二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第七十七話 火事 ( No.172 )
- 日時: 2013/09/28 18:09
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: dfg2.pM/)
「見せてもらうわ。グレイシア、冷凍ビーム!」
グレイシアは冷気の光線を撃ち出す。
「レントラー、お前の力を見せてやるぞ! 十万ボルト!」
レントラーは大きく吼え、高電圧の強烈な電撃を放つ。
お互いの技が激突するが、やがて電撃が冷気を打ち破り、電撃がグレイシアを捕らえる。
「ふっ、どうせ帯電込みの威力でしょ。グレイシア、アクアテール!」
グレイシアは尻尾に水を纏い、その尻尾をレントラーへ叩きつける。
「レントラー、馬鹿力!」
対して、レントラーは全力でグレイシアへと激突する。
グレイシアの尻尾を弾き飛ばし、さらにグレイシアごと弾き飛ばした。
「くっ、グレイシア!」
大きく吹っ飛ばされ、グレイシアは地面に叩きつけられる。
「レントラー、十万ボルト!」
「グレイシア、守る!」
レントラーが電撃を放ったところを、グレイシアは守りの結界を張り、電撃を防ぐ。
「もう一度だ!」
結界が消えたところに、再びレントラーの電撃が命中する。
今度こそ電撃をまともに浴び、グレイシアは戦闘不能になってしまう。
「グレイシア、よくやったわ。休んでなさい」
グレイシアをボールに戻したガーネットは、怒りの形相を浮かべ、レオを見据える。
「よくも……よくもやってくれたわね! 時間稼ぎだけして、とっとと済ませようと思ったけど、最近負け続けだし、もう我慢できないわ」
そして、ガーネットは最後のボールを取り出す。
二重の鎖の模様が描かれた、封印されたようなボールを。
そして、その鎖の模様から赤い光が放たれている。
「……おい。まさか」
「ええ、そうよ。もう許可は出てる。貴方に、地獄を見せてやるわ!」
刹那、ガーネットの瞳が紅色の輝きを放つ。
同時に、ガーネットのドレスの裾が太腿の辺りまで吹き上げられ、脚に龍の尾のような紅色の模様が浮かび上がる。
ガーネットが、覚醒を使ったのだ。
「さあ、バトルの続きよ。緋色の炎に、焼き尽くされてしまえ!」
思い切り叫んで、ガーネットは鎖の模様が描かれたボールを掲げる。
「緋天に舞い上がれ、フィニクス!」
ガーネットが繰り出したのは、もはや龍にも見えるほどの大きな火の鳥のようなポケモン。
体は青く、額と翼は灼熱の炎で出来ており、脚の爪は鋭く、炎のように赤く長くしなやかな尾羽を持つ。
フィニクス、不死鳥ポケモン。炎・ドラゴンタイプ。
「……っ」
僅かに息を呑むレオ。
一年前、レオはフィニクスを使っていたが、このフィニクス、もしかするとレオのより強いかもしれない。
フィニクスは一旦飛び上がり、空を旋回する。
羽ばたくだけで火の粉が飛び散り、地上に降り注ぐ。
そして、その火の粉は当然、地面や森に飛び、
突如、森から火が上がった。
「!?」
目を見開き、レオは森の方を振り向く。
炎は木々に燃え移っていき、次第に広がって行く。
これはもう、山火事も同然だ。
「ふふふ! いいざまだわ。貴方のポケモンもろとも、貴方をこの森のように焼き尽くしてあげるわ!」
「てめえ、ふざけんなよ! この森の中には、たくさんの命があるんだぞ!」
「知ったことじゃないわ! 私をここまで怒らせた貴方が悪いのよ! さあ、バトルの続きよ! フィニクス、大文字!」
フィニクスは一声啼き、大の字型に煌々と燃え盛る炎を放つ。
しかしその威力が、桁違いだ。
「レントラー、十万ボルト!」
レントラーは高電圧の強烈な電撃を放つ。
双方が競り合ったが、やがて大文字に打ち破られ、レントラーは大の字型の炎に包まれる。
「レントラー!」
炎が消えると、レントラーは体を焼かれ、戦闘不能となっていた。
「嘘だろ……!? レントラー、よくやった」
レントラーをボールに戻し、レオは苦い顔でフィニクスを見据える。
