二次創作小説(紙ほか)

Re: 第八十話 達成 ( No.176 )
日時: 2013/08/15 14:42
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: Q1X0ZXes)

「焼き尽くしてやる! フィニクス、大文字!」
フィニクスは煌々と燃え盛る大の字型の炎を放つ。
カビゴンは避けることもなく、そのまま炎がカビゴンに命中する。
しかし、
「キャハハ! 熱い熱い!」
サクラが笑った直後、カビゴンを覆う炎が吹き飛んだ。
カビゴンは何事もなさそうに、平然と立っている。
「あたしのカビゴンの特性は厚い脂肪よ。そんな炎、カビゴンには殆ど効かないわあ」
「だったら、フィニクス、ドラゴンビート!」
今度はフィニクスは龍の心臓の鼓動のような音波を放つ。
「とりあえず森も火事だし、さっさと終わらせないとね。カビゴン、ぶち壊す!」
対してカビゴンは全力の右拳を突き出す。
音波と競り合うが、やがて音波が打ち勝ち、カビゴンは後ろへ仰け反る。
「どうしたカビゴン? こんな奴に負けちゃだめよお! ギガスパーク!」
カビゴンは右手にバチバチと破裂音を立てる大きな電撃の砲弾を作り上げ、それを思い切り投げつける。
「フィニクス、エナジーボール!」
フィニクスは自然の力を凝縮したエネルギー弾を放ち、ギガスパークを相殺、さらに、
「フィニクス、龍星群!」
フィニクスは龍の力を体の一点に集める。
十分に溜まったところで、龍の力をエネルギー弾として真上に放出する。
エネルギーは上空で弾け、無数の流星となってカビゴンに次々と降り注ぐ。
「カビゴン、受けきれる?」
サクラの言葉に、カビゴンは頷く。
「よーし、カビゴン、全部受け切っちゃえ!」
サクラのとんでもない指示に、傍にいたレオは思わず目を見開く。
「ふん、馬鹿ね。私のフィニクスの龍星群を受けて、耐えられるとでも思ってんの?」
ガーネットが嘲笑するが、サクラの表情は揺るがない。
無数の流星は次々とカビゴンを捉え、砂煙が巻き起こる。
やがて、煙が晴れると、
「ふっふーん、どんなもんよ!」
カビゴンは、まだ立っていた。
「!?」
「何……ですって!?」
レオはさらに目を見開き、ガーネットも驚愕している。
「きゃー☆ 明らかに想定外の事態に焦っちゃってるガーネットちゃん可愛いー! カビゴン、よく耐えたわ! 反撃よ! ぶち壊す!」
勿論カビゴンとて無傷ではない。それどころかダメージは非常に大きい。
それでもカビゴンは耐えた。
持ち前の耐久力を生かし、龍星群を耐え切った。
巨体に似合わず、カビゴンは跳び上がる。
一気にフィニクスに迫り、全力の右拳を放つ。
「っ、フィニクス、ドラゴンビート!」
咄嗟にフィニクスは龍の鼓動のような音波を撃ち出すが、龍星群で特攻が下がっており、カビゴンの拳を弾き返せず、相殺に留まってしまう。
「そこまで火力を減らせれば十分! カビゴン、のしかかりよ!」
一旦着地したカビゴンは再び跳び上がる。
先程よりも高く跳び、フィニクスの真上から落下し、フィニクスを押し潰す。
「フィニクス、相殺は無理よ。躱しなさい!」
フィニクスは横に飛んでカビゴンの落下を躱す。
カビゴンは地面に勢いよく落ち、地面が揺れた。
「まだまだ! カビゴン、スプラッシュ!」
カビゴンが腕に水を纏う。
水飛沫を上げながら、その腕をフィニクスに叩きつける。
「フィニクス、ドラゴンビート!」
フィニクスは龍の鼓動のような音波を放つが、やはり相殺止まり。
「こうなったら! フィニクス、もう一度龍星群!」
再び、フィニクスは龍の力を溜め込む。
十分に凝縮された力を、一気に放出しようとしたところで、

