二次創作小説(紙ほか)

Re: 第八十四話 覆面 ( No.185 )
日時: 2013/09/28 17:42
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: dfg2.pM/)
プロフ: 久々の更新……ッ!

ジムを出た後、ポケモンセンターに向かいながら、レオは今回の敗因を考える。
「もっと気をつけていれば、勝てない相手じゃないんだよな。あそこで特殊技を使っていれば、恐らく勝てたはずだ」
そうなると、足りないのは戦術になる。
より正確に言えば、相手の厄介な戦術に対応する力だ。
「あの蜻蛉返りには苦しめられたし、ワークロのカウンターも無警戒で見事にやられたし。こればかりはバトルの中で身に付けていくしかないけど……」
後は、
「僕自身がポケモンの強さをもっと引き出せないといけないな。折角トゲチックが虫タイプに有利なのに、上手く戦わせてやれなかった」
そんな事を考えながら、ポケモンセンターに着いたレオ。
その時、
「よッ、レオ」
後ろから聞こえた、聞き慣れた訛り声。
レオが振り向くと、そこには、
「久しぶりだなや。調子はどうだべ?」
カンタロウだった。



「なるほど。確かにここのジムリーダーは強えだ。オラは昨日勝ッたけンど、相性のええ鳥ポケモンでも苦戦させられたべ」
ポケモンセンターでポケモンたちを回復させた後、レオとカンタロウは街中を歩きながら話す。
どうやらカンタロウは
「それでも勝ったのか、流石だな。僕は一体しか倒せず負けちまったよ」
「そりゃしょうがねェ。相手の手は大体分かッただが?」
「まあ一応はな」
「そンなら後は簡単だべ。その対策さ考えりゃええ話だ」
それが出来りゃ苦労しねェべな、とカンタロウは続ける。
「ま、せッかくだべ、オラが特訓相手になッてやるだ。路上だけンど、ストリートバトルといくべ」
「本当か!? そりゃありがたい。じゃ、早速始めるか!」
二人がモンスターボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
まさにその直前。

「誰だ!」

カンタロウが突然森の方を振り向き、手にしたボールからムクバードを繰り出す。
「ムクバード、燕返し!」
翼を広げたムクバードが、森の中へと突っ込み、木の葉が飛び散る。
「チッ、逃しただか」
ムクバードが戻って来て、カンタロウの肩に留まる。
次の瞬間。
木の上から、二人の人間が飛び降りてきた。

「あぁーら、意外に早く気付かれてしまったわ」
「ソライト様が言ってた通り、この白髪野郎、なかなかの切れ者だな」

片方が女、もう片方は男だ。
女の方はどこぞの最近の女児向けの美少女戦士アニメのような白い服を着ている。
しかし、頭に被った、申し訳程度に目と口が描かれた黒い紙袋が顔を隠し、その雰囲気をぶち壊している。
男の方は手品師のような黒い燕尾服を着ているが、こちらも左右で黒と白に分かれた仮面を付け、顔を隠している。
非常に奇天烈な外見の二人だが、一つ分かることがある。
紙袋、または仮面の端に描かれた紋章。
この二人は、N・E団のメンバーだ。
「何だお前らは。僕たちに何の用だ」
レオが二人を睨みつけるが、その二人はレオとカンタロウの事など気にも留めず、
「こうして気付かれてしまったわけだけど、どうする?」
「どうするも何もねえよ。戦うしかねえだろ」
「それもそうね」
そして、ようやくその二人はレオとカンタロウの方を向く。
「お待たせ、坊やお二人さん。自己紹介してほしい?」
「する必要ないだろ。あーあ、白髪野郎のせいでメイン作戦失敗だよ」
淡々と喋る二人。表情が見えないため、何を考えているか全く分からない。
「ふざけるでねェ。さッさと正体バラすだ」
「ついでに何しに来たかも教えてもらうぞ」
二人が詰め寄ると、襲撃者たちは一度互いに顔を見合わせ、
「しょうがないわね。私たちはメジスト様率いる破天隊の破天将直属護衛。まずは私が姉のキキ」
「次いで俺が弟のケケ。メジスト様の命令だ、危険分子を再起不能にしろとな」
「黒髪の子一人だけだったら、この辺で奇襲出来たのに。もう一人いたのは予想外だったわ」
「ま、そんな訳だ。だから取り敢えず——」
ケケの声とともに、キキとケケはボールを取り出す。
「——ポケモンバトルでさ、ボコボコにされてくれや」
敵の動きを見、レオとカンタロウは顔を見合わせる。
「やるしかないみたいだぜ」
「だな。オラが仮面の方さ倒す。レオ、お前は紙袋さ頼む」
「任せろ。負けんなよ?」
「互いにな」
最後に短く言葉を交わし、二人もそれぞれの敵を見据え、ボールを取り出す。