「ああっもう、どうも調子が出ないわね。普通ならそれくらいの電撃、こんなに競り合うことなく突破出来るのに」
まだ悪態をつくガーネット。
「マジかよ……だけど、ここまで来たらもうやるしかない」
森の火事を見据え、小さく舌打ちし、レオは最後のボールを取り出す。
「コーシャン、躱して火炎放射!」
ハッサムの鋏の一撃を、コーシャンは素早く後ろへ跳び、すかさず灼熱の炎を放つ。
「しまった、ハッサム!」
ハッサムは躱せるはずもなく、炎に焼かれ、戦闘不能になってしまう。
「おやおや。不意を突かれましたね。ハッサム、よくやりました」
ブレイズはハッサムを戻し!次のボールを取り出す。
「ここまでは、なかなかやるようですね。ですが、私の切り札に勝てますか?」
「勝てるのか、じゃない。私は、勝つんだ」
エフィシの言葉を聞くと、ブレイズは静かに笑い、最後のボールを取り出す。
「魅惑せよ、ミロカロス!」
ブレイズの最後のポケモンは、テレジアも持っていた、慈しみポケモンのミロカロス。
「水タイプか。ですが私のコーシャンには対抗策がある。コーシャン、ギガスパークです!」
コーシャンは破裂音を立てる電撃の砲弾を作り上げ、ミロカロス目掛けて放つ。
「ミロカロス、ドラゴンテール」
ミロカロスは青く光る尻尾を思い切り振るい、砲弾を逆に弾き飛ばす。
コーシャンは、砲弾を逆に喰らうことになる。
「ミロカロス、ハイドロポンプ」
そこにすかさずミロカロスが大量の水を噴射し、コーシャンを吹っ飛ばす。
効果抜群の一撃を喰らったコーシャンは、戦闘不能となってしまった。
「コーシャン、よくやりました。戻ってください」
コーシャンを戻し、エフィシは最後のボールを取り出す。
「お願いしますよ、アルデッパ!」
エフィシの最後のポケモンは、巨大な口を持つ植物型のポケモン。
手は水草のような形をしており、脚は蔦のようになっている。
アルデッパ、水草ポケモン。草・水タイプ。
「草タイプ……なるほど、私のミロカロスには有利ですね。ですがそれくらいで私に勝てると思わないことです。ミロカロス、ハイドロポンプ」
「アルデッパ、ハイドロポンプ!」
ミロカロスとアルデッパは、同時に大量の水を噴射する。
お互いの一撃が激突し、威力は互角。
「ミロカロス、ドラゴンテール」
ミロカロスは尻尾を青く光らせ、アルデッパ目掛けて叩きつける。
「アルデッパ、捕らえるのです!」
アルデッパは巨大な口を大きく開き、ミロカロスの尾を噛みつき、受け止める。
「パワーウィップです!」
さらにアルデッパは脚の蔦を伸ばし、ミロカロスに叩きつける。
「やりますね。ミロカロス、冷凍ビーム」
ミロカロスは体勢を立て直すと、冷気の光線を放つ。
「アルデッパ、凍える風です!」
アルデッパはこおりのましった風を噴き出すが、威力は冷凍ビームの方が高く、アルデッパは冷気の光線を受ける。
体の一部が凍り付くが、アルデッパは蔦でその氷を破壊する。
と、その時。
「おや」
ブレイズが、妙な声を上げた。
「どうしたんだ」
「いえいえ。私の上司が、暴れているようです」
「なに?」
「後ろを見てみてはいかがですか」
ブレイズにそう言われ、エフィシは振り返る。
森の一部から火が立ち、煙が上がっている。
「火事!?」
慌ててエフィシは二つのボールを取り出す。
「出て来てください、メガヤンマ、ナマズン!」
エフィシが繰り出したのは、緑色の大きな体を持つ、古代のトンボのようなポケモン。
鬼蜻蛉ポケモンのメガヤンマ。虫・飛行タイプ。
さらに、青い体と長い髭が特徴のナマズのようなポケモン。
ナマズン、髭魚ポケモン。水・地面タイプ。
「メガヤンマ、ナマズンをあの火事のところまで運んでください。ナマズン、貴方は火事の消火をお願いします」
二匹のポケモンにそう言うと、メガヤンマはナマズンを六本の足で抱え、飛んでいった。
「さあ、バトルの続きだ。一刻も早くお前を倒し、私も消火活動に参加しなければならないのでな」
「バトルを決める前から勝った後の算段ですか。随分と余裕ですね」
エフィシとブレイズは、再び戦闘体勢に入る。