二次創作小説(紙ほか)
- Re: 第八十六話 仮面 ( No.188 )
- 日時: 2013/11/09 18:11
- 名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: mKkzEdnm)
こちらはカンタロウとケケのバトル。
対峙するは、ドンカラスとルナトーン。
「ドンカラス、悪の波動!」
「ルナトーン、ダイヤブラスト!」
ドンカラスの悪意に満ちた波動と、ルナトーンの青く煌めく爆風が激突する。
威力はほぼ互角。
「ドンカラス、襲撃!」
巻き起こる煙に紛れてドンカラスは静かにルナトーンとの距離を詰める。
「甘い! ルナトーン、守る!」
しかしルナトーンは周囲に守りの結界を作り、ドンカラスの襲撃を完全に防ぐ。
「ダイヤブラスト!」
「同じ手は喰らわねェだ! ドンカラス、サイコキネシス!」
煌めく爆風を素早く放つルナトーンに対し、ドンカラスは強い念力の波を飛ばし、爆風を防ぎ、さらに、
「熱風!」
力強く羽ばたき、熱い烈風を起こす。
灼熱の風が、ルナトーンの岩肌をじりじりと焼いていく。
「所詮効果今一つだ。ルナトーン、冷凍ビーム!」
熱風を耐え切り、ルナトーンは冷気の光線を放つ。
ルナトーンは比較的特防に優れ、熱風もタイプ相性によって致命傷には至らない。
反撃の冷凍ビームがドンカラスに直撃、翼を凍りつかせ、ドンカラスを吹っ飛ばす。
「翼が凍った鳥などただの置物! ルナトーン、ダイヤブラスト!」
「ハハッ、もう忘れただか? ドンカラス、熱風!」
このチャンスを逃すまいと、ルナトーンは煌めく爆風を放つが、ドンカラスは熱い風を放ち爆風を相殺、強引に氷を溶かしてしまう。
「さァ反撃だべ! ドンカラス、悪の波動!」
「そうはさせねえ。ルナトーン、ダイヤブラスト!」
ドンカラスが悪意に満ちたオーラを撃ち出すが、ルナトーンの煌めく爆風によってまたしても防がれてしまう。
(さっきからこのサイクルで突破口さ見つけられねェ。流石にゴリ押しだけで押し切れるほど甘くはねェだなや。そげなら!)
「ドンカラス、サイコキネシス!」
強い念力を発生させて、ドンカラスはルナトーンの動きを操る。
とは言えルナトーンはエスパータイプを持つため、威力は期待出来ないことは分かっている。
つまり、ここでサイコキネシスを選んだ理由は、
「ドンカラス、悪の波動!」
ルナトーンの動きを少しでも鈍らせ、確実にダメージを与えるためだ。
「成る程、そういうことか。だがそれくらいで攻撃が当たると思ったら大間違いだ。ルナトーン、守る!」
ドンカラスが悪意に満ちた波動を放つが、ルナトーンは守りの結界によって波動を完全に防御する。
しかし、
「後ろが見えてねェだ! ドンカラス、襲撃!」
既にドンカラスはルナトーンの後ろに回っていた。
刃のように翼を振り抜き、ルナトーンを切り裂く。
「ちっ、ルナトーン、冷凍ビーム!」
「ドンカラス、熱風!」
何とかルナトーンは体勢を立て直し、冷気の光線を撃ち出すが、ドンカラスの灼熱の風の前に全て溶かされ、さらに熱風はルナトーンの岩肌を焦がす。
「決めるべ! ドンカラス、悪の波動!」
ドンカラスの容赦のない悪意に満ちた波動が襲いかかる。
守りの結界を作り出す隙さえも与えず、悪の波動がルナトーンに直撃。
ルナトーンは吹っ飛ばされ、力尽きて地面に落ち、戦闘不能となってしまった。
「チッ、もう少し戦えると思ったがな。ルナトーン、戻って休め」
表情は仮面で見えないが、ルナトーンを戻すケケの口調には若干の苛立ちが篭っている。
「まあそんなことを言っていても始まらねえな。っし、次だ! 行きな、スカタンク!」
ケケの最後のポケモンは、紫と白を基調にした体毛を持つ、大きなスカンクのようなポケモン。
分類もそのまま、スカンクポケモンのスカタンク。毒・悪タイプ。
「スカタンクか。間違ッても悪臭の液体は飛ばすでねェぞ」
「ハンッ、腹が立ったら飛ばすかもな。スカタンク、火炎放射!」
目つきの悪いその目でドンカラスを睨むと、スカタンクは灼熱の炎を噴き出す。
「ドンカラス、熱風!」
対して、ドンカラスは力強く羽ばたき、熱い烈風を放つ。
双方の炎技は激しく競り合い、やがて爆発する。
