二次創作小説(紙ほか)

Re: 第八十八話 再戦 ( No.190 )
日時: 2013/11/16 21:24
名前: パーセンター ◆AeB9sjffNs (ID: 8.dPcW9k)

一週間後。
カンタロウと特訓を重ねたレオは、再びシヌマジムを訪ねていた。
ちなみにカンタロウは観客席にいる。
「お、レオ! また来たね、今度は私に勝てるの?」
「ええ。折角一週間も鍛えたんですから、絶対負けませんよ」
バトルフィールドは相変わらず、所々に木の生えた湿地帯のような感じだ。
「そうこなくっちゃね。前は三対三だったけど、今回は四対四だ。早速、始めるよ!」
「始めましょう。今回こそ、勝ちます!」
二人は同時にボールを取り出し、ポケモンを繰り出す。
「バトルスタート、トノッパー!」
「最初は頼んだぞ、ポッチャマ!」
ママルの先鋒はトノッパー、レオの先鋒はエースのポッチャマだ。
「今回はストライクじゃないんですね」
「一度見せた戦術をもう一回使うほど甘くないってことよ。トノッパー、虫のさざめき!」
先に動いたのはトノッパー。
翅を細かく振動させ、強烈な音波を飛ばす。
「ポッチャマ、ドリル嘴!」
虫のさざめきは軌道が見えないので、ポッチャマは嘴を伸ばして高速回転、更に、
「水の波動!」
水を凝縮し、波動として撃ち出す。
「トノッパー、飛び跳ねる!」
トノッパーは地面を蹴って大空へ跳び上がり、水の波動を躱す。
数秒ほどして、トノッパーが上空から勢いを付けた急降下攻撃を仕掛ける。
「ポッチャマ、躱してスプラッシュ!」
ポッチャマはトノッパーの急降下の一撃を最低限の動きで躱すと、すぐさま水を纏い、水飛沫を上げながらトノッパーに激突する。
「トノッパー、ダイヤブラスト!」
トノッパーはすぐにポッチャマに向き直り、地面を蹴って一気にポッチャマとの距離を詰め、煌めく爆風を放って反撃、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「トノッパー、ギガドレイン!」
トノッパーは更に地を蹴り、ポッチャマを追う。
トノッパーの触覚が光り、ポッチャマを捕らえんと伸びる。
「捕まったらまずいぞ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
吹っ飛ばされながらも、ポッチャマは高速回転し、襲いくる触覚を弾く。
「虫のさざめき!」
だがトノッパーの攻撃は終わらない。
翅を細かく振動させて音波を起こし、ポッチャマを吹っ飛ばす。
「飛び跳ねる!」
トノッパーは地面を蹴って、大空へ跳び上がる。
ポッチャマが体勢を立て直さないうちに、トノッパーはポッチャマに狙いを定め、勢いを付けて急降下する。
「まずい! ポッチャマ!」
ポッチャマが倒れながらも、何とか横に転がった、その直後。
先程までポッチャマが倒れていた位置を、容赦無くトノッパーが踏み潰した。
「危なかった……今の喰らってたらやばかったな」
ポッチャマは起き上がり、再びトノッパーへと向き直る。
(それにしても)
レオはトノッパーを見据え、
(防戦一方だな……何とか凌いではいるけど、このまま相手のペースに引き込まれるとまずい。そろそろこっちも攻めていかねえと)
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
ポッチャマが冷気の光線を撃ち出す。
「トノッパー、躱して!」
トノッパーは得意の跳躍で冷気の光線を躱すが、ポッチャマも執拗に狙う。
「えーいしつこい! トノッパー、ダイヤブラスト!」
冷気を躱しきれないと判断したのか、トノッパーは煌めく爆風を放ち、冷凍ビームを相殺。
しかしフィールドの草や水溜まりが凍り付き、気温も下がったように感じる。
「ポッチャマ、スプラッシュ!」
水を纏い、飛沫を散らしながらポッチャマは突撃する。
「トノッパー、虫のさざめき!」
トノッパーは翅を細かく振動させ、強烈な音波を放つが、その音波はポッチャマの水を削いだものの完全に打ち消せず、トノッパーは吹っ飛ばされる。
「ドリル嘴!」
「それなら打ち消せる! 虫のさざめき!」
ポッチャマは嘴を伸ばし、高速回転しながらさらに突撃する。
対してトノッパーは素早く体勢を立て直し、翅を振動させて再び音波を放ち、ポッチャマの勢いを止める。
「ギガドレイン!」
トノッパーの触覚が光を帯びて伸びる。
ポッチャマに躱す隙を与えず、触覚はポッチャマに絡みつき、その体力を吸い取る。
「ポッチャマ、抜け出せ! ドリル嘴!」
「それなら、トノッパー、叩きつけてさらにダイヤブラスト!」
ポッチャマは嘴を伸ばすが、高速回転するより先にトノッパーはポッチャマを地面に叩きつけてその動きを止め、さらに煌めく爆風を放つ。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
それでも何とかポッチャマは冷気の光線を放ち、爆風の威力を軽減し、何とかダメージを弱める。
「そろそろ飛び跳ねるも使いたいけど、相手の動きを見極め、止めてからがいいよね……トノッパー、虫のさざめき!」
ポッチャマの体勢が整わないうちに、トノッパーは翅を振動させ、強烈な音波を飛ばす。
「ポッチャマ、冷凍ビーム!」
ポッチャマは再び冷気の光線を放つ。
音波とぶつかり合うが、やがて音波に打ち破られ、周囲に冷気が飛び散る。
「そこだポッチャマ、躱せるぞ!」
冷凍ビームで虫のさざめきの軌道を把握し、ポッチャマは音波を避ける。
「そろそろ反撃だ! ポッチャマ、ドリル嘴!」
嘴を伸ばし、ドリルのように高速回転しながら、ポッチャマは突撃する。
そしてまさにそれをママルは狙っていた。
跳び上がりつつ相手の技を躱し、相手の技が尽きたその瞬間を狙い、押し潰す。
「来たわね! トノッパー、躱して飛び跳ねる!」
トノッパーは地面を蹴り、大きく跳び上がる

