二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第七十九話 乱入 ( No.175 )
- 日時: 2014/07/08 09:36
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 0.f9MyDB)
「さあアルデッパ、パワーウィップです!」
アルデッパは右手を伸ばし、ミロカロスへと叩きつける。
「先程よりも威力が上がっている……ミロカロス、冷凍ビーム」
ミロカロスはまだ倒れず、冷気の光線を放って反撃。
「アルデッパ、メタルニッパーです!」
しかしアルデッパは歯を鋼のように硬化させ、冷凍ビームを噛み砕いてしまう。
「トレーナーとポケモンとの力関係ですか。トレーナーが最高の状態であって初めて、ポケモンは全力を引き出せる。ミロカロス、ドラゴンテール」
「アルデッパ、受け止めなさい!」
ミロカロスが振るう青く光る尻尾の一撃を、アルデッパはまた噛み付いて受け止める。
「何度言ったら分かるのです? 同じ戦法は私には通用しない。ミロカロス、ハイドロ——」
「誰が同じだと言った? アルデッパ、放り投げなさい!」
アルデッパは噛み付いているミロカロスの尻尾を思い切り引っ張る。
そのままハンマー投げのように勢いを付けて回転し、ミロカロスを投げ飛ばす。
ミロカロスの体が、木へと叩きつけられる。
「ッ……まだです。耐久力に優れる私のミロカロスはまだ戦える。ミロカロス、自己再生」
「させない! アルデッパ、最高火力のパワーウィップを叩き込みなさい!」
ミロカロスは何とか起き上がり、細胞を回復させて傷を癒そうとする。
しかし、その時にはアルデッパがすぐそこまで迫っていた。
両手の蔦を伸ばし、最大の力を込めてミロカロスへと叩きつける。
ミロカロスの体がぐらりと揺れ、ゆっくりと地面に倒れる。
今度こそ、ミロカロスは戦闘不能となった。
「ミロカロス、よく頑張りました。戻りなさい」
ミロカロスをボールに戻すと、ブレイズは素早くフライングボードに飛び乗り、上昇する。
「さてと、私は負けてしまいましたが、いい時間稼ぎになったでしょう。そろそろ今回のターゲットも手に入る頃だと思いますし、私はこれで帰るとしましょう」
エフィシに言っているのか独り言かも分からない口調でブレイズは話す。
「待て、N・E団。今回の貴方たちの目的は、一体何だ? 貴方たちが探しているものは何だ?」
「教えませんよ」
エフィシの問いを、ブレイズは一蹴する。
「と言うか、私も知らないのですよ。蒼天将様が知っているようですが、教えていただけませんでした」
それでは、とブレイズは言い残し、『ホエール』の元まで飛び去っていった。
「最後はお前だ。頼んだぞ、ポッチャマ!」
レオの最後のポケモンはやはりポッチャマ。
「セドニーたちから聞いてた通り、やっぱりそのポッチャマね。貴方の手持ちの中では一番らしいけど、どこをどう頑張っても私のフィニクスには勝てないわよ」
「やってみなきゃ分からねえだろ! ポッチャマ、水の波動!」
上空のフィニクスを見据え、ポッチャマは水の力を溜め込んだ波動の弾を発射する。
「フィニクス、大文字!」
対してフィニクスは燃え盛る大の字型の炎を放つ。
水の波動に威力を削がれるものの、水の波動を打ち消し、ポッチャマに大文字が迫る。
「ポッチャマ、アクアジェット!」
ポッチャマは水を纏って突貫する。
炎の隙間を潜り抜け、そのままフィニクス目掛けて突撃、フィニクスの体勢を崩す。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
「フィニクス、ドラゴンビート!」
ポッチャマは冷気の光線を放つが、フィニクスが放った龍の心臓の鼓動のような大きな音波に掻き消され、ポッチャマも吹っ飛ばされる。
ポッチャマは地面へと落ちるが、すぐに起き上がる。
さらに、
「残念だったな。ドラゴンビートの効果で、ポッチャマの攻撃力が上がったみたいだ」
ドラゴンビートは強力な技だが、相手の攻撃力を上げる事があるという欠点を持つ。
「多少の能力上昇くらいでは、私のフィニクスは止まらないわ。フィニクス、エナジーボール!」
