
レオの二番手はパンプリー。エルレイドが覚えているであろう格闘技やリーフブレードに抵抗力を持つ。
「パンプリー? そんな進化もしていない弱そうなポケモンで、私に勝てるとでも思ってるのかしら?」
「お前にはこいつが弱そうに見えるのかよ。それは残念だなあ」
レオは町にいる時は見知らぬトレーナーとのストリートバトルも結構している。
その中で分かったことは、
「このパンプリー、実は結構やるんだぜ! パンプリー、まずは悪巧み!」
パンプリーは瞬時に脳を活性化させ、特攻を大きく上昇させる。
「積み技ね……エルレイド、早めに決めるわよ! サイコカッター!」
「そうはいくかよ! パンプリー、シャドーボール!」
エルレイドの念力を込めた刃と、パンプリーの放った影の弾が激突する。
グライオンの軽快な一撃が直撃し、オオイナリは吹っ飛ばされる。
「決めてしまいましょう! グライオン、地震です!」
グライオンは鋏を思い切り地面に叩きつける。
オオイナリはまだ体勢が整っておらず、地震を避けられずに衝撃波をまともに受けてしまう。
剣の舞を使ったグライオンの地震二発に耐えることは出来ず、オオイナリは戦闘不能となってしまう。
「おや、思ったよりやるようですね。オオイナリ、戻りなさい」
特に表情を変えずに、ブレイズはオオイナリをボールに戻し、次のボールを取り出した。
「守護せよ、ハッサム!」
ブレイズのポケモンは、赤い鋼の体を持つポケモン。両手は目のような模様がついた大きな鋏となっている。
ハッサム、鋏ポケモン。虫・鋼タイプ。
「グライオン、アクロバットです!」
「無駄ですよ。ハッサム、バレットパンチ」
グライオンが軽快な動きで攻撃を仕掛けるが、それよりも早くハッサムが動く。
瞬時にグライオンの真ん前まで飛び、弾丸のような連続パンチを喰らわせる。
さらに、
「ハッサム、襲撃」
吹っ飛ばされるグライオンよりも早く動き、ハッサムはグライオンの後ろに回る。
まだ体勢が崩れているグライオンに、鋏を突き立て、強力な一撃を叩き込む。
「ッ、まだです! グライオン、スカイアッパー!」
背中に衝撃を受けつつも、グライオンは素早く振り向き、鋏を拳のようにアッパーカットし、ハッサムを殴り飛ばす。
「まだそこまで動けますか。ハッサム、バレットパンチ」
すぐに体勢を整え、ハッサムは猛スピードでグライオンへと迫り、弾丸のような連続パンチを放つ。
「決めなさい。ハッサム、馬鹿力!」
たいないのリミッターを外し、ハッサムは渾身の力でグライオンの脳天に両鋏を叩きつける。
凄まじい勢いでグライオンは叩き落とされ、地面に激突し、戦闘不能となってしまう。
「グライオン、よく頑張りました。戻って休んでいてください」
グライオンを労い、ボールに戻すエフィシ。
「では、次は貴方です。馬鹿力が危ないですが、お願いしますよ、コーシャン!」
エフィシの次のポケモンは、紫色の猫のようなポケモン。尻尾の先が二股に分かれている。
吉凶ポケモンのコーシャン。炎・悪タイプであり、出会った者には何か大きな事が起こると言われている。
「コーシャンですか。ただの炎タイプだと辛いですが、悪タイプがあれば虫技が通る。ハッサム、襲撃」
ハッサムは一瞬でコーシャンの後ろに回り、広げた鋏を突き出す。
「コーシャン、後ろです! 躱して火炎放射!」
だがコーシャンは身軽な身のこなしで振り向きながら鋏を躱すと、灼熱の炎を放って反撃する。
隙を突かれたハッサムは避けることが出来ず、効果抜群の炎技を正面から喰らってしまう。
しかし、
「やってくれますね。ですが、それでは私のハッサムには勝てませんよ」
体の所々を焦がしながらも、ハッサムは立ち上がる。
「もしものために持たせておいたオッカの実があって助かりましたよ。炎技をもろに喰らえば致命傷は免れませんからね」
そして、
「反撃しなさい。ハッサム、馬鹿力!」
力のリミッターを外し、ハッサムが猛スピードで襲い掛かる。
「行くわよ、ドラピオン!」
「頼むぜ、ディザソル!」
シーアスのポケモンは、大きな鋏を持つ、紫色の巨大な蠍のようなポケモン。
化け蠍ポケモンのドラピオン。虫タイプにも見えるが、実際は毒・悪。
対するホロのポケモンは、額に二対の鎌を持ち、黒と白の美しい体毛を持つポケモン。
災害ポケモンのディザソル。アブソルの進化系で、こちらも悪タイプ。
「ドラピオン、まずは剣の舞!」
ドラピオンは両腕を振り回し、激しい舞と共に攻撃力を上げる。
「攻撃アップか……なら特殊技の方がいいな。ディザソル、十万ボルト!」
対して、ディザソルは高電圧の強烈な電撃を撃ち出す。
「ドラピオン、クロスポイズン!」
ドラピオンは鋏を交差させて振り抜き、電撃を打ち消し、
「ぶち壊す!」
鋏をガチガチと鳴らしながら、勢いを付けて全力でディザソルへと突進。
「ぶつかってやろうぜ! ディザソル、ぶち壊す!」
ディザソルも渾身の力を込め、ドラピオンを迎え撃つ。
双方が正面衝突し、激しく競り合う。
しかし、やはり剣の舞を使ったドラピオンに分があり、ディザソルは押し負け、吹っ飛ばされてしまう。
「どんどん行くわよー! ドラピオン、さらにぶち壊す!」
ドラピオンの勢いは全く止まらず、吹っ飛んだディザソル目掛けてさらに突撃する。
「ディザソル、躱して十万ボルト!」
しかし、ディザソルは素早く体勢を立て直すと、突っ込んでくるドラピオンをひらりと跳び越える。
上空から、ドラピオンの背中目掛けて電撃を放つが、
「ドラピオン、上だよ! 炎の牙!」
次の瞬間、ドラピオンの頭が180°回転した。
牙に炎を灯し、電撃を噛み砕いてしまう。
「ふふん、ドラピオンは周囲全てを見回すことが出来るからね。隙なんてないんだよ?」
「なるほどな。これは戦い甲斐のある相手だぜ」
ディザソルは着地し、ドラピオンを睨む。
ドラピオンは頭だけ後ろを向いたまま腕を振り上げ、ディザソルを威嚇する。