レオの相手は紙袋を被った姉の方、キキ。
「それじゃ、始めましょう? 行きなさい、ソルロック!」
「速攻で片を付ける。頼んだぜ、パンプリー!」
レオのポケモン、パンプリーに対し、キキのポケモンは太陽の形をした橙色のポケモン。
隕石ポケモンのソルロック。宇宙からやって来たとも言われているポケモンで、岩・エスパータイプ。
「あぁーら、タイプ相性だけで私に勝てるとでも思ってる? しかも進化前のポケモンで」
「お前のソルロックだって進化前じゃねえかよ」
一瞬流れる沈黙。
「……ソルロック、思念の頭突き!」
「ええっ反論は!?」
レオの言葉は完全にスルーされ、ソルロックは額に念力を集め、突撃する。
「まあいいや。パンプリー、シャドーボール!」
対してパンプリーは影の弾を作り上げ、ソルロックへと撃ち出す。
影の弾はソルロックの額へと命中し、思念の頭突きを相殺する。
「パンプリー、悪巧み!」
ソルロックの動きが止まった隙を狙って、パンプリーは瞬時に脳を活性化し、特攻を上昇させる。
「マジカルリーフ!」
続けてパンプリーは光を放つ無数の葉を飛ばす。
必中の葉の刃がソルロックへと襲いかかるが、
「ソルロック、火炎放射!」
エネルギーを溜めるためか、ソルロックは高速回転し、灼熱の炎を発射。
マジカルリーフは焼き尽くされて消えてしまい、パンプリーも炎を喰らってしまう。
ソルロックの特攻がそこまで高くないことが幸いだが、それでもダメージは大きい。
「なかなか、やるじゃねえか」
「これくらいで怖気付いたりしないでよ? 折角天将の方々から危険分子と呼ばれているんですもの、もう少し頑張っていただかないと」
「勿論だぜ。お前如きに遅れは取らない」
紙袋の奥で嘲笑を浮かべているであろうキキを、レオはじっと見据える。



「行きな、ルナトーン!」
「羽ばたけ、ドンカラス!」
カンタロウのポケモンはドンカラス。
ケケのポケモンは、キキのソルロックと対をなす、三日月の形をしたポケモン。
隕石ポケモンのルナトーン。岩・エスパータイプで、ソルロックと同じく、宇宙からやって来たと噂される。
「悪タイプで効果抜群でも取るつもりか? こっちには岩タイプがあるんだぞ?」
「天下の鳥使いさ名乗るオラが、苦手タイプの対策さしとらンとでも思ッてるだか? ドンカラス、悪の波動!」
大きく翼を広げ、鋭い眼光でルナトーンを睨むと、ドンカラスは悪意に満ちた波動を周囲に撒き散らす。
「ルナトーン、守る!」
しかしルナトーンは光の結界を作り出し、悪の波動を完全防御。さらに、
「ダイヤブラスト!」
結界が消えると、すかさずルナトーンは自らの周囲に爆発を起こし、煌めく爆風を放つ。
「ドンカラス、熱風!」
対してドンカラスは羽ばたくと共に灼熱の風を放ち、爆風を相殺。
「襲撃だ!」
「ダイヤブラスト!」
ドンカラスは瞬時にルナトーンの背後へ回り込み、翼の一撃を振りかざす。
だが、それよりも早くルナトーンが爆風を起こし、逆にドンカラスを吹っ飛ばした。
「どうしたどうした。仮にもソライト様に一目置かれた奴の実力がその程度か?」
「ハハッ、知ッてるだか? 能ある鷹は、爪さ隠すもンだべ」
ケケの煽りを軽くいなし、カンタロウは薄ら笑いを浮かべる。