「ポッチャマ、躱してドリル嘴!」
フィニクスは自然の力を吸収し、エネルギー弾に変えて撃ち出す。
それをポッチャマは跳んで躱し、嘴を伸ばすと、ドリルのように回転しながら突っ込む。
「フィニクス、もう一度!」
フィニクスは再び自然のエネルギー弾を放ち、強引にポッチャマの攻撃を相殺、さらに、
「大文字!」
放たれた大の字型の炎が、ポッチャマを襲う。
炎をまともに浴びるポッチャマ。効果今一つのはずなのに、ダメージは大きい。
「これが『覚醒』か……!」
小さくレオは呟く。
ただ、こうして戦ってみると、今のフィニクスの力はセドニーのバジリールと同じくらいだ。
前回のセドニーは絶好調だったようだし、ガーネットは先程調子が優れないと言っていたのもあるが、恐らくガーネットも覚醒した時の序列はそうでもないのだろう。
とはいえ、恐ろしい敵であることは間違いない。
「フィニクス、ドラゴンビート!」
フィニクスは龍の心臓の鼓動のような音波を放つ。
「ポッチャマ、躱してアクアジェット!」
ポッチャマは後ろに跳び退いて音波を躱し、水を纏って突進する。
「フィニクス、大文字!」
「ポッチャマ、躱して突っ込め!」
フィニクスは煌々と燃え盛る大の字型の炎を放つが、ポッチャマは空中で軌道を変えて炎を躱し、さらにフィニクスへと突っ込む。
先程のドラゴンビートにより、威力が上がっている。
「あー鬱陶しい、とっとと黒焦げになりなさい! フィニクス、大文字!」
もう一度フィニクスは燃え盛る大の字型の灼熱の炎を放つ。
「まずい! ポッチャマ、水の波動!」
攻撃直後で、ポッチャマは避ける余裕はない。
咄嗟にポッチャマは水の力を溜め込んだ波動の弾を放ち、炎の威力を軽減する。
それのおかけで、ポッチャマは大文字を喰らうが、まだ何とか倒れていない。
しかし、
「あと一撃喰らえば、それで終わりだな……」
フィニクスの攻撃力が桁違いだ。もう一撃喰らえば、ポッチャマは戦闘不能になってしまうだろう。
「ふふふ、終わりね。悪いんだけど、もう決めさせてもらうわ」
紅色に輝くガーネットの瞳が、さらに大きな光を放つ。
「これで終わりよ! フィニクス、龍星——」
「カビゴン、のしかかり!」
ガーネットが龍星群を指示する直前、空から女性の高い声が聞こえた。
「!?」
レオとガーネットは、同時に空を見上げる。
黒と白を基調とした、ひどく太った大きな怪獣のようなポケモンが、空から落ちて来たのだ。
その大きなポケモンは、重力に従って猛スピードで落下し、真下にいたフィニクスに激突、そのまま地面へ押し潰した。
「……え?」
レオが唖然としているのに対し、
「このカビゴンは……まさか!」
ガーネットには心当たりがあるらしい。
レオは咄嗟に図鑑を取り出す。
そいつの名はカビゴン、居眠りポケモン。ノーマルタイプ。
しかし、このカビゴン、かなり大きい。四メートルほどある。
そのカビゴンは見た目に反して素早い動きで起き上がると、真上に手をかざす。
その手の中に、一人の女性が落ちてきた。
カビゴンの手の上に綺麗に着地し、両手を広げる。
桃色の髪を左右で団子にし、着ている中華風の服と短いスカートは共に赤。さらに服をある程度捲り、腹は露出させている。
腕や足、腹には、ピンクと黄色のリボンが絡みついている。
その女はカビゴンの手の上から飛び下り、ガーネットを見据えてにやりと笑う。
「あらあ? シヌマであたしにボコられて泣いて帰ったガーネットちゃん。腹いせに一般トレーナーを泣かそうとしたってワケぇ?」
「ッ……うっさいわね! あの時は覚醒が使えなかったし、それに私は泣いてなんかないわよ!」
その時、地面に埋れていたフィニクスが、バサァッ!と飛び上がった。
「ふふ。あれくらいで私のフィニクスはやられない。丁度いい機会だし、先に貴女を焼き尽くしてやるわ!」
「キャハハ! 必死になって強がってるガーネットちゃん可愛いー」
ガーネットとその女が互いを見据える中、
「あの……誰ですか?」
急に空気になったレオが尋ねる。
んー? とその女はレオの方を向く。
そして、
「あたしは『ブロック』シヌマシティ統括、サクラ。よろしくねえ☆」