「ドンカラス、襲撃!」
ドンカラスは一瞬でスカタンクとな距離を詰める。
スカタンクの背後に回り、強烈な一撃を叩き込む。
はずだったのだが。
「スカタンク、不意打ち!」
実際はドンカラスが動くよりも早くスカタンクが先に動いていた。
ドンカラスが攻撃体勢に入るほんの直前、スカタンクが一瞬でドンカラスとの距離を詰め、文字通り不意打ちの一撃を与えた。
「ヘドロ爆弾!」
さらにスカタンクは毒々しいヘドロの塊を撃ち出す。
ドンカラスはその追撃も避けられず、ヘドロ爆弾をまともに受け、地面に落ちて戦闘不能になってしまった。
「ッ、不意打ちか、オラとしたことが油断したべ。ドンカラス、よォやった。休んでな」
悔しそうに呟き、カンタロウはドンカラスをボールに戻す。
「そげなら、次は……こいつだな。羽ばたけ、プテリクス!」
カンタロウの二番手は、黄土色の体の鳥ポケモン。
なのだが、その骨格は怪獣型に近く、羽毛も頭や腕にしか生えていない。嘴はあるので鳥ポケモンなのだろうが、シルエットだけ見ればとても鳥型には見えないだろう。
このポケモンの名はプテリクス。最新技術で現代に蘇った古代ポケモンであり、岩・飛行タイプだ。
ボールから出ると、プテリクスは低く唸り、鋭い眼光でスカタンクを威嚇する。
「ほう、珍しいポケモンを連れてるな。ならその力を見せてみろよ。スカタンク、火炎放射!」
スカタンクは口を開き、灼熱の業火を噴き出す。
「プテリクス、ストーンエッジ!」
対してプテリクスは大きく吼え、無数の尖った岩を次々と撃ち出していく。
無数の岩は火炎放射を打ち破り、スカタンクの体に突き刺さる。
「これくらいなら対したことはねえ。スカタンク、ヘドロ爆弾!」
スカタンクは身震いして刺さった岩を振り払うと、無数のヘドロの塊を飛ばす。
「プテリクス、躱すべ! 飛び上がれ!」
プテリクスは地を蹴って勢いをつけ、羽ばたく。
プテリクスの巨体が空へと飛び上がる。鈍重そうな見た目に似合わず、空を自由に飛び回ることが出来るのだ。
「スカタンク、撃ち落とせ! ヘドロ爆弾!」
「無駄だべ! プテリクス、ストーンエッジ!」
スカタンクが上空へとヘドロの塊を乱射するが、プテリクスは再び無数の尖った岩を撃ち出し、ヘドロ爆弾を破壊していく。
「プテリクス、ドラゴンダイブ!」
スカタンクのヘドロ爆弾を全て破壊すると、プテリクスはさらに上空へ飛び上がり、翼を折り畳み凄まじい殺気と共に急降下する。
「そんな分かりやすい攻撃喰らうかよ! スカタンク、躱してヘドロ爆弾!」
プテリクスのドラゴンダイブは威力、スピード共に申し分ないが、翼を畳んでいる故に軌道を変えられない。
スカタンクが後ろへ飛び退いた直後、プテリクスが地面を凹ませるほどの勢いで地面に激突する。
しかし、その間のプテリクスは隙だらけ。
つまり、スカタンクのヘドロ爆弾の格好の餌食。
に、見えるのだが。
「プテリクス、ストーンエッジ!」
あろうことかプテリクスはスカタンクよりも早く攻撃体勢に入っていた。
無数の尖った岩が、スカタンクへと襲いかかる。
スカタンクは慌ててヘドロ爆弾を撃ち出すが、岩に全て打ち破られ、スカタンクの体に再び尖った岩が突き刺さる。
「残念だなや。オラのプテリクスは硬え体さ持ッとるから、地面にぶつかッても殆ど痛くねェだ。あんなの隙にもならねェッて事だべさ」
カンタロウの得意げな言葉に続き、プテリクスも吼える。
対して、
「……やってくれたな」
仮面で表情は見えないが、ケケの口調に明確な怒りが宿る。
スカタンクも岩を振り払い、プテリクスを睨みつける。
「ガキのくせに調子に乗りやがってよ。だったら、この技受けてみろ」
ケケとスカタンクの周りの空気が豹変する。
大きく天を仰ぎ、ケケはスカタンクの大技を指示する。
「スカタンク、ダークリゾルブ!」
闇のオーラがスカタンクを包む。
刹那、その闇がスカタンクを中心に周囲へと展開される。
「ッ……! プテリクス、ストーンエッジ!」
プテリクスは無数の尖った岩を闇の波動へと撃ち込むが、少しは威力を削いだが、すぐに打ち破られてしまう。
「無駄だ! ダークリゾルブの闇は、全てを喰らい付くす!」
闇の瘴気が、プテリクスへと牙を剥く。