「ガーネット、そこまでです」

空から、突然声が聞こえた。
現れたのは、ジバコイルに乗った蒼天のソライト。
「今回の目的のものは入手しました。トパズの輝天隊も貴女の緋天隊も『ホエール』に乗り込みました。後は貴女だけです」
「うっさいわね! こっちはこの女を倒すまで気が済まないの! 先に帰っててよ!」
引き下がろうとしないガーネット。ソライトが何か言おうとしたその時、
「でもお、ガーネットちゃん」
猫撫で声でサクラが言う。
「ガーネットちゃんは一対一で戦いたいかもしれないけどお、あたしの仲間はどうかしら? もうN・E団はガーネットちゃんだけだからあ、全員でかかれば一巻の終わりよお☆」
ま、あたしはその方が楽しいけどお、とサクラは続ける。
「そこの女性の言う通りです。ガーネット、貴女の気持ちも分かりますが、自分の立場を考えるのも大事ですよ。さあ、戻りましょう。ブレイズが貴女に紅茶を用意しています」
「……分かったわよ」
小さく呟き、ガーネットはフィニクスに乗り、空へと飛び上がる。
「おい、ソライト」
ここで、レオが声を上げる。
「今回のお前たちの目的は、何だったんだ」
「さて、何でしょうねえ。それよりも、私に関わるより森の火を早く消した方がいいのでは?」
そう言われ、レオは森の方を見る。
だが、炎は既に大分消えていた。
「あ、くそ、ソライト!」
慌ててソライトの方を振り向くが、ソライトは高く飛び去っており、いるのはガーネットのみ。
「シヌマ統括、覚えときなさいよ! 次に会ったら叩き潰してやる!」
「きゃー涙目のガーネットちゃん超可愛い☆」
ガーネットはまだ何か言いたそうだったが、フィニクスに指示し、『ホエール』へと飛び去っていった。



それから間も無くして、森の火は全て消えた。
木は大分燃えてしまったが、『ブロック』やスティラの住民が少しづつ直していくらしい。
マリアの姿は誰も見なかったそうだが、エフィシが一週間ほど隠れていろと言ったため、どこかに隠れているのだろう。
エフィシ曰く、マリアは隠れるのが非常に上手いらしい。
「それにしても」
全員が揃ったところで、エフィシが声を上げる。
「サクラさん、来るのが遅すぎます。あと来るなら連絡くらいくださいよ」
「だってえ、連絡したらあたしが来るって分かっちゃうじゃん。いつ来るかも分からず、でも最後には絶対来るのがヒーローでしょ?」
「早く来て始めから手伝ってくれた方がよっぽどヒーローです! あと貴女は女性なのだからヒーローではなくヒロインでしょう!」
エフィシが思わず声を大きくするが、サクラは反省の色もなく笑う。
「何か、凄いキャラの濃い人だな」
傍ではホロが何故か震えており、
「……この人、いつもこんな感じなんですか?」
「ええ、毎回こんな感じですわ。仮にも一支部の統括なのですから、もう少し真面目にやってほしいものです」
レオとテレジアは半ば呆れたような感じで話す。
「まあ、とにかく」
サクラにこれ以上何を言っても無駄だと判断したらしく、エフィシはサクラとの話を止めて全員に声を掛ける。
「N・E団との戦い、お疲れ様でした。今日はゆっくり休んでください」
「全く、本当に疲れましたわ。私はまだアカノハの方で仕事が残っていますのに」
テレジアが急に愚痴りだす一方、
「レオにーちゃん、腹減ったな」
「ああ」
「じゃあさ、ポケモンセンターでさ、どっちが沢山夜ご飯食べられるか勝負しない?」
「お? いいぜ。ポケモンバトルでは負けたけど、その勝負は負けないぜ」
ホロとレオの二人はまだ元気そうだった。
そしてそこにサクラが入り込む。
「あらあ? じゃああたしも交ぜて貰えるかしらあ? 大食いには自信あるわよお?」
「お! いいぜ、サクラねーちゃん。じゃあ、負けた人の罰ゲームどうする?」
盛り上がる三人の様子を見て、テレジアがエフィシに呟く。
「全く、三人とも子供ですわね」
「その言葉を九歳の貴女から聞くと何とも返答し辛いですが、まあ子供はあれくらいがいいんじゃないですか? サクラはさておき」
とりあえず、N・E団の脅威はスティラタウンから去った。
今日はゆっくり休み、明日はレオはシヌマシティに出発だ。
シヌマシティでは、ジムリーダー・ママルが待っている。