よりも早く、ポッチャマの激突を喰らい、トノッパーは吹っ飛ばされた。

「えっ? トノッパー、どうしたの!」
予想外の自体に驚くママルに対し、
「やっぱり、思った通りでした」
そう言うレオの顔には、得意げな笑みが浮かんでいる。
「虫は寒さに弱い。だったら虫ポケモンも寒さは苦手なんじゃないか、そう思って、ポッチャマに連続して冷凍ビームを撃たせたんです。思った通り、トノッパーのスピードが下がっている」
凍った草や水溜まり、撒き散らされた冷気は、フィールドの気温を下げていた。
加えて、トノッパーは特殊技を多用し、あまり動いていなかった。
知らぬ間にトノッパーの体はどんどん冷え、動きも鈍っていたのだ。
「そう言われれば寒いと思ってたけど、まさかそれを利用していたなんてね。一本取られたよ」
だけど、とママルは続け、
「戦法さえ分かれば怖くない! もうその戦術は通用しないよ。トノッパー、虫のさざめき!」
機動力を失ったトノッパーだが、戦いはまだ終わっていない。
翅を細かく振動させ、強烈な音波を撃ち出す。
「ポッチャマ、スプラッシュ!」
対してポッチャマは水を纏い、水飛沫を散らしながら地を蹴って飛び出す。
ポッチャマのスプラッシュが、虫のさざめきを打ち破るが、
「ダイヤブラスト!」
トノッパーは間髪入れず、煌めく爆風を放つ。
しかし。
「ポッチャマ、ドリル嘴!」
ポッチャマは地面を蹴り、真上に跳び上がる。
爆風を躱して、嘴を伸ばし、上空から高速回転し急降下。
トノッパーに、効果抜群の一撃を命中させた。
本来のトノッパーは機動力が武器であり、耐久は脆い。ドリル嘴を受け、戦闘不能になってしまった。
「うーん、ダメだったか。トノッパー、よく頑張ったよ」
トノッパーをボールに戻し、ママルはすぐに次のボールを取り出す。
「やっぱり成長してるね。こりゃ面白い戦いになりそうだ」
一体目を先取されたが、ママルの顔に焦りは浮かばず、寧ろ浮かぶのは笑み。
その奥にあるのは、ジムリーダーとしての余裕か、強くなって戻ってきたトレーナーと戦える喜びか。

『シヌマシティジム ジムリーダー ママル  蟲